柔道整復師国家試験対策問題【整形外科学 第1回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

整形外科学の第1回です。

整形外科学は国家試験の一般問題200問中、出題数は11問です。

 柔道整復師が整形外科領域で活躍する場面が増えてきたことから、出題が難問化している傾向にありますが、病理学などと同様にポイントを抑えれば点数は稼げるはず!

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

異常歩行(跛行)

問題1 痙性跛行はどれか。【難易度☆☆

1.トレンデレンブルグ歩行
2.はさみ脚歩行
3.酩酊歩行
4.間欠性歩行

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答え 

 痙性とは、中枢性運動神経(錐体路)の障害により現れる麻痺のことで、筋緊張の亢進、深部反射の亢進を伴います。痙性麻痺がある歩行様態を痙性跛行といいます。

 痙性麻痺の現れ方はその原因となる部位により異なり、大脳での障害では反対側の上肢下肢が麻痺する片麻痺となり、脊髄での障害では四肢麻痺、または対麻痺(両下半身の麻痺)となります。

1)痙性跛行
① 分回し歩行
 ・脳卒中片麻痺による歩行。
 ・麻痺側下肢が伸展位となるため、外回りに円を描くように歩く。
 ・草刈り歩行、円書き歩行ともいう。

② はさみ脚歩行
 ・脊髄損傷対麻痺による歩行。
 ・両下肢が伸展・内反し、内反尖足位で両足を交差するように歩く。

跛 行原因疾患歩行様態備 考
鶏 歩前脛骨筋麻痺
腓骨神経麻痺
尖足位拘縮
足背屈障害のため、膝、足を高く上げ、つま先で接地する。
間欠性跛行腰部脊柱管狭窄症
閉塞性動脈硬化症
疼痛により歩けなくなり、休むと歩けるようになる。 
トレンデレンブルグ歩行中殿筋麻痺
先天性股関節脱臼
患側立脚期に健側の骨盤が下がる。 
動揺性歩行進行性筋ジストロフィー体幹をのけぞらせ(腰椎前弯)ながら腰を左右に揺すりながら歩く。アヒル歩行
分回し歩行脳卒中
(痙性片麻痺)
麻痺側下肢が伸展位で外回りに円を描くように歩く。円書き歩行
草刈り歩行
はさみ脚歩行脊髄損傷
(痙性対麻痺)
両下肢が伸展・内反し、内反尖足位で両足を交差するように歩く。 
小刻み歩行パーキンソン病初めの一歩が出にくい。
歩幅が小さくなる。
歩行速度が段々上がり止まらなくなる。
すくみ足
突進歩行
酩酊歩行小脳疾患
(失調症)
歩隔を広げ、酔っぱらったように歩く。千鳥足
よろめき歩行
踵打ち歩行脊髄癆
(深部感覚障害)
足元を見ながら、踵を打ち付けるように歩く。 





画像診断

問題2 疾患と画像検査の適用の組合せで適切でないのはどれか。【難易度

1.骨膜反応  ―  単純X線撮影
2.骨挫傷   ―  CT(コンピュータ断層撮影)
3.靱帯損傷  ―  MRI(磁気共鳴画像)
4.骨肉腫   ―  骨シンチグラフィ

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答え 

骨挫傷は、骨端部の海綿質におこる微細な不全骨折です。
 ・単純X線やCTでは確認できず、MRIによって検出されます。

整形外科領域での画像検査法

1)単純X線撮影
 ・いわゆるレントゲン撮影のこと。
 ・画像検査の基本であり、多用される検査法である。
【長所】
 ① 簡 便
 ② 安 価
 ③ 侵襲性が低い
【短所】
 ① 放射線被曝がある。
 ② 軟部組織損傷は不明瞭。
【適用】
 ① 骨折、脱臼
 ② 骨腫瘍
 ③ 骨膜反応
 ④ 異所性骨化(骨化性筋炎など)

