こんにちは。塾長のFです。
今日は初の【外科学】です。
これまた縁遠くて敬遠しがち(ごめんなさい)な科目ですね。
でも国家試験で出るところは大体決まっているので、
今日もガッツリ勉強していきましょう!
発生機序による創傷の分類
問題1 割創になるのはどれか。【難易度☆】
1.斧で薪割り中に誤って大腿部を負傷した。
2.鈍器による殴打で皮膚が断裂、挫滅した。
3.カッターナイフで皮膚を5cm切り裂いた。
4.転倒した際、擦りむいて皮膚が断続的に剥離した。
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答え
1
1.割創
2.挫創
3.切創
4.擦過傷
創傷とは、皮膚や軟部組織に外力が加わって損傷です。
「創」は皮膚の連続性が絶たれた開放性損傷を指し、
「傷」は皮膚の連続性が保たれた損傷をいいます。
切 創 | 鋭利な刃物(ナイフ、包丁)による切開きず |
刺 創 | 鋭利な刃物(キリ、アイスピック)による)刺しきず |
割 創 | 鋭利でない刃物(斧、鉈)による切開きず |
擦過傷 | すりきず。皮膚の断続的な剥離。 |
挫 創 | 鈍器による圧迫が加わり、皮膚が断裂し、創面が挫滅。 |
挫 傷 | 鈍器による圧迫損傷。皮膚の連続性が保たれる。 |
咬 創 | ヒトや動物に咬まれたきず |
銃 創 | 銃弾によるきず |
バイタルサイン
問題2 安静時のバイタルサインの正常範囲でないのはどれか。【難易度☆☆】
1.血 圧 ― 収縮期72㎜Hg
2.脈拍数 ― 60回/分
3.呼吸数 ― 12回/分
4.体 温 ― 36.2℃
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答え
1
バイタルサインとは生命徴候と訳され、ヒトの生命活動の重要な指標となります。
一般的には、血圧、脈拍、呼吸、体温の4つを指します。
1.血 圧
・収縮期血圧 135㎜Hg以上で高血圧症とされ、80㎜Hg未満となるとショックに陥ります。
・拡張期血圧 85㎜Hg以上で高血圧症と診断されます。
*厚生労働省 e-ヘルスネット 参照
2.脈拍数
・基準値は60~80回/分です。
・50回/分以下を徐脈、
・100回/分異常を頻脈といいます。
3.呼吸数
・正常値は10~24回/分です。
4)体 温
・正常値は36.0~37.0℃です。
・37.0℃以上を高体温といい、
・35.0℃未満を低体温症を低体温症といいます。
その他にも下記項目が教科書に記されています。
5)意識レベル
6)顔 貌
7)四肢の運動、体位
8)皮膚温、色調
9)中心静脈圧
10)尿 量
創傷治癒
問題3 創傷治癒で誤っているのはどれか。【難易度☆】
1.創部を感染予防の為、水道水で洗浄する。
2.デブリドマンとは壊死組織を切除することである。
3.ドレッシングとは創部を開放状態に保つことである。
4.高血糖は治癒遅延因子となる。
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答え
3
1.創部の洗浄は、水または生理食塩水(塩分濃度0.9%)を用います。
消毒液はかえって感染リスクを高めるので使用しません。創傷治癒に重要な働きをする白血球(リンパ球やマクロファージ)を傷害するためです。
2.デブリドマンとは、創部の壊死物質や挫滅組織を切除し、新鮮な創面を形成し清潔創にすること。
3.ドレッシングとは、創面の消毒を行わず、被覆剤で創部を覆い閉鎖湿潤状態を保つことです。
旧来の創部を消毒しガーゼなどで浸出液を吸着させる施法より創傷治癒に有利とされています。
ただし感染リスクが高まるため、動物による咬傷や汚染創では行いません。
4.創傷治癒遅延因子
局所的因子 | 全身的因子 |
細菌汚染、感染 | 低栄養、低タンパク血症 ビタミン欠乏 |
異物、壊死組織の存在 | 貧血、低酸素血症 |
死腔、組織間の開大、離開 | 糖尿病 |
虚血、血流障害 | 亜鉛、鉄、銅不足 |
| ステロイド、抗炎症薬 |
| 抗癌剤、免疫抑制剤、放射線 |
| 黄疸、尿毒症 |
熱傷の深度による判定
問題4 熱傷の深度と症状で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.Ⅰ 度 ― 水 泡
2.浅達性Ⅱ度 ― 灼熱感
3.深達性Ⅱ度 ― 壊 死
4.Ⅲ 度 ― 激 痛
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答え
2
熱傷の深度による判定
深 度 | 深 さ | 所 見 | 疼 痛 | 瘢 痕 |
Ⅰ 度 | 表皮の浅層まで | 発赤 | 痛い | 残らない |
浅達性Ⅱ度 | 真皮の中間まで | 発赤、水疱、湿潤 | すごく痛い | 残りにくい |
深達性Ⅱ度 | 真皮の深層まで | 発赤、水泡、湿潤、やや白い | めっちゃ痛い | 残りやすい |
Ⅲ度 | 皮下組織 まで | 壊死、炭化、乾燥、白い | 痛くない | 残る |
外科感染症
問題5 主に黄色ブドウ球菌感染による感染症はどれか。【難易度☆☆】
1.狂犬病
2.丹 毒
3.ひょう疽
4.カンジダ症
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答え
3
1.狂犬病の原因は、狂犬病ウイルス感染です。
・すべての哺乳類が感染する人畜共通感染症です。
・発症後の治療法はなく、致死率が100%といわれています。
・日本では1950年代を最後に発生はないが、世界では毎年50,000人以上亡くなっています。
2.丹毒の原因は、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染が約80%です。
・傷口や虫刺されにより感染します。
・顔面や下腿部に赤い浮腫がみられます。
3.ひょう疽の原因は、主に黄色ブドウ球菌感染です。
・指趾末端の化膿性炎症です。
・拍動性(ドクンドクン)の強い痛みと膿が特徴です。
・爪噛みや巻き爪が原因となります。
4.カンジダ症の原因は、カンジダ属の真菌です。
・カンジダ真菌は人体に常在しており無害ですが、
・免疫不全、湿潤環境、不衛生により増殖、発症します。
・膣、腋窩、陰茎、口腔に赤い発疹が現れます。
・HIV感染(AIDs)、中心静脈栄養(IVH)カテーテル感染などがあります。
【その他の黄色ブドウ球菌による感染症】
感染症 | 特 徴 |
毛嚢炎 | 毛穴に限局した急性化膿性炎症 |
癤(せつ) | 毛穴を中心とした皮下組織におよぶ急性化膿性炎症 |
面 疔 | 口唇に発症した癤 |
癰(よう) | 多発性の癤 |
化膿性骨髄炎 | 小児の長骨骨幹端に好発する。 |
膿瘍 | 膿が限局性に貯留したもの。 波動を触れる。 治療は切開排膿が第一。 |
蜂窩織炎 (蜂巣炎) | 疎性結合織に広がるびまん性急性化膿性炎症 波動は触れない。 排膿はない。 |
参考文献
・南江堂「外科学概論 改訂第4版」
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