柔道整復師国家試験対策問題【病理学 第2回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

病理学の第2回、細胞傷害(退行性病変、代謝障害)の問題を作りました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

萎縮の分類

問題1 誤っている組合せはどれか。【難易度

1.貧血性萎縮   ―  動脈硬化性萎縮腎
2.内分泌性萎縮  ―  成人の胸腺
3.圧迫性萎縮   ―  水腎症
4.廃用性萎縮   ―  長期臥床

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答え 

萎縮とは、いったん正常に発育した組織・臓器の容積が減少することです。

萎縮した組織では、細胞数の減少や細胞容積の減少がみられます。

.多くの臓器は加齢とともに萎縮します。これを生理的萎縮(老人性萎縮)といいます。
 なかでも胸腺は思春期で最大となり、以降萎縮していき退縮とよびます。

萎縮の分類代表例備 考
・生理的萎縮
 (老人性萎縮)
脳、心臓、肝臓、筋、皮膚リポフスキンの沈着がみられる。
  退 縮胸腺
・貧血性萎縮動脈硬化性萎縮腎循環障害による酸素・栄養不足。
  圧迫性萎縮水腎症結石による排尿障害が原因。
・廃用性萎縮
 (無為性萎縮)
骨格筋長期固定、寝たきり
  神経性萎縮筋萎縮性側索硬化症
  内分泌性萎縮閉経後の乳房、子宮、卵巣
高齢男性の精巣
加齢に伴うホルモンの分泌低下。
生理的萎縮でもある。





代謝異常

問題2 青銅糖尿病の原因はどれか。【難易度☆☆

1.糖質代謝異常
2.脂質代謝異常
3.鉄代謝異常
4.銅代謝異常

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答え 

 青銅糖尿病とは、鉄代謝障害であるヘモクロマトーシスの別名です。

 生体内の鉄の70%は赤血球のヘモグロビンに含有されています。

 赤血球が寿命で破壊(溶血)されるとヘモグロビンから鉄を含むヘモジデリン(血鉄素)が遊離します。

 生理的状態では、ヘモジデリンは赤血球の墓場である脾臓や骨髄に沈着しますが、異型輸血や臓器のうっ血など赤血球の短期かつ大量破壊があると各所にヘモジデリンが沈着します。この病態をヘモジデローシスといいます。

 ヘモクロマトーシスとは、先天性の鉄代謝異常(常染色体劣性遺伝)でヘモジデローシスが亢進した疾患です。

 鉄が各所に過剰に沈着し、肝臓では肝硬変、膵臓では糖尿病を引き起こします。皮膚がブロンズ色(青銅色)を呈するため青銅糖尿病とよばれます。

1.糖質代謝異常は、糖尿病が代表です。
 先天性のものでは、糖原病(フォン・ギルケ病など)があります。

2.脂質代謝異常は、食事やアルコールなどの生活習慣が原因となります。
 先天性の脂質代謝異常(リピドーシス)にはゴーシェ病、テイ・サック病、ニーマン・ピック病などがあります。

3.銅の代謝異常には、先天性のウィルソン病があります。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

先天性の代謝異常のほとんどは「常染色体劣性遺伝」病ということを覚えておきましょう。





変 性

問題3 フィブリノイド変性と関係ないのはどれか。【難易度☆☆

1.粥状動脈硬化症
2.全身性エリテマトーデス
3.結節性多発動脈炎
4.悪性高血圧症

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答え 

 フィブリノイド変性とは、血管壁や結合組織の膠原線維にフィブリンや抗体(免疫グロブリン)を主体とする血漿成分が沈着し炎症、壊死をおこしたものです。
 膠原病では共通してこのフィブリノイド変性がみられます。

分 類代表例備 考
タンパク変性混濁腫脹肝、腎、心(代謝が盛んな臓器)感染や中毒
硝子滴変性水銀中毒
ネフローゼ症候群
近位尿細管にみられる
空胞または水腫変性浸透圧ネフローゼ近位尿細管にみられる
硝子様変性瘢痕組織
結核結節
多産後の子宮動脈
肉芽組織の線維化
アミロイド変性関節リウマチ、結核

ベーコン脾、サゴ脾
アルツハイマー病
人工透析患者の手根管症候群
コンゴー染色で赤く染まる
フィブリノイド変性悪性高血圧
全身性エリテマトーデス
結節性多発動脈炎
自己免疫疾患、膠原病の主体
脂肪変性脂肪肝四塩化炭素、アルコール、薬物、肥満が原因
糖原変性糖原病
フォン・ギルケ病
グリコーゲンの蓄積
石灰化腱板炎
尿管結石
乳房
高カルシウム血症が原因
副甲状腺機能亢進
ビタミンD過剰

 





黄 疸

問題4 間接型ビリルビンが特異的に増加するのはどれか。【難易度

1.新生児黄疸
2.先天性胆道閉塞症
3.膵頭部癌
4.デュビン・ジョンソン症候群

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答え 

 血液中のビリルビン濃度が上昇し、皮膚や結膜が黄染する病態を黄疸といいます。

 ビリルビンは老廃赤血球より遊離したヘモグロビンの代謝産物です。

 ビリルビンは肝臓に運ばれ水溶性に変換されます。これをグルクロン酸抱合といいます。

① グルクロン酸抱合を受ける前のビリルビンを間接型ビリルビン(非抱合型)、
② グルクロン酸抱合を受けた後のビリルビンを直接型ビリルビン(抱合型)といいます。

 直接型ビリルビンは胆汁として腸管(十二指腸)に分泌され、大部分はステルコビリンとして便中に排泄され、一部は再吸収され肝臓へ戻り(腸肝循環)、さらにウロビリンとなって尿中に排泄されます。

 上記のビリルビン代謝に異常があると血液中にビリルビンが増加し黄疸となります。

溶血性黄疸
 ・間接型ビリルビンが増加する。
 ・赤血球の早期・大量破壊(溶血亢進)が原因。
① 新生児黄疸(生理的)
② ABO不適合輸血
③ 胎児赤芽球症(Rh不適合輸血)

肝細胞性黄疸
① デュビン・ジョンソン症候群
 ・直接型ビリルビンが増加する。
② クリグラー・ナジャール症候群
 ・間接型ビリルビンが増加する。
③ ウイルス性肝炎、薬剤、毒物中毒
 ・直接型ビリルビン間接型ビリルビンが増加する。

閉塞性黄疸
 ・直接型ビリルビンが増加する。
 ・胆汁の排出経路(胆道)が閉塞し、血中にあふれ出たもの。
① 先天性胆道閉塞症
② 胆石症
③ 胆管癌
④ 膵頭部癌





壊 死

問題5 細胞の壊死で誤っているのはどれか。

1.細胞が縮小する。
2.核が破壊される。
3.自己融解が起こる。
4.炎症反応がみられる。

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答え 

壊死(ネクローシス)とは、細胞や組織の不可逆的な変化、つまり死です。

壊死に陥った細胞ではつぎのような変化がみられます。

1)細胞は膨化する。

2)自己融解がおこる。
 ・自らのリソソーム消化酵素によって融解する。

3)核が崩壊し、不染となる。
 ・ヘモトキシリン・エオジン染色で染まらない。

4)炎症反応が起きる。
 ・壊死組織を除去するためにマクロファージが貪食する。

5)肉芽組織ができ瘢痕化する。

参考文献

・医歯薬出版「病理学 改訂第3版」

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