こんにちは。塾長のFです。
柔整理論の上肢の問題を作ってみました。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
上腕骨外顆骨折
問題1 上腕骨外顆骨折で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.小児ではソルター・ハリス Salter-Harris 分類のⅡ型を呈する。
2.肘関節に内転力が働くとプルオフ pull off 型となる。
3.骨片は前腕伸筋群により後方へ回転転位する。
4.成長障害に伴う内反肘を形成しやすい。
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答え
2
上腕骨外顆骨折は幼小児に多く、肘周囲の骨折では2番目に多い骨折です。(1番は顆上骨折)
1.ソルター・ハリス Salter-Harris 分類のⅣ型を呈します。
Ⅳ型は骨幹端から関節軟骨にかけて骨折線が縦断しており、予後不良(偽関節や成長障害をおこす)です。
2.肘関節に内転力が働くとプルオフ pull off 型となります。
【外顆骨折の発生機序】
1)プルオフ pull off 型
・肘関節伸展位で手掌を衝いて転倒。
・肘関節の内転強制。
・前腕伸筋群の牽引力によって発生する。
2)プッシュオフ push off 型
・肘伸展位または軽度屈曲位、前腕回内位で手掌を衝き転倒。
・肘外側部に圧迫力が加わる。
・肘関節の外転強制も加わり発生する。
3.骨片は前腕伸筋群により前方へ回転転位します。
4.成長障害が起こると、上腕骨遠位端の内外で肢長差が起き外反肘を形成しやすくなります。
前腕骨骨折
問題2 橈・尺両骨骨幹部骨折で正しいのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.介達外力によるものでは骨折線は橈骨が遠位になることが多い。
2.円回内筋付着部より近位での骨折の近位骨片は中間位となる。
3.幼小児の不全骨折では骨折部は角状変形を呈する。
4.過剰仮骨形成による手関節運動障害を後遺しやすい。
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答え
3
1.介達外力によるものでは骨折線は橈骨が近位になることが多くなります。
2.円回内筋付着部より近位での骨折の近位骨片は回外位となります。
【骨片転位】
1)円回内筋付着部より近位での骨折
① 近位骨片:回外、外転、屈曲位・・・回外筋、上腕二頭筋の作用
② 遠位骨片:回内位・・・円回内筋、方形回内筋の作用
2) 円回内筋付着部より遠位での骨折
① 近位骨片:中間位・・・回内作用と回外作用が拮抗
② 遠位骨片:回内位・・・方形回内筋の作用
F塾長
「〇〇筋付着部より近位 or 遠位での骨折」
〇〇筋付着部より近位での骨折の場合、○○筋の作用を受けるのは遠位骨片です。
逆に、
遠位での骨折の場合、○○筋の作用を受けるのは近位骨片です。
3.幼小児では不全骨折(若木骨折)となることが多く、骨折部は屈曲し角状に変形します。
4.橈尺両骨間の血腫が著明であると過剰仮骨形成となり両骨が癒着すると、前腕の回内回外運動が障害されます。
指骨脱臼
問題3 指骨脱臼で誤っているのはどれか。【難易度☆】
1.第1CM関節脱臼 ― 中手骨が内転
2.MP関節掌側脱臼 ― ボタン穴変形
3.PIP関節背側脱臼 ― 掌側板損傷
4.DIP関節掌側脱臼 ― 終止腱断裂
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答え
2
1.第1CM(手根中手)関節脱臼では、中手骨は母指内転筋により内転し、中手骨基部が長母指外転筋により背側近位に突出します。
このとき、第1中手骨基部の掌尺側部が骨折し、小骨片が大菱形骨との位置関係を保ったものをベネット Bennett 骨折といいます。
2.ボタン穴変形はPIP関節掌側脱臼の際、正中索断裂に伴い発生します。
3.PIP関節背側脱臼は過伸展強制によって発生し、掌側板損傷を伴います。
掌側板の断端が関節面に嵌入するため、徒手整復での牽引はNGです。
4.DIP関節掌側脱臼は屈曲強制により発生し、終止腱断裂を伴う場合があります。
上肢の軟部組織損傷
問題4 軟部組織損傷と好発の組合せで正しいのはどれか。【難易度☆】
1.ド・ケルバン病 ― 10代男性
2.キーンベック病 ― 40代男性
3.マーデルング変形 ― 50代女性
4.デュプイトラン拘縮 ― 20代女性
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答え
2
1.ド・ケルバン病は、手関節橈側における狭窄性腱鞘炎で、20代と50代の女性に好発します。
2.キーンベック病は、月状骨の阻血性壊死(月状骨軟化症といわれる)で、手関節をよく使うスポーツでの若年男性や手関節を酷使する職業の中高年男性に好発します。
3.マーデルング変形は、橈骨遠位端の成長障害に端を発する変形(銃剣状)で、思春期の女性に好発します。
4.デュプイトラン拘縮は、MP関節とPIP関節の屈曲拘縮で、第4指と第5指にみられます。
発症には糖尿病や喫煙など生活習慣が原因とされ、高齢男性に好発します。
テニス肘
問題5 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)で正しいのはどれか。【難易度☆】
1.テニス初心者のバックハンドストロークに起因する。
2.尺側手根伸筋の牽引による炎症である。
3.手関節の他動伸展時に疼痛を訴える。
4.保存療法として腱付着部にサポーターを巻く。
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答え
1
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、ラケットでボールを打つときにスウィートスポット(芯)を外すことで受ける衝撃によって肘外側部に疼痛を訴えるスポーツ傷害です。
テニスをしていなくても手関節を使うスポーツや家事など日常生活動作でも発症することがあります。
1.バックハンドでストロークするときに芯を外すことが多いテニス初心者に好発します。
中~上級者ではサーブやフォアハンドストロークによって上腕骨内側上顆炎を起こすことがあります。
2.バックハンド時に加わる衝撃に抵抗しようとして、短橈側手根伸筋が緊張し、起始部である外側上顆に牽引力が加わり炎症が起きます。
3.回内位でものを持ち上げたり、雑巾を絞る動作など手関節の自動伸展時に抵抗が加わった際に疼痛を訴えます。
疼痛誘発テストには下記があります。
① トムゼンテスト
② 椅子テスト
③ 中指伸展テスト
いずれも前腕伸筋群の収縮時に抵抗を加えるテスト法です。
4.サポーター(テニスエルボーバンド)は、前腕伸筋群の筋腹に巻くことによって外側上顆部への牽引力を軽減します。
腱付着部は炎症が起きているので避けます。
参考文献
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
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