【生理学】白血球・血小板のはなし

生理学のまとめ

こんにちは。塾長のFです。
今日は白血球と血小板について話していきます。

白血球

 白血球は血液中の細胞成分で、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の総称です。いずれも骨髄の多能性幹細胞から分化しています。 好中球、好酸球、好塩基球 は細胞の中に顆粒(ツブツブ)を持ち顆粒白血球とよび、単球、リンパ球は顆粒を持たないので無顆粒白血球とよばれます。

 数量は5,000~9,000/mm3で赤血球の500万/mm3に比べると随分少ないですね。その内訳は、

好中球好酸球好塩基球単球リンパ球
50~60%3%1%5%30~40%
白血球の構成

 白血球の大きさは直径10~20μm。形は不定形で血管壁を自由に通過でき、血管外に出るとアメーバの様に遊走します。

 顆粒球や単球はコロニー刺激因子により、リンパ球は様々なサイトカイン(生理活性物質)により分化・成熟が促進されます。 寿命は顆粒球で数日間、単球やリンパ球では数年に及ぶものもあります。

白血球は生体の防御部隊!

 白血球の働きは一言でいうと異物除去です。ウイルスや細菌などの感染微生物、癌などの腫瘍、花粉や食物などのアレルゲンといった非自己成分に対し強力な防御作用を持ちます。そのため炎症や感染の際には白血球数は増加し、骨髄で分化・増殖するため、骨髄障害などで白血球数は減少します。

白血球が増加する原因:炎症、感染症、腫瘍、アレルギー、膠原病など

白血球が減少する原因:骨髄腫瘍、再生不良性貧血、放射線障害など

好中球

 最も多い白血球で、細胞中の顆粒が中性色素に染まるのでこの名があります。血管内皮細胞の間隙をアメーバのようにすり抜け、炎症の際に一番に駆け付ける細胞です。

 細菌などを貪食する作用を持ち小食細胞ともいわれます。特にブドウ球菌や連鎖球菌の感染が原因となる炎症(化膿性炎)では好中球を多量に含む浸出液(膿汁)が著明となります。 

好酸球

 ヘマトキシリン・エオジン染色法で赤色に染まる顆粒を持ちます。気管支喘息、蕁麻疹などのⅠ型アレルギーで増加し、肥満細胞が分泌するヒスタミンなどのメディエーター(炎症を起こす物質)を不活化することによりアレルギー反応を調節するといわれています。また寄生虫感染でも増加します。

好塩基球

 塩基性色素に紫色に染まるのでこの名があります。 好酸球と同じくⅠ型アレルギーに関与しています。血管外に出て、組織液中では肥満細胞(マスト細胞)とよばれます。

Ⅰ型アレルギー

 好塩基球、肥満細胞ともに免疫グロブリン(抗体)であるIgEに対する受容体があり、細菌やアレルゲンなどが細胞膜上のIgEと結合するとヒスタミンが分泌されます。このヒスタミンが様々なアレルギー反応を引き起こします。

単球

 もっとも大きい白血球で20μmにもなります。血液外の組織ではマクロファージ樹状細胞に成熟します。単球の主な機能は貪食抗原提示サイトカイン(生理活性物質)分泌です。

 同じ貪食作用を持つ好中球に比べ大きいので大食細胞といわれます。食作用により取り込んだ細菌などの抗原情報をヘルパーT細胞に提示します。またインターロイキンなどのサイトカインを分泌し、他の免疫系の細胞の働きを高めます。

 単球系の細胞には骨吸収を行う破骨細胞、肝臓のクッパー星細胞、脳のグリア細胞である小膠細胞、肺胞の大食細胞(心不全細胞といわれることも)などがあります。

リンパ球

 リンパ球は白血球のなかでは最も小さく6~8μmです。リンパ球は次の3つに分けられます。

1)Tリンパ球
 骨髄で分化し、胸腺で成熟します。さらにヘルパーT細胞、キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)に分かれます。主に細胞性免疫に関与します。

 ヘルパーT細胞は獲得免疫での司令塔的役割を果たします。抗原提示細胞(マクロファージや樹状細胞)から抗原提示を受け、サイトカインを分泌しB細胞から形質細胞への分化を促進します。またキラーT細胞やマクロファージを活性化します。

 キラーT細胞はヘルパーT細胞(Th1)により活性化され、細菌を直接攻撃します。またウイルスに感染された細胞を破壊します。

2)Bリンパ球
 骨髄で分化・増殖し、液性免疫に関与します。ヘルパーT細胞(Th2)より指示を受けたBリンパ球は形質細胞に分化し、形質細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生、血漿中に分泌しウイルスや細菌を攻撃します。

3)NKリンパ球(ナチュラルキラー細胞)
 第3のリンパ球といわれ、その名の通り「生まれながらの殺し屋」です。Tリンパ球やBリンパ球が抗原提示を受けて抗原破壊するのに対し、NKリンパ球は腫瘍細胞やウイルスに感染した細胞を手当たり次第に攻撃する自然免疫に重要な役割を果たします。

血小板

 血小板は血液中の細胞成分で、核のない無核細胞です。大きさは3~4μm。血液中に15万~40万/mm3 存在し、寿命は約10日間です。

 骨髄の多能性幹細胞から分化した巨核球より成熟したもので、肝臓で産生されるトロンボポエチンにより分化・増殖が促進されます。

 血小板の機能は止血作用です。血管壁が損傷すると血小板が損傷部位に粘着し、さらに血小板が凝集してきてそこに血栓(一次血栓)がつくられます。血小板内よりセロトニンや凝固因子が放出され、血管収縮やフィブリン(線維素)による血液凝固が促進されます。

 

 今日はこれで終了です。
 最後までお読み頂きましてありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました