柔道整復師国家試験対策問題【柔道整復理論・下肢 第5回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

柔整理論の下肢の問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

大腿骨近位端部骨折

問題1大腿骨近位端部骨折で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.中間部骨折では下肢は内転位となる。
2.転子間骨折では下肢は内旋位となる。
3.大転子単独骨折では股関節の屈曲が不能となる。
4.小転子単独骨折は中・小殿筋の牽引により発生する。

答えと解説をみる
答え 

.大腿骨近位端部骨折は主に高齢者が転倒した際に大転子部を強打し発生することが多いです。
 その際、股関節に内転強制が加わり頸部骨折転子間骨折転子部骨折では下肢は内転位(頚体角の減少)となります。(大転子単独骨折、小転子単独骨折は除く)

2.転子間骨折、頸部骨折では、大腿骨頭部と下肢の連続性が断たれ、下肢の重量により下肢が外旋位となります。(患側外果が床につく)

3.大転子単独骨折は、大転子部への直達外力か中・小殿筋の牽引による裂離骨折で発生します。
 骨片が転位すると中・小殿筋の作用である股関節の外転が困難になります。

4.小転子単独骨折は、小転子に付着部をもつ腸腰筋の牽引による裂離骨折として発生します。
 股関節の屈曲力が低下し、坐位で90°以上の屈曲が不能(ルドロフ徴候)となります。

【大腿骨近位端部骨折の分類】
1)関節包内骨折
 ① 骨頭骨折
 ② 頸部骨折
  a.骨頭下骨折
  b.中間部骨折

2)関節包外骨折
 ① 転子間骨折
 ② 転子部骨折
  a.転子貫通骨折
  b.大転子単独骨折
  c.小転子単独骨折
 ③ 転子下骨折





股関節周囲の軟部組織損傷

問題2 疾患と症状の組合せで誤っているのはどれか。【難易度

1.鼠径部痛症候群   ―  キック時の疼痛
2.梨状筋症候群    ―  下腿部のしびれ
3.股関節内転位拘縮  ―  尻上がり現象
4.弾発股(ばね股)  ―  内転屈曲時の轢音

答えと解説をみる
答え 

1.鼠径部痛症候群は、サッカーやラグビーなどボールを蹴るスポーツに好発し、キック動作時に鼠径部や大腿内転筋部、下腹部に疼痛を訴えます。

2.梨状筋症候群は、坐骨神経が狭窄部位である梨状筋下孔を通る際に圧迫を受けて発生する絞扼性神経障害です。
 坐骨神経の支配領域である殿部~下腿の疼痛、シビレが主症状です。

尻上がり現象は股関節屈曲位拘縮でみられます。
 股関節屈曲筋である腸腰筋、大腿直筋などの損傷時に疼痛緩和の目的で股関節屈曲位で長期間経過すると拘縮が起きます。
 患者を腹臥位とし膝関節を他動屈曲させると殿部が持ち上がる現象です。
 これは股関節を屈曲させて大腿直筋の伸長による疼痛を緩和するためです。

 股関節内転位拘縮では、患側下肢が短くみえる仮性短縮がおきます。(棘果長は不変)

4.弾発股(ばね股)は、足を高く上げるスポーツ(バレエ、チアダンス、新体操など)の10~20代女性に好発します。 原因の大半は腸脛靱帯と大転子の摩擦です。
 股関節内転位で屈曲する際に腸脛靱帯が大転子に引っ掛かり、轢音(ガリガリ)やクリック(ポキッ)が生じます。疼痛はないか軽度の場合が多いです。
 





膝関節脱臼

問題3 膝関節脱臼で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.前方脱臼はダッシュボード損傷が多い。
2.後方脱臼は過伸展位で弾発性固定される。
3.側方脱臼では膝関節部の横径が増大する。
4.膝窩動脈損傷を合併しやすい。

