柔道整復師国家試験対策問題【生理学 第14回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。
今日は【生理学】の神経系の機能の問題を作ってみました。

大脳皮質の機能

問題1 大脳皮質連合野の統合機能で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.前言語野   ―  文字の理解に関した言語中枢
2.前頭前野   ―  意欲や人格に関する統合
3.頭頂連合野  ―  運動の統合
4.側頭連合野  ―  知覚・空間の把握

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答え 

 連合野は、大脳皮質のなかで運動野、感覚野以外の領域です。前頭連合野頭頂連合野側頭連合野に分けられます。

 大脳皮質の約2/3を占め、他の領域から送られてくる情報を統合し、思考、判断、記憶、言語、認知といった高次脳機能をつかさどります。

1.前言語野は前頭連合野に属し、運動性言語野またはブローカ中枢ともいいます。ここは言葉を話す機能をつかさどっています。
 後述の感覚性言語野を含めた言語野の存在部位は利き手と関連性があるといわれています。すなわち右利きのヒトの言語野は左半球に存在します。(ヒトの90%は右利き)
 ここに障害があると「言葉や文字の意味は理解できるが、思っていることを言葉として話せない運動性失語症となります。

2.前頭前野は前頭連合野に属し、ヒトで最も発達した領域です。考えや創造性、感情のコントロールなど人間らしく行動するための最も重要な部分ともいえます。
 ここに障害があると、人格の崩壊や無気力、認知症などがみられます。

3.頭頂連合野は視覚や体性感覚などの感覚を統合する部位です。
 ここに障害があると、身体の部位がわからなくなったり(身体失認)、視野の左側が認知できなくなります。(左半側空間無視)

4.側頭連合野には、感覚性言語野ウェルニッケ中枢)があります。ここは聞いたり、読んだりした言語を理解する機能をつかさどっています。
 ここに障害があると、相手の話が理解できなかったり、自分の話す内容が意味不明なものになります。(感覚性失語症





睡眠と脳波

問題2 成人脳波で最も振幅が大きくなるのはどれか。【難易度☆☆

1.安静閉眼時
2.暗算作業時
3.レム睡眠時
4.ノンレム睡眠時

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答え 

 正常脳波はα波β波Θ波δ波の4つに分類されます。脳波の周波数や振幅は覚醒レベルや睡眠の深度により大きく異なります。

周波数とは、1秒間に繰り返される波の数のことです。1秒間に波が60回あれば60Hzです。
振幅とは、波の大きさです。

・緊張や興奮状態では、周波数が高くなり、振幅が小さくなります。(細かく小さい波)
・睡眠など覚醒レベルが低下すると、周波数が小さくなり、振幅が大きくなります。(ゆっくりとした大きい波) 

脳波周波数
Hz
振幅
μV
意識状態
β波14~3020精神作業、刺激、興奮時
α波8~1330安静、閉眼時
θ波4~750睡眠時、小児
δ波1~3100深睡眠時、幼児、新生児

 上の表のように、睡眠時は意識レベルが低下し脳波の振幅が大きくなっていきますが、一定ではなく周期的な変化がみられます。

 睡眠はノンレム睡眠レム睡眠を交互に繰り返します。

ノンレム睡眠
・4段階(ステージ1~4)ある。
・ステージ1から4にかけて段々、脳波の振幅が大きくなる。Θ波からδ波へ。
・特殊な脳波(紡錘波、Kコンプレックス)がみられる。

レム(REM)睡眠
・ノンレム睡眠のステージ4から続く。
・ぐっすり眠っているにも関わらず覚醒時と似たような脳波β波やΘ波)がみられる。
・逆説睡眠という。
・(閉じた眼瞼の下で)急速眼球運動(Rapid Eye Movement)がみられる。
・抗重力筋が弛緩する。=坐位では姿勢が崩れる。
・呼吸や脈拍が乱れる。
夢をみていることが多い。
・1回の睡眠に4~5回みられる。






脳幹の機能

問題3 脳幹の機能で正しいのはどれか。【難易度

1.飲水行動の調節
2.体温の調節
3.瞳孔の調節
4.情動行動の調節

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答え 

 脳幹とは中脳延髄の総称で生命維持にもっとも重要な機能があります。

【脳幹の機能】
1)呼吸の調節・・・ヘーリング・ブロイエル反射、くしゃみ反射、せき反射
2)消化の調節・・・唾液、嚥下、嘔吐
3)循環の調節・・・血圧、血管運動
4)瞳孔の調節・・・対光反射
5)排泄の調節・・・排尿反射
6)姿勢の調節・・・前庭迷路反射、緊張性頸反射など

1.飲水行動の調節、2.体温の調節は視床下部の機能です。
4.情動行動の調節は大脳辺縁系の機能です。






自律神経の支配様式

問題4 自律神経の拮抗性支配を受けるのはどれか。【難易度☆☆

1.心筋細胞
2.副腎髄質
3.汗 腺
4.唾液腺

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答え 

自律神経の効果器支配の様式
1)不随意性
2)二重支配
3)拮抗性支配
4)持続性支配

1)不随意性
 ・自律神経活動は意思による調節はできません。

2)二重支配
 ・自律神経の効果器官(内臓、平滑筋)の多くは交感神経と副交感神経の双方の支配をうけます。
 ・例外があります。
 a)交感神経のみに支配される器官
  ・瞳孔散大筋、副腎髄質、腎臓、脾臓、汗腺、立毛筋、血管の大部分
 b)副交感神経のみに支配される器官
  ・瞳孔括約筋

3)拮抗性支配
 ・効果器官に及ぼす影響は交感神経と副交感神経では相反しています。
  (例)心機能は交感神経により促進され、副交感神経により抑制されます。
     胃腸活動は副交感神経により促進され、交感神経により促進されます。
  (例外)唾液腺は交感神経、副交感神経ともに分泌が促進されます。

4)持続性支配
 ・自律神経線維は絶えず一定の興奮状態を維持(活動電位が常に発生)している。これをトーヌスといいます。    





内臓反射

問題5 体性-内臓反射はどれか。【難易度☆☆

1.立毛筋反射
2.圧受容器反射
3.筋性防御
4.陽性支持反応

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答え 

 反射とは、刺激に対して意識とは関係なく起こる局所的な反応のことをいいます。刺激と反応の関係は反射弓によって成り立っています。

【反射弓の構成】
① 受容器
② 求心性神経
③ 反射中枢
④ 遠心性神経
⑤ 効果器

 反射弓のうち、自律神経が関わるものを内臓反射自律神経反射)、関わらないもの(体性神経だけのもの)を体性反射といいます。

1)内臓―内臓反射
 ・求心性神経、遠心性神経がともに自律神経のもの
 ①圧受容器反射(血圧調節)
 ②胃腸管運動(胃ー大腸反射など)

2)体性―内臓反射
 ・求心性神経が体性神経、遠心性神経が自律神経のもの
 ①圧発汗反射
 ②鍼灸施術
 ③立毛筋反射

3)内臓ー体性反射
 ・求心性神経が自律神経、遠心性神経が体性神経のもの
 ①筋性防御
 ②ヘーリング・ブロイエル反射




参考文献

・南江堂「生理学 改訂第3版」
・南江堂「生理学 改訂第4版」

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