柔道整復師国家試験対策問題【運動学 第3回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

運動学のオリジナル問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

随意運動

問題1 随意運動の企画の形成に関与しているのはどれか。2つ選べ。【難易度☆☆

1.大脳基底核
2.大脳運動野
3.大脳辺縁系
4.大脳連合野

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答え ,4

随意運動は、自らの意志または意図に基づいて起こる運動です。

随意運動の発現は下記の順に遂行されます。
① 欲求・意志・動機づけ(モチベーション)
② 企画・プログラミング
③ 運動指令
④ 運動の実行(筋の収縮)

例えば、「机の上のコップの水を飲む。」といった運動に関して言うと、

① はじめに「のどが渇いた。」、「水を飲みたい。」といった欲求・意志があります。これには大脳辺縁系が関与します。
 大脳辺縁系とは、大脳の深部にある海馬や扁桃、帯状回などで構成され、本能行動や情動に関わる部位です。
 大脳辺縁系からの信号は大脳連合野に伝えられます。

② つぎに運動の企画・プログラミングが大脳連合野で形成されます。
 大脳連合野とは、大脳皮質の運動野でもなく感覚野でもない部位で、運動、認知、記憶、言語などの統合機能の場となります。
 大脳連合野では大脳基底核(被殻、淡蒼球、尾状核)や小脳と連絡を取りながら、「机上のコップを手に取るために肩関節を30°屈曲(三角筋を○○%収縮)、肘関節を15°屈曲(上腕二頭筋を○○%収縮)」や「ガラスのコップを割らないように深指屈筋、浅指屈筋をそれぞれ○○%収縮」といった運動のプログラミングが企画・設計されます。

③ つぎに企画・立案された運動計画が運動野から運動指令として出力されます。
 運動野は大脳皮質前頭葉の中心前回にあり、そこから錐体路を介して脊髄に運動指令が伝えられます。

④ 脊髄から発する下位運動神経が末梢の筋を収縮させ、随意運動が実際に起こります。





上肢の運動

問題2 肩甲骨を上方回旋する筋はどれか。【難易度☆☆

1.前鋸筋
2.小胸筋
3.鎖骨下筋
4.菱形筋

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答え 

肩甲骨の上方回旋とは「関節窩が上を向く」動きをいい、肩関節の屈曲、外転動作に伴います。

挙 上下 制外 転内 転上方回旋下方回旋
鎖骨下筋     
小胸筋   
前鋸筋    
僧帽筋上部   
僧帽筋中部     
僧帽筋下部   
肩甲挙筋    
菱形筋   





下肢の運動

問題3 股関節の運動に関する筋で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.大殿筋    ―  外 旋
2.中殿筋    ―  外 転
3.小殿筋    ―  内 旋
4.大腿筋膜張筋 ―  伸 展

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答え 

屈 曲伸 展外 転内 転外 旋内 旋
腸腰筋     
縫工筋   
大腿直筋    
恥骨筋   
大腿筋膜張筋   △ 
大殿筋    
ハムストリングス   
中殿筋 
小殿筋 
内転筋群   
深層外旋6筋     





姿 勢

問題4 各関節の正常位置を保つための抗重力筋で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.脊 柱  ―  腹筋群
2.股関節  ―  腸腰筋
3.膝関節  ―  大腿四頭筋
4.足関節  ―  前脛骨筋

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答え 

1.重心線は第4腰椎の前方を通るため、重力は脊柱を前方へ倒す(屈曲させる)よう働きます。これに対抗するように脊柱起立筋群が活動します。

.重心線は股関節の後方(大転子)を通るため、重力は股関節を伸展させる方向に働きます。これに対抗するように腸腰筋が活動します。

3.重心線は膝関節の前方を通るため、重力は膝関節を伸展させる方向に働きます。しかし関節の形状的に膝関節は過伸展しないので、膝関節の固定に筋活動は必要としません。

4.重心線は足関節の前方(外果の前5cm)を通るため、重力は足関節を伸展(背屈)させる方向に働きます。これに対抗するようにヒラメ筋腓腹筋が活動します。





歩 行

問題5 歩行で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.高齢者は若年者より重複歩距離が増大する。
2.同時定着期は1歩行周期に合計10%である。
3.上下移動での重心位置は立脚中期で最高となる。
4.自然歩行では遊脚相より立脚相のほうが時間的に短い。

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答え 

1.重複歩とは、一側の踵が接地して、つぎに同側の踵が接地するまでの動作(つまり2歩)のことで歩行周期ともいいます。
 安定性を確保するために歩幅(1歩の距離)を小さくするため、高齢者では重複歩は減少します。

2.同時定着期とは、歩行周期のなかで両脚とも地面に着いている時期をいいます。
 同時定着期は1歩行周期に10%ずつ2回あり、合計20%です。

.歩行によって生じる重心位置の移動は、上下移動、左右移動ともに立脚中期で最高点をとり、踵接地期または同時定着期に最低点をとります。

4.歩行周期は足が接地している立脚相足が接地していない遊脚相に分かれ、立脚相が60%、遊脚相が40%の割合となっています。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

【歩行周期は片脚だけをみる

歩行周期の立脚相とか遊脚相を考えるときに、両脚のことを考えては理解が難しくなります。

歩行周期は「左右どちらか一方の歩行周期」です。

例えば右脚が接地している時期が立脚相で、 右脚が接地していない時期が遊脚相です。

参考文献

・医歯薬出版「運動学 改訂第3版」

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