柔道整復師国家試験対策問題【柔道整復理論・下肢 第6回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

柔整理論の下肢のオリジナル問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

マルゲーニュ Malgaigne 骨折

問題1 マルゲーニュ Malgaigne 骨折の症状・合併症で誤っているのはどれか。【難易度

1.股関節の他動運動制限
2.出血性ショック
3.膀胱・尿道損傷
4.仙骨神経叢損傷

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答え 

.大腿骨頭と関節窩は正常な関係にあるので、他動による股関節の運動は可能です。

概 説

・骨盤輪骨折のなかで骨輪の連続性が2カ所で絶たれたもの。垂直重複骨折ともいう。

1)仙腸関節の離開
2)腸骨・仙骨の縦断骨折
3)同側の恥骨上枝骨折+恥骨下枝骨折
4)同側の恥骨上肢骨折+坐骨骨折
5)恥骨結合の離開

症 状

1)起立・歩行不能

2)骨盤部の変形

3)下肢の仮性短縮
・下肢全体が上方に転位し、短縮しているようにみえる。
・棘果長、転子果長ともに健側と変化はない。

4)股関節の運動障害
・背臥位で膝伸展位のまま下肢を挙上(股関節の屈曲)できない。
・他動的な運動は可能。

合併症

1)ショック
・大量出血により血圧が低下して起こる。
・意識障害や死の転帰をとることもある。

2)膀胱・尿道損傷
・恥骨骨折に合併することが多い。

3)腸管損傷
・腹壁強直(筋性防御)、蠕動消失、腹部膨満感がみられる。

4)神経損傷
・腰神経叢、仙骨神経叢損傷がみられる。

5)脂肪塞栓症

治療法

・保存療法にシ-ツラッピングによるキャンバス牽引法がある。
・回復には長期(約10週)を要する。





踵骨骨折

問題2 踵骨骨折で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.関節内骨折の頻度は少ない。
2.多くは介達外力によるものである。
3.体部骨折ではベーラー角が増大する。
4.隆起部の裂離骨折では足関節底屈制限がみられる。

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答え 4

1.距骨との関節面が3カ所あり、関節内骨折の頻度が高いです。

2.高所からの飛び降りや転落時に直達外力で起こることが多いです。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

【博打(ばくち)打ち骨折?】

 昔の賭場(ギャンブル)は建物の2階で行われることが多く、警察のガサ入れ(捜査)があると博打打ちは飛び降りて逃げたそうです。そのとき受傷することが多かったので踵骨骨折は「博打打ち骨折」とよばれています。

3.ベーラー角減少します。
*ベーラー角
① 踵骨前方突起と後距骨関節面の上端を結ぶ線と② 踵骨隆起上端と後距骨関節面の上端を結ぶ線の交点のなす角度。正常は20~40°

踵骨体部骨折では後方骨片は後上方へ背屈するのでベーラー角が減少もしくはマイナスになる。

.アキレス腱の牽引による裂離骨折である水平骨折(鴨嘴おうし状骨折)では下腿三頭筋の張力が働かないため足関節の底屈力が低下します。





股関節脱臼

問題3 股関節後方脱臼の整復障害となりにくいのはどれか。【難易度

1.関節包裂孔の狭小
2.大腿骨頭靭帯の断裂
3.関節窩後縁部の骨折
4.大腿骨頭骨片の関節内介在

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答え 

1.大腿骨頭は頸部に対して大きいため関節包の裂孔に嵌頓して整復できなくなります。ボタン穴機構といいます。

.大腿骨頭靱帯の断裂は脱臼時にほぼ必発しますが、股関節の安定には関与していないため整復障害にはなりません。

3.大腿骨頭は脱臼時に関節窩後方に位置しており、同部位が欠損していると整復動作時の槓杆の支点がなくなるため整復障害となります。

4.剥離した大腿骨頭の一部が関節内に介在すると整復障害となります。





膝蓋骨脱臼

問題4 膝蓋骨外側脱臼で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.発生に骨形態異常が関与する。
2.膝の内転・内旋強制により発生する。
3.徒手整復は容易である。
4.整復後もアプリヘンションサイン apprehension sign を訴えることが多い。

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答え 

1.外反膝や反張膝など形態異常により発生することが多いです。

.膝の外転・外旋により発生します。

3.膝を伸展するだけで容易に整復されます

4.患者は膝蓋骨を外方へ圧迫すると脱臼しそうな不安感を訴えます。これをアプリヘンションサインといいます。

発生素因

1)外反膝(X脚)で発生しやすい。
 ① Q角の増大(通常 15°)
 ② 大腿脛骨角(FTA)の減少(通常 176°)
 ③ 大腿骨頸部前捻角の増大(通常 14°)
   *頸部の前捻は大腿骨幹軸の内旋を意味し、X脚となる。
 ③ 大腿骨外顆部、脛骨外顆部の形成不全
 ④ 脛骨粗面の外側偏位
   *Q角が増大する。

2)筋・軟部組織の緊張・弛緩により発生しやすい。
 *内側支持機構の脆弱化、外側支持機構の緊張。
 ① 内側広筋の萎縮(筋力低下)
 ② 腸脛靱帯の緊張

3)膝蓋骨と大腿骨が離れると発生しやすい。
 *大腿四頭筋と膝蓋靱帯が緩むと離れやすくなる。
 ① 反張膝(膝の過伸展)
 ② 膝蓋骨高位
 ③ 全身の関節弛緩





絞扼性神経障害

問題5 下肢の神経障害と症状で正しいのはどれか。【難易度

1.梨状筋症候群    ―  間欠性跛行
2.ハンター管症候群  ―  膝内側の疼痛
3.総腓骨神経麻痺   ―  足関節底屈制限
4.足根管症候群    ―  足背の放散痛

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答え 

1.梨状筋症候群坐骨神経が骨盤後方の梨状筋下孔を通る際に絞扼されて発生します。
 殿部から下腿部(坐骨神経の支配領域)の痛み、シビレがみられます。
 間欠性跛行は同じ坐骨神経の絞扼障害である脊柱管狭窄症でみられます。

ハンター管症候群は、大腿神経の枝である伏在神経が内転筋管(ハンター管)を通る際に絞扼されて発生します。
 主訴は膝内側から下腿内側にかけての疼痛で伏在神経は純感覚枝のため、運動障害はありません。

3.総腓骨神経麻痺は総腓骨神経が腓骨頭付近で圧迫されて発生します。
 原因はギプスなど固定による圧迫が最多です。
 前脛骨筋などの足関節背屈筋が麻痺するため下垂足を呈します。

下垂足

4.足根管症候群脛骨神経が足根管を通る際に絞扼されて足底のシビレ、疼痛がみられます。
*足根管
 ・内果と距骨・踵骨の間に張る屈筋支帯の深部の空隙。
 ・脛骨神経、後脛骨動脈・静脈、後脛骨筋腱、長母指屈筋腱、長指屈筋腱が通る。


参考文献

・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」

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