答えと解説をみる
答え 

 膝関節脱臼は、前方脱臼、後方脱臼、側方脱臼に分類されます。
 腋窩動脈、総腓骨神経、前・後十字靱帯、内・外側側副靱帯損傷の合併があります。

1)前方脱臼

前方脱臼

 ① 発生機序
  ・膝過伸展強制
 ② 症 状
  ・膝伸展位で弾発性固定
  ・膝前後径の増大
  ・膝蓋骨が脛骨上方に位置する。

2)後方脱臼

後方脱臼

① 発生機序
  ・股関節、膝関節屈曲位で脛骨近位に前方から打撃(ダッシュボード損傷
② 症 状
  ・膝過伸展位で弾発性固定
  ・膝前後径の増大
  ・膝蓋骨が大腿骨下方に位置する。

3)側方脱臼
① 発生機序
  ・膝関節の内・外転強制または下腿骨近位への側方からの打撃
② 症 状
  ・膝横径の増大
  ・膝蓋骨は脛骨の転位方向に従い転位する。





膝関節周囲の軟部組織損傷

問題4 疾患と疼痛部位の組合せで正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.ジャンパー膝  ―  膝蓋骨下縁
2.ランナー膝   ―  大腿骨内側上顆
3.鵞足炎     ―  腓骨頭部
4.タナ障害    ―  膝蓋骨外側縁

答えと解説をみる
答え 

ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)は、膝蓋骨下縁などに疼痛がみられます。
 バレーボールやバスケットボールなど跳躍を繰り返すスポーツに多く発生します。
 大腿四頭筋の収縮により、筋腹よりも腱の付着部に炎症がみられます。

2.ランナー膝(腸脛靱帯炎)は、大腿骨外側上顆に疼痛、圧痛がみられます。
 マラソンなど長距離走に好発します。
 膝関節屈伸時に大腿骨外側上顆と腸脛靱帯との摩擦により発生、グラスピングテストで疼痛が誘発されます。

3.鵞足炎は、脛骨粗面の内側部に疼痛がみられます。
 鵞足とは脛骨内側顆に停止する3筋(縫工筋、薄筋、半腱様筋)の腱によって構成され、付着部への牽引や鵞足と関節包との摩擦によって発生します。

4.タナ障害(滑膜ヒダ障害)は、膝蓋骨内下縁(内側関節裂隙)に疼痛がみられます。
 滑膜ヒダとは関節包である滑膜の一部が関節内にせり出したものです。
 なかでも内側滑膜ヒダが膝蓋骨と大腿骨の間に狭窄され、引っ掛かりや疼痛、膝くずれがみられます。
 





距骨骨折

問題5 距骨骨折で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.頸部骨折は高所からの落下時に足関節底屈強制により発生する。
2.体部骨折で骨片が後方転位した場合に第1趾の底屈がみられる。
3.後突起骨折は三角骨障害と類似する。
4.外側突起骨折は足関節捻挫と鑑別が必要となる。

答えと解説をみる
答え 

 距骨骨折は、比較的まれな骨折で高所より落下した際に発生します。
 多くが関節内骨折となり、血行障害により近位骨片に阻血性壊死の合併が特徴的です。

1.頸部骨折は高所からの落下時に足関節背屈強制により発生により発生します。

距骨骨折は落下時の肢位により骨折部位が異なります。

2.体部骨折や頸部骨折で骨片が後方転位すると長母指屈筋を圧迫、第1趾が底側に屈曲します。これをナウマン徴候といいます。

3.後突起骨折での骨片は同部位に発生する三角骨(過剰骨)と類似し鑑別を要します。

4.外側突起骨折は外果周囲に圧痛、腫脹がみられ、足関節捻挫での外側側副靱帯損傷と類似します。
 外側突起は外果深部にあるため、レントゲンでは不鮮明でありCT撮影などが求められます。

参考文献

・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」

コメント

タイトルとURLをコピーしました