柔道整復師国家試験対策問題【必修問題 第4回】

国試対策問題(オリジナル)

今日は上肢の脱臼について問題を作ってみました。

問題と解説で勉強していきましょう。

肩鎖関節上方脱臼の診察

問題1 肩鎖関節上方脱臼の診察について正しいのはどれか。【難易度

1.第1度損傷は整容上の問題となる事が予想される。
2.第2度損傷は説明と同意があれば徒手整復適応である。
3.第3度損傷でも腫脹は軽微である。
4.鎖骨外端部骨折との鑑別ではピアノキー症状が重要である。

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答え 

1.トッシーTossy分類第1度では、外形上の変化はなく、関節の安定性も良好な為、整容上(見た目)の問題は起きないと考えられます。第2度以上では、階段状変形がみられ整復位保持が困難なことから整容上の問題が予想されます。

.徒手整復の適応
 ① 第1度損傷:保存療法適応です。
 ② 第2度損傷:インフォームド・コンセントした上で保存療法適応です。
 ③ 第3度損傷:変形治癒が高頻度で残存するため、保存療法はとくに慎重な判断が求められます。

3.腫脹の程度
 ① 第1度損傷:軽度~中等度
 ② 第2度損傷:中等度
 ③ 第3度損傷:中等度~びまん性の高度

4.肩鎖関節上方脱臼だけでなく鎖骨外端部骨折もピアノキー症状(反跳症状)がみられるため、ピアノキー症状の有無で鑑別することは困難です。

【肩鎖関節上方脱臼と鎖骨外端部骨折の鑑別】
1)階段状変形の状態・・・脱臼では明瞭、骨折では不明瞭。
2)軋轢音の有無・・・脱臼では触知しない、骨折では触知する。
3)皮下出血斑・・・脱臼では軽微、骨折では著明。

臨床的にはレントゲン撮影、つまり医科による診断が必須になります。

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肩関節前方脱臼の合併症

問題2 肩関節前方脱臼の合併症で誤っているのはどれか。【難易度

1.上腕骨外科頸骨折
2.下方関節唇損傷
3.腱板損傷
4.鎖骨下動脈損傷

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答え 

合併症備 考
骨折大結節骨折腱板(棘下筋、小円筋など)の牽引による裂離骨折
上腕骨外科頸骨折肩外転位、肘伸展位で手掌を衝いて転倒したときの外力により発生
関節窩縁骨折
(骨性バンカート)
関節窩の前下縁が損傷
上腕骨頭骨折
(ヒルサックス損傷)
上腕骨頭の後外側が陥凹
軟部組織損傷関節唇損傷
(バンカート損傷)
関節唇の前下縁が裂離
腱板損傷牽引力により後方の腱板(棘下筋、小円筋)が損傷
圧迫力により前方の腱板(肩甲下筋)が損傷
神経損傷腋窩神経麻痺三角筋麻痺により肩外転不能となる
筋皮神経麻痺肘屈曲力の低下がみられる
動脈損傷腋窩動脈橈骨動脈の拍動で確認する

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肘関節後方脱臼の固定

問題3 肘関節後方脱臼の固定で正しいのはどれか。【難易度

1.前腕回外位で固定する。
2.受傷1週前後から、肘屈曲角度を変化させていく。
3.手指の運動を制限する。
4.固定力の低下は骨化性筋炎を招く。

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答え 

1.固定肢位は、肘関節90°屈曲位前腕中間位または回内位で固定します。

.固定期間は3週ですが、拘縮を軽減させる目的で、受傷1週後から肘の屈曲角度を鈍角から鋭角まで変化させていきます。
 ただし鋭角位で固定する場合は神経や血管の圧迫に留意します。

3.固定範囲は、上腕近位部からMP関節手前までです。
 脱臼の固定の原則は一関節のみの固定ですが、前腕の回内回外運動は肘関節に影響する為、手関節も固定します。
 MP関節を含まないのは手指の拘縮予防です。

4.骨化性筋炎は、過剰な血腫緊縛包帯、固定除去後の暴力的な手技が原因となるので、固定力の弱さ(緩い包帯など)は骨化性筋炎の原因にはなりにくいと考えられます。

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肘内障の症状

問題4 肘内障の症状で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.肘直角位で、健側の手で支えて来院することが多い。
2.肘関節以外に疼痛を訴えることはない。
3.他動的関節運動では抵抗感はない。
4.反復性に発症することが多い。

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答え 

1.患肢を下垂し、肘関節軽度屈曲位前腕回内位で来院します。
また上肢を動かそうとしないことせず、肩と背中を丸める姿勢になることが多いです。

.肘関節外側の疼痛以外にも、前腕や手関節の疼痛を訴える場合が40%以上あります。
*南江堂 柔道整復学・実技編改訂第2版 P241より引用

3.患肢の前腕を他動的に回外すると、疼痛が増強し、バネ様抵抗感を触知します。

4.2~5歳までの間に、繰り返し発症することが多いです。

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第2指PIP関節脱臼の固定

問題5 第2指PIP関節背側脱臼の固定で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.MP、PIP、DIPを全て20~30°屈曲位で固定する。
2.手関節の固定は必須ではない。
3.包帯での固定は隣接指とともに行う。
4.5週経過後、問題がなければ固定を除去する。

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答え 

2.手を使わなければ手関節の固定は必須ではありません。手関節を固定する場合は軽度背屈位で固定します。

3.金属副子固定は患指1本のみが基本ですが、包帯での固定は隣接指とともに行います。

4.固定期間は、軟部組織の合併損傷がなければ2週です。

参考文献

南江堂 柔道整復学・実技編 改定第2版
南江堂 柔道整復学・理論編 改定第6版

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