こんにちは。塾長のFです。
柔整理論の頭部・体幹の損傷の問題を作ってみました。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
頭蓋底骨折
問題1 中頭蓋底骨折でみられるのはどれか。2つ選べ。【難易度☆】
1.バトル徴候
2.カーテン徴候
3.ブラックアイ
4.顔面神経麻痺
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答え
1,
4
1.バトル徴候とは、耳介後部や乳様突起部の皮下出血斑です。中頭蓋底骨折でみられます。
2.カーテン徴候とは、「あー」と発音したときに咽頭後壁が健側へカーテンを引くように偏位することです。舌咽神経や迷走神経麻痺が考えられ、後頭蓋底骨折でみられます。
3.ブラックアイとは、眼窩周辺の皮下出血斑です。前頭蓋底骨折でみられます。
4.顔面神経麻痺は、中頭蓋底骨折である側頭骨の錐体部での骨折の際にみられます。
頭蓋底には脳神経の通過孔があり、骨折の部位により脳神経損傷が合併することがあります。
前頭蓋底骨折では、①篩板を通る嗅神経や②視神経管を通る視神経の障害があります。
中頭蓋底骨折では、⑧内耳孔を通る顔面神経や内耳神経の障害がみられます。
後頭蓋底骨折では、⑨頸静脈孔を通る舌咽神経や迷走神経麻痺がみられます。
脊椎骨折
問題2 パイル徴候がみられるのはどれか。【難易度☆☆】
1.頸椎棘突起骨折
2.胸腰椎椎体圧迫骨折
3.腰椎肋骨突起骨折
4.仙骨単独骨折
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答え
3
パイル徴候とは、患者立位で体幹を健側に側屈すると患側に牽引痛が現れるものです。
腰椎肋骨突起骨折では、同部位に付着する大腰筋や腰方形筋の筋緊張により疼痛が誘発されます。
また大腰筋の牽引力により肋骨突起が裂離している場合にはルドロフ徴候がみられることがあります。
【ルドロフ徴候】
・患者坐位で股関節を90°以上屈曲できないもの。
・小転子骨折や腰椎肋骨突起骨折、腸腰筋の機能不全で陽性となる。
顎関節脱臼
問題3 顎関節前方脱臼で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.脱臼した関節頭は頬骨弓下に位置する。
2.外耳道前壁の骨折を伴うことが多い。
3.片側脱臼は口の開閉が不能となる。
4.両側脱臼は下顎側方からの打撃で発生しやすい。
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答え
1
顎関節前方脱臼では、関節頭(下顎頭)が関節円板とともに関節結節を乗り越え、弾発性固定されます。
1.耳孔前方に位置していた関節頭が頬骨弓下に移動します。結果として耳前方の関節窩が陥凹し、頬が扁平となります。
2.外耳道前壁の骨折は顎関節後方脱臼の際にみられます。
3.片側脱臼での機能障害は両側脱臼ほどでなく、半開口での口の開閉はわずかに可能です。
またオトガイ部は健側に偏位します。
4.両側脱臼の発生機序は、極度の開口(あくび、嘔吐、歯科での抜歯など)です。
顎関節症
問題4 顎関節症で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.Ⅰ 型 ― 関節包障害
2.Ⅱ 型 ― 咀嚼筋障害
3.Ⅲ 型 ― 関節円板変性
4.Ⅳ 型 ― 心理的要因
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答え
3
顎関節症の分類
Ⅰ 型
・咀嚼筋の障害。
・咬合異常やストレスからくる歯ぎしりなどが原因。
・咀嚼筋のみに圧痛があり、顎関節部に圧痛はない。
Ⅱ 型
・関節包、靱帯の障害。
・慢性的な外傷性病変(顎関節捻挫)。
・関節雑音は伴わない。
・開口障害(他動的には可能)。
Ⅲ 型(顎内障)
・関節円板の障害(転位、偏位、穿孔、線維化)。
・Ⅲa型(相反性クリック)は、開口時、閉口時ともに関節雑音(クリック)を生じる。
・Ⅲb型(クローズドロック)は、他動的にも開口不可で関節雑音(クリック)を生じない。
Ⅳ 型
・変形性関節症。
・骨増殖、軟骨破壊、関節変形などの退行性病変が主体。
・関節雑音(クレピタス=捻髪音)がみられる。
・開口障害が著明。
・X線像で骨硬化像、関節の変形が確認できる。
Ⅴ 型
・精神心理的な要因によるもの。
・多様な不定愁訴がみられる。
胸郭出口症候群
問題5 胸郭出口症候群の検査法で斜角筋症候群に有用とされるのはどれか。【難易度☆☆】
1.アドソンテスト
2.エデンテスト
3.ライトテスト
4.ルーステスト
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答え
1
胸郭出口症候群とは、鎖骨下動脈や腕神経叢が3つの胸郭出口で狭窄されて、肩こりや上肢の疼痛、しびれ、冷感などがみられるものです。
斜角筋症候群
・斜角筋隙(前・中斜角筋と第1肋骨の間)での狭窄が原因。
肋鎖症候群
・第1肋骨と鎖骨の間での狭窄が原因。
過外転症候群
・小胸筋と肋骨の間での狭窄が原因。
参考文献
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第5版」
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
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