柔道整復師国家試験対策問題【柔道整復理論・総論 第1回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

少し間隔が開いてしまいました。また今日から投稿していきたいと思います。

今日は柔整理論の初歩中の初歩、骨折の分類を5問の問題で勉強していきましょう。

骨の性状による分類

問題1 疲労骨折の発生が少ないのはどれか。【難易度

1.中足骨
2.上腕骨
3.脛 骨
4.肋 骨

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答え 

 疲労骨折は、1度では骨折を起こさないような比較的軽い外力が繰り返し骨に対し加わったときに発生します。
 ジャンプを伴うスポーツ長距離ランニングなどの際に荷重が加わる下肢に多いのが特徴です。

【疲労骨折の好発骨】
・脛 骨
・腓 骨
・中足骨
・肋 骨
・椎 骨

【疲労骨折の発生機序】
・繰り返しの外力が同一部位に作用し、集積して発生。
・筋の反復性の牽引力による発生。
・衝撃を吸収する筋作用の低下による発生。

【疲労骨折に共通していること】
・転位や変形がない。
・初期は単純X線にも変化が無いため、見落とされやすい。
・時間経過後、仮骨の出現で確認できる。

1.中足骨の疲労骨折は、2つ覚えましょう。
① 行軍骨折
・長距離の歩行やランニングなどの反復により、第2・3中足骨骨幹部に多く発生します。
② ジョーンズ骨折
第5中足骨近位骨幹部に発生する疲労骨折です。
・難治性で偽関節になりやすいです。

3.脛骨・腓骨の疲労骨折
① 脛骨の疲労骨折
 上・中1/3境界部骨折・・・【疾走型】
 中央1/3部骨折・・・【跳躍型】
 中、下1/3境界部骨折・・・【疾走型】
② 腓骨の疲労骨折
 上1/3部骨折・・・【跳躍型】
 下1/3部骨折・・・【疾走型】

【F塾長のしょーもないゴロ】

『ケイランジャラン、ヒコジャラーン』

*脛骨は上からラン(疾走型)、ジャンプ(跳躍型)、ラン(疾走型)。
 腓骨は上からジャンプ(跳躍型)、ラン(疾走型)。

4.肋骨の疲労骨折
① ゴルフによる疲労骨折
・プロゴルフ選手や練習量の多いアマチュアでも発生します。
・右利きの場合、左第5、6肋骨の肋骨角に好発します。





不全骨折の分類

問題2 不全骨折と好発部位の組合せで正しいのはどれか。【難易度

1.陥凹骨折   ―  大腿骨骨幹部
2.亀裂骨折   ―  橈骨遠位端部
3.骨膜下骨折  ―  幼小児の腸骨
4.若木骨折   ―  幼小児の橈骨骨幹部

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答え 

 不全骨折とは、「骨の連続性が絶たれていない骨折」です。一般的に「ヒビ」といわれます。

1.陥凹骨折は、頭蓋骨などの扁平骨におこります。

2.亀裂骨折(氷裂骨折)は、頭蓋骨肩甲骨腸骨などの扁平骨に発生します。

3.骨膜下骨折は、幼小児の脛骨骨幹部にみられます。

若木骨折(緑樹骨折)は、幼小児の前腕骨(橈骨、尺骨)および鎖骨にみられます。

【その他の不全骨折】

竹節状骨折は、幼小児の橈骨遠位端部にみられます。
骨挫傷は、海綿質(短骨や長骨の骨端部)に起こります。






外力の働き方による分類

問題3 横骨折となるのはどれか。【難易度

1.剥離骨折
2.圧迫骨折
3.捻転骨折
4.剪断骨折

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答え 

1.剥離骨折は、骨同士の衝突、摩擦により骨の一部が引きはがされて発生します。
距骨滑車の骨軟骨骨折など。

2.圧迫骨折は、骨の局所に圧迫力が加わり発生します。
軸圧骨折、圧潰骨折、噛合骨折があり、いずれも骨長が短くなる短縮転位を呈します。

3.捻転骨折は、骨に回旋力が加わり、螺旋状骨折となります。
上腕骨骨幹部の投球骨折腕相撲骨折、スキーによる下腿骨幹部骨折などがあります。

剪断骨折は、骨に平行かつ相反する力が加わり、横骨折となります。

裂離骨折は、筋、腱、靱帯などの牽引力によって骨の一部が引き裂かれて発生します。
 脛骨粗面骨折(膝蓋靱帯)、上腕骨内側上顆骨折(肘内側側副靱帯)、上前腸骨棘骨折(縫工筋)、第5中足骨基部骨折(短腓骨筋)など

屈曲骨折 次の項目で詳しく





屈曲骨折の分類

問題4 屈曲骨折(第1型)で正しいのはどれか。【難易度☆☆☆

1.斜骨折となりやすい。
2.骨輪を形成する部位に発生する。
3.骨折線は凹側より始まる。
4.三角骨片は凹側に底辺をもつ。

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答え 

屈曲骨折は、骨折部に屈曲力が働いて起こる骨折です。3つの型があります。

【第1型】
 ・膝に棒を当て両手で折るような機序で発生します。
 ・骨折線は凸側から始まります。
 ・凹側に底辺を持つ三角骨片を生じます。
 ・直達外力での長骨骨幹部骨折や肩を衝いて転倒した際の鎖骨中外1/3境界部骨折などで発生します。

【第2型】
 ・骨の一側が固定され他側に屈曲力が働き発生します。
 ・骨折は凸側から始まり固定された方へ走る斜骨折となります。
 ・上腕骨顆上骨折橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)などでみられます。

【第3型】
 ・輪状の骨格が前後から圧迫され、弾力の限界で骨折が発生します。
 ・骨輪を形成する胸郭(肋骨骨折)骨盤骨折などでみられます。






骨折線の方向による分類

問題5 複合骨折はどれか。【難易度

1.骨片骨折
2.多発骨折
3.重複骨折
4.脱臼骨折

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答え 

【骨折線の方向による分類】
1)横骨折
2)縦骨折
3)斜骨折
4)螺旋状骨折
5)複合骨折

複合骨折とは、複数本の骨折線が様々な方向に走るもので次の2つに分けられます。

①骨片骨折
・骨折線がT字状、Y字状、V字状を呈します。
・三角形などの骨片が存在します。
・高齢者の上腕骨遠位端骨折、大腿骨遠位端骨折等にみられます。

②粉砕骨折
・強大な外力により多数の小骨片を有する。
開放性骨折になりやすい。

2.多発骨折は、複数の骨が同時に骨折したものです。

3.重複骨折は、1本の骨が複数カ所で骨折したものです。複数骨折ともいいます。

4.脱臼骨折とは、脱臼を合併した骨折をいいます。

参考文献

南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」

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