2)CT(コンピュータ断層撮影)
 ・レントゲンと同じく放射線を用いる検査法。
 ・コンピュータによって高度な処理がなされ、水平面(輪切り)や3次元(3D)の画像を得ることができる。
【長所】
 ① 微細な骨折の診断ができる。
 ② 軟部組織と血液などを識別できる。
 ③ あらゆる角度から観察できる。
 ④ MRIに比べると検査時間が短く閉塞感も少ない。
【短所】
 ① 放射線被曝がある。
 ② MRIに比べると軟部組織の病変は不明瞭。
【適用】
 ① 複雑な構造の骨(骨盤、手根骨、脊椎など)の微細骨折
 ② 骨折に伴う血腫の量・広がり

3)MRI(磁気共鳴画像)
 ・磁気と電波を用いる検査法。
 ・軟部組織の病変に最も効果を発揮する。
【長所】
 ① CTよりもさらに撮影の自由度が高い。
 ② 放射線被曝がない。
 ③ 造影剤を使用しない。
【短所】
 ① 検査時間が長い。
 ② 体内金属やペースメーカー装着者には使用できない。
 ③ 閉暗所で音が大きい。
【適用】
 ① 靱帯・腱断裂
 ② 関節円板・半月損傷
 ③ 骨挫傷
 ④ 腫瘍(骨腫瘍、脂肪腫、脊髄腫瘍)
 ⑤ 椎間板ヘルニア

4)骨シンチグラフィー
 ・放射性同位元素(RI)を投与(静脈注射)して画像化する検査法。
【長所】 
 ① 全身の骨の状態を一度で観察できる。
【短所】
 ① 検査時間が長い。
 ② 放射線被曝がある。
 ③ 造影剤を投与する。
【適用】
 ① 悪性腫瘍の骨への転移





牽引療法

問題3 転位のある大腿骨骨幹部骨折に適した牽引法はどれか。【難易度

1.キルシュナー鋼線牽引
2.クラッチフィールド牽引
3.ハローペルビッグ牽引
4.キャンパス牽引

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答え 

キルシュナー鋼線牽引は、金属(ステンレス)製の鋼線(Kワイヤーともいう)を用いる直達牽引法です。
 下肢の長骨骨幹部骨折などの短縮転位などに用います。

2.クラッチフィールド牽引は、頭蓋直達牽引療法です。
 頸椎の脱臼頚椎症後縦靭帯骨化症などに用いられます。

3.ハローペルビッグ牽引は、脊柱側彎症の矯正や脊椎の腫瘍による破壊、不安定骨折に用いられる直達牽引療法です。

4.キャンバス牽引は、布などを用いた介達牽引療法です。
 骨盤骨折(マルゲーニュ骨折など)、胸腰椎移行部圧迫骨折などに用いられます。





骨・関節損傷の分類

問題4 開放骨折の評価の分類はどれか。【難易度☆☆

1.チェルン Tscherne 分類
2.ソルターハリス Salter-Harris 分類
3.ウェーバー Weber 分類
4.ガスティロ・アンダーソン Gustilo-Anderson 分類

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答え 

1.チェルン分類は、皮下骨折における軟部組織損傷の程度の分類です。

2.ソルターハリス分類は、小児の骨端軟骨(成長板)損傷の分類です。

3.ウェーバー分類は、偽関節の分類です。

ガスティロ・アンダーソン分類は、開放性骨折の分類です。
 GradeⅠ、Ⅱ、Ⅲ(A,B,C)に分類されます。





スポーツ外傷

問題5 スポーツ安全協会の調査(平成30年度)において、スポーツ稼働中の怪我の発生頻度で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.骨 折    ―  31.0%
2.脱 臼    ―  13.1%
3.捻 挫    ―   2.0%
4.挫傷(打撲) ―  34.9%

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答え 

公益財団法人スポーツ安全協会の要覧より転載

参考文献

・南江堂「整形外科学 改訂第4版」
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」

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