柔道整復師国家試験対策問題【病理学 第4回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

病理学の炎症免疫異常・アレルギーの問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

炎症反応

問題1炎症反応の経時的変化で正しいのはどれか。【難易度☆☆☆

1.肉芽組織 ― 細胞浸潤 ― 循環障害 ― 浮腫
2.細胞浸潤 ― 肉芽組織 ― 浮腫 ― 循環障害
3.浮腫 ― 循環障害 ― 肉芽組織 ― 細胞浸潤
4.循環障害 ― 浮腫 ― 細胞浸潤 ― 肉芽組織

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答え 

 炎症とは、細胞や組織を障害するに至った外力や感染などに対する生体反応であり、それを修復する過程です。

 炎症反応は次のような経過をとります。

1)細胞・組織の障害
・生体に加わる機械的外力や感染、循環障害によって細胞や組織が変性や壊死を生じる。

2)循環障害
① 炎症性刺激が加わると、一過性の血管収縮が起き組織が蒼白となる。
② 次いで血管が拡張、局所の血流が増大すると充血が起き、発赤を生じる。
③ 毛細血管が拡張すると血管透過性が亢進し、血漿タンパクが血管外へ滲出する。
④ 毛細血管圧の上昇と血漿浸透圧の減少により浮腫が生じる。

3)細胞浸潤
・壊死した細胞の処理や侵入してきた細菌の貪食のため炎症細胞(白血球)が血管外へ遊走(浸潤という)する。

4)肉芽組織の形成
・浸潤した炎症細胞線維芽細胞毛細血管の新生によって肉芽組織が形成される。
・線維芽細胞が分泌するコラーゲンにより欠損組織が線維化し、瘢痕となって炎症が終了する。





炎症メディエーター

問題2 主に血小板由来の炎症メディエーターはどれか。【難易度☆☆

1.ロイコトリエン
2.セロトニン
3.プロスタグランジン
4.ブラジキニン

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答え 

 炎症メディエーターとは、損傷した細胞や浸潤した炎症細胞より放出され、血管拡張や疼痛といった炎症反応を引き起こす生理活性物質のことです。

主な炎症メディエーター

1)セロトニン
・トリプトファン(必須アミノ酸)より合成される。
・炎症性刺激に際して血小板から遊離、血管収縮痛覚過敏血小板凝集の作用がある。

2)ヒスタミン
・ヒスチジン(必須アミノ酸)より合成される。
肥満細胞から遊離、かゆみ血管拡張の作用がある。
・蕁麻疹や花粉症などのⅠ型アレルギー症状を引き起こす。

3)プロスタグランジン
・損傷された血管内皮細胞膜のリン脂質より遊離したアラキドン酸から生成される。
発熱血管拡張の作用があり、ブラジキニンの発痛作用を増強する。
・NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)によって生成が阻害される。

4)ロイコトリエン
・活性化した白血球より遊離したアラキドン酸から生成される。
気管支収縮(喘息発作)、白血球の遊走作用がある。

5)ブラジキニン
血漿由来の炎症メディエーター。
・血漿タンパクから酵素の作用によって生成される。
最強の発痛物質といわれる。
・血管透過性亢進、血圧降下作用がある。





炎症の分類

問題3 炎症の説明で誤っているのはどれか。【難易度

1.線維素性炎ではフィブリンの析出が著明である。
2.増殖性炎は結合組織の増生がおもな変化である。
3.漿液性炎の滲出物に細胞成分は含まれない。
4.化膿性炎では粘液分泌の亢進が著しい。

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答え 

4.化膿性炎症では滲出物に大量の好中球が含まれるのが特徴です。

炎症の分類炎症の種類特 徴代表例
急性炎症
(滲出性炎)
漿液性炎細胞成分を含まない
(サラっとしている)
急性炎症の初期
軽度の炎症
皮膚の疱疹など
急性炎症
(滲出性炎)
カタル性炎粘液分泌の亢進アレルギー性鼻炎
急性炎症
(滲出性炎)
線維素性炎フィブリンの析出ジフテリア
偽膜性大腸炎
絨毛心(線維素性心外膜炎)
急性炎症
(滲出性炎)
化膿性炎大量の好中球気管支肺炎
膿 瘍
蜂窩織炎
蓄 膿
急性炎症
(滲出性炎)
出血性炎大量の赤血球インフルエンザ肺炎
敗血症
丹毒、猩紅熱:(溶連菌感染)
急性炎症
(滲出性炎)
壊疽性炎腐敗菌感染
悪臭
肺壊疽
壊疽性虫垂炎
壊疽性胆嚢炎
慢性炎症増殖性炎肉芽組織による細胞増殖が主
滲出は少ない
肝硬変
萎縮腎
間質性肺炎
慢性炎症特異性炎肉芽腫が形成される結 核
梅 毒
ハンセン病(癩)
サルコイドーシス
野兎病
鼠径リンパ肉芽腫





抗体の作用

問題4 抗体の作用で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.抗原の中和
2.抗原の貪食
3.抗原のオプソニン化
4.補体の活性化

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答え 

.抗体は白血球(細胞)ではないので貪食作用はありません。
・貪食能を有しているのは、白血球である好中球単球(マクロファージ)樹状細胞です。

抗体とは、血漿タンパクの一部で免疫グロブリンともいいます。

抗体の作用

1)抗原の中和
・抗体には抗原そのものを破壊する機能を持たないが、ウイルスや毒素に結合しその作用を無力化する。

2)抗原のオプソニン化
・抗原と結合し好中球やマクロファージの貪食能を活性化する。
(白ご飯にふりかけをかけて食べやすくするみたいなw)

3)補体の活性化
・補体(タンパク質の一種)を活性化させ、細菌の細胞膜に穴を開ける。

4)ウイルス感染細胞の破壊
・ウイルスに感染した自己の細胞に結合し、それが攻撃目標となりNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が細胞を破壊する。

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アレルギーの分類

問題5 アレルギーと疾患の組合せで正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.Ⅰ型  ―  接触性皮膚炎
2.Ⅱ型  ―  血清病
3.Ⅲ型  ―  関節リウマチ
4.Ⅳ型  ―  糸球体腎炎

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答え 

名 称特 徴代表例
Ⅰ型アナフィラキシー型即時型といわれる
肥満細胞上のIgE抗体が抗原と結合するとヒスタミンが分泌される
好酸球が増加する
気管支喘息
花粉症
蕁麻疹
食物アレルギー
ペニシリンショック
Ⅱ型細胞傷害型赤血球血小板が傷害される
IgG抗体、IgMが関与する
異型輸血
胎児赤芽球症(新生児重症黄疸)
特発性血小板減少性紫斑病
自己免疫性溶血性貧血
Ⅲ型免疫複合体型免疫複合体(抗原と抗体の結合)ができる血清病
全身性エリテマトーデス
強皮症
関節リウマチ
糸球体腎炎(IgA腎症)
アルサス現象
Ⅳ型遅延型細胞性免疫である(Tリンパ球が関与)
炎症反応の出現に時間がかかる
接触性皮膚炎
ツベルクリン反応
移植片対宿主病(GVHD)
金属アレルギー
Ⅴ型刺激型自己抗体がホルモン受容体を刺激する
ホルモンが過剰分泌する
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

参考文献

・医歯薬出版「病理学 改訂第3版」
・南江堂「生理学 改訂第4版」

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