こんにちは。塾長のFです。
今日は一般臨床医学の2回目です。
呼吸器疾患について問題を作ってみました。
今日もガッツリ勉強していきましょう!
呼吸器疾患の原因
問題1 呼吸疾患と主な原因の組合せで正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.かぜ症候群 ― 真菌感染
2.慢性閉塞性肺疾患 ― アレルギー
3.気管支喘息 ― ウイルス感染
4.肺扁平上皮癌 ― 喫 煙
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答え
4
1.かぜ症候群(上気道炎)の原因の約90%はウイルス感染です。
なかでもライノウイルス、コロナウイルス(COPID-19は除く)の頻度が高いです。
残りの10%はマイコプラズマ、クラミジア、細菌などがあります。
2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙、大気汚染、加齢が原因となります。
3.気管支喘息は、アレルギー、ハウスダスト、アスピリンなどの薬物が原因となります。
4.肺癌は非小細胞癌と小細胞癌に分類され、非小細胞癌はさらに腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌に分けられます。
① 腺 癌
・最も多く(50~60%)、非喫煙者や女性に多くみられます。
② 扁平上皮癌
・喫煙者に多くみられます。
③ 大細胞癌
・発生頻度はまれで、肺野末梢部に発生することが多いです。
④ 小細胞癌
・喫煙者に多く、進行がはやく転移をおこしやすい特徴があります。
気管支喘息の症状
問題2 気管支喘息の症状で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.発作は日中活動時に発生することが多い。
2.アトピー型では血清IgEが高値を示す。
3.長期罹患では漏斗状胸郭を呈する。
4.発作寛解時も一秒率の低下が認められる。
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答え
2
1.喘息発作は夜間や明け方に多く、季節では秋など季節の変わり目に好発します。
また喘息発作時は起坐呼吸(坐位で前かがみになる)がみられます。
2.小児喘息に多いアトピー型ではⅠ型アレルギーの特徴を示します。
① 肥満細胞が分泌するヒスタミンによる気管支の収縮。
② 血清IgE抗体が高値。
③ 喀痰中に好酸球が増加。
3.幼児期からの長期罹患では樽状胸郭を呈します。
樽状胸郭は、胸腔内に空気が貯留し、胸郭の前後径が増大した形状です。
4.発作時は一秒率の低下(呼気の延長)が認められますが、気管支喘息の気道閉塞は可逆性で、発作寛解時は呼吸器症状がほぼ消失します。
肺結核の診断
問題3 肺結核の診断法で誤っているのはどれか。【難易度☆☆】
1.インターフェロンγ遊離試験
2.喀痰PCR検査
3.アルサス反応
4.ツベルクリン皮膚試験
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答え
3
肺結核は結核菌感染による感染症です。
有用な診断には下記のようなものがあります。
1)画像診断(単純X線、MRI、CT)
・散布巣や肉芽腫性病変(結核結節)が認められます。
2)チール・ネルゼン染色法
・結核菌などの抗酸菌を赤く染める染色法です。
3)喀痰PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査法
・結核菌の核酸を増幅して菌の存在を確認する方法です。
4)インターフェロンγ遊離試験(IGRA)
・結核菌に免疫応答したTリンパ球が出すインターフェロンを測定する方法です。
5)ツベルクリン反応
・結核菌より抽出したタンパク質を皮内注射して48時間後に発赤を確認できたら陽性とします。
但し、BCG接種でも陽性となるため結核菌感染の診断は困難。
肺塞栓症の原因
問題4 肺塞栓症の原因でもっとも多いのはどれか。【難易度☆】
1.空 気
2.脂 肪
3.腫 瘍
4.血 栓
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答え
4
肺塞栓症は、長時間飛行機に乗った後にみられることから、ロングフライト症候群やエコノミークラス症候群といわれます。
肺塞栓症は肺の動脈が「何らかの塊」で詰まる疾患です。「何らかの塊」を塞栓子といいます。
塞栓子はほとんどの場合、血栓です。肺に出来た血栓ではなく、他所から血流によって運ばれたものです。
飛行機やバス、デスクワークなど長時間の坐位を続けると、静脈ポンプが機能せず、特に下肢に血液が貯留し深部静脈に血栓ができやすくなります。(深部静脈血栓症)
坐位から立位になるなどの拍子で、血栓が剥離、血流に乗り肺の動脈で詰まり発症します。
自然気胸とは
問題5 自然気胸について誤っているのはどれか。【難易度☆☆】
1.発生には年齢差、体格差がある。
2.肺嚢胞(ブラ、ブレブ)の破裂が原因となる。
3.肺虚脱例では打診上、濁音を呈する。
4.緊張性気胸では、縦隔が反対側へ偏位する。
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答え
3
気胸とは、通常、大気より陰圧の胸膜腔内に空気が流入し、肺が押しつぶされる疾患です。
気胸でもっとも多いのは外傷性や医原性によらない自然気胸です。
1.自然気胸は、高身長でやせ型の若い男性に好発します。喫煙者では頻度が高くなります。
2.原因はブラやブレブとよばれる肺嚢胞(肺胞の一部が異常に膨らんだ状態)が破裂し、臓側胸膜をやぶることで発生します。
3.肺虚脱とは空気により肺が押しつぶされ縮んだ状態となることです。
正常な肺野では打診上は清音ですが、肺虚脱では空気が貯留し鼓音となります。
また、聴診上では呼吸音減弱が認められます。
4.緊張性気胸とは、原因に関係なく気胸により重篤な状態となったものです。
呼吸困難だけでなく、心臓や大静脈を圧迫することで心拍出量が減少、血圧が低下し生命にかかわります。(閉塞性ショック)
これは、陽圧となった患側の胸腔が縦隔を圧迫することにより発生、すなわち縦隔が反対側(健側)に偏位したものです。
参考文献
・医歯薬出版「一般臨床医学 改訂第3版」
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