こんにちは。塾長のFです。
外科学の第2回です。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
破傷風
問題1 破傷風に対する処置で誤っている のはどれか。【難易度☆ ☆ 】
1.デブリドマン 2.ドレッシング 3.筋弛緩薬投与 4.トキソイド投与
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答え
2
破傷風 は、破傷風菌 Clostridium tetani による外科感染症です。
F塾長
破傷風の発生原因や治療法を知るうえで大事なことは、
破傷風菌は「嫌気性菌 」 ということです。
嫌気性菌とは酸素が苦手な細菌のことです。
破傷風菌は土壌中に存在し、木や金属による傷口から侵入、毒素を産生します。 1~6日間の潜伏期ののち筋の硬直 を中心とした下記のような症状を引き起こします。
第1期:牙関緊急(開口障害) 第2期:発声・嚥下障害、痙笑(顔面筋の痙攣で笑っているように見える。テタヌス顔貌という) 第3期:後弓反張(全身の筋硬直により弓なりになる) 第4期:回復
破傷風の処置
1)発症前の処置 ① デブリドマン ・創部の壊死物質や挫滅組織を切除 し、新鮮な創面を形成し清潔創にすること。 ② 開放創とすること ・無酸素環境で活動するため、空気に曝す。 ・被覆材で創部を覆うドレッシング(閉鎖湿潤療法)はNG 。 ③ 抗毒素血清(テタノブリン)投与 ④ トキソイド(ワクチン)投与 ・日本では就学までにワクチンを接種しているが、10年以上経過すると免疫効果が著減するため、追加で摂取し能動免疫をはかる。
2)発症後の処置 ① 免疫グロブリン(抗体)投与 ・毒素の中和を図る。 ② 筋弛緩薬 ③ 呼吸管理 ・呼吸筋が痙攣するため、人工呼吸器を使う場合もある。
悪性腫瘍と良性腫瘍
問題2 悪性腫瘍に対して良性腫瘍の特徴はどれか。【難易度☆☆ ☆ 】
1.N/C比の増大度が強い。 2.壊死性傾向が強い。 3.自律性の細胞増殖を起こす。 4.細胞分化度が高い。
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答え
4
腫瘍 とは、生体のコントロールのきかない自律性に増殖する 細胞の集まりです。
形態や発育速度、増殖様式により良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。
1.N/C比 とは、細胞(Cell)に対する核(Nucleus)の大きさの割合です。 すなわちN/C比の増大とは核の増大であり、これは悪性腫瘍の特徴 です。 このようなN/C比の増大やクロマチン(染色質)の増量、核小体の増大といった細胞の変化を異型性 といいます。
2.悪性腫瘍 は元々の細胞・組織の形態から大きく逸脱しているのが特徴です。 表皮が欠損し潰瘍を形成、境界が不明瞭となり腫瘍巣は壊死 に陥っています。
3.自律性の細胞増殖 は良性、悪性問わず腫瘍の特徴です。
4 .良性腫瘍は細胞分化度が高い のが特徴です。 細胞分化とは、細胞がそれぞれの機能や形態に特化した形に細胞分裂していくことです。 成熟した細胞は分化度が高く、未成熟の細胞は分化度が低いです。 腫瘍細胞は細胞分化度が低いほど悪性度が高く (生体に与える影響が強い)なります。
良性腫瘍と悪性腫瘍の違い
良性腫瘍 悪性腫瘍 増殖速度 遅 い 速 い 増殖の形式 膨張性・拡張性 浸潤性 境界性 明 瞭 不明瞭 破壊性 少ない 強 い 壊死、出血 少ない 多 い 転 移 しない す る 再 発 少ない 多 い 予 後 良 好 不 良 悪液質 な い 起こす 分化度 高 い 低 い 異型性 弱 い 強 い 核分裂 少ない 多 い
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ショックの分類と原因
問題3 ショックの分類と原因疾患の組合せで誤っている のはどれか。【難易度☆☆ 】
1.循環血液量減少性ショック ― 熱 傷 2.血液分布異常性ショック ― 脱 水 3.閉塞性ショック ― 肺塞栓症 4.心原性ショック ― 弁膜症
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答え
2
2 .脱水 は循環血液量減少性ショック の原因です。
ショック とは、さまざまな原因で血圧が低下 、必要な酸素や栄養が行き届かなくなった結果、正常な細胞活動が行われなくなった状態です。 ショックの状態が継続すると最終的には多臓器不全に陥り死に至ります。
ショックは血圧低下に至った原因別に4つに分類されます。
1)循環血液量減少性ショック ・血管内の血液量が減少 したことにより血圧低下に至ったもの ① 出血・・・骨折や血管損傷で全血液量の1/3を失うとショック状態になる。 ② 脱水・・・多量の下痢、嘔吐、飢餓、腹水など。 ③ 熱傷・・・2度以上の熱傷では皮膚の保水性が失われ、体液が漏出する。
2)心原性ショック ・心臓のポンプ機能の低下 により血圧低下に至ったもの ① 心筋梗塞、心筋炎、心筋症 ② 心臓弁膜疾患(僧帽弁狭窄症など) ③ 心奇形
3)血液分布異常性ショック ・末梢血管が拡張 (末梢血管抵抗の減弱)により必要な部位へ血液が行き届かなくなった状態。 ① 敗血症・・・細菌感染による全身性の炎症。 ② アナフィラキシーショック ③ 脊髄ショック・・・中枢神経麻痺 ④ 薬物中毒
4)閉塞性ショック ・心臓が膨らめなくなる ことで心収縮力が低下し血圧低下に至ったもの ① 心タンポナーデ・・・心嚢に血液が貯留していて心臓が膨らめない状態。 ② 緊張性気胸・・・胸部が陽圧となり心臓を圧迫し心臓が膨らめない状態。 ③ 血 胸・・・出血により胸腔内圧が上昇、心臓が膨らめない状態。 ④ 肺塞栓症・・・異物が肺の毛細血管に詰まり、胸腔内圧が上昇する。
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献血者(ドナー)の条件
問題4 献血者の条件で正しいのはどれか。【難易度☆☆ 】
1.献血経験のある75歳男性 2.血色素量12g/dL以上 3.妊娠3か月の女性 4・最高血圧90㎜Hg以下
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答え
2
2 .血色素 とはヘモグロビンのことです。 ヘモグロビン量が12g/dL以上ということは貧血ではない ということです。
日本赤十字社のHP より転載
上記以外にも、「感染症*の罹患履歴がないこと」があげられます。 *梅毒、AIDS(HIV陽性)、B型肝炎(HBs陽性)、マラリアなど
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消毒薬の適用
問題5 消毒薬として生体に使用できない のはどれか。【難易度☆☆ 】
1.アルコール 2.クロルヘキシジン 3.フタラール 4.ポピドンヨード
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答え
3
3 .フタラール は、すべての微生物に有効(滅菌が可能 )な消毒薬ですが、劇薬であり人体には使用できません 。もっぱら内視鏡 (胃カメラなど)などの 医療機器の消毒に用いられます 。
消毒法の使用領域
消毒法 手指 皮膚 粘 膜 金 属 床・壁 グルタラール × × ○ × フタラール・過酢酸 × × ○ × 次亜塩素酸ナトリウム × × × ○ アルコール ○ × ○ × ポピドンヨード ○ ○ × × クロルヘキシジン ○ × ○ × 高圧蒸気滅菌 × × ○ × 酸化エチレンガス滅菌 × × ○ ×
〇 ・・・使用できる×・・・使用できない
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