足関節外側靱帯損傷のまとめ【必修問題】

必修問題のまとめ

こんにちは。塾長のFです。

必修範囲の足関節外側靱帯損傷についてまとめてみました。

問題を解くヒントになると思うので必修の範囲ではないところも記述しています。

下の方に過去問も載せています。先に過去問したい人はこちら(国家試験過去問)。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

*必修範囲は足関節外側靱帯損傷の診察検査固定法です。
 必要に応じてスキップしてください。

足関節外側靱帯損傷 lateral ankle ligament injury

概 説

・疾走、跳躍を伴うスポーツだけでなく、歩行や階段を降りるときなど日常でも起こることが多い。

・「捻挫」といえばコレというくらい代名詞的な外傷。

前距腓靱帯の単独損傷がもっとも多い。

足関節外側靱帯

日本整形外科学会のHPより転載

1)前距腓靱帯
 ・距骨の前方移動や底屈を制御する。

2)踵腓靱帯
 ・足部の内転を制御する。

3)後距腓靱帯
 ・距骨の後方移動を制御する。

発生機序

・足関節の内がえし(内反強制)により発生する。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

内がえしとは

足関節の底屈、内転、回外の複合的な運動です。

具体的には「足の裏が内を向く」動きです。

・内反強制の強度により前距腓靭帯 → 踵腓靱帯 → 後距腓靱帯の順に損傷する。

症 状

症状の大きさと損傷の度合いは一致しない場合が多い。
例)外側靱帯完全断裂よりも前距腓靭帯の単独損傷の方が腫脹が高度な場合がある。

1)疼 痛
・外果下部に著明。前距腓靭帯単独損傷の場合は外果前下部に限局。

2)腫 脹
・外果周辺に著明。

3)皮下出血斑
・外果下部に当日から翌日の間に出現。
・時間経過とともに(重力にしたがって)下方に移動する。

4)歩行困難

5)関節動揺性
 ① 距骨の前方動揺性
  ・前距腓靭帯断裂時にみられる。
 ② 足部の内反動揺性
  ・前距腓靭帯および踵腓靱帯断裂時にみられる。 

6)距骨傾斜角の増大
 ①  ~ 5°    ・・・正常範囲
 ② 5 ~ 15°  ・・・前距腓靱帯断裂
 ③ 15 ~ 30°  ・・・前距腓靱帯踵腓靱帯断裂
 ④ 30°~    ・・・完全断裂前距腓靱帯踵腓靱帯後距腓靱帯

検査法

前方引き出しテスト

① 患者を背臥位とする。

② 一手で下腿遠位部を固定、他手で踵部を外後方より把持する。

③ 検者は踵部を後方から圧迫し、距骨の前方移動を触知すれば陽性とする。

内反ストレステスト

① 患者を背臥位とする。

② 一手で下腿遠位部を固定、他手で踵部を外方より把持する。

③ 検者は足部に内反強制を加え、動揺性があれば陽性とする。
 *距骨と外果との間の裂隙の拡大があれば動揺性有りとする。

固 定

1)固定材料
・合成樹脂キャスト材、厚紙副子、非伸縮性テープ、巻軸包帯など

2)固定肢位
・足関節 0°(直角)
・足 部 回内回外中間位

3)固定法
① 厚紙副子・合成樹脂キャスト材による固定
 ・完全断裂の場合に用いる。

② 絆創膏(ホワイトテーピング)固定
 a.アンダーラップ
  ・皮膚のかぶれ予防のため下巻きに用いる。

 b.アンカー
  ・テーピングの土台(ベース)となる。

 c.スターアップ
  ・内反防止のため、内側から外側へ貼付する。

 d.ホースシュー
  ・スターアップの補強とアキレス腱保護の目的。

バスケットウィーブ固定
 スターアップとホースシューを直交するように巻く

 e.フィギアエイト
  ・足関節の底屈、内反を防止する。
  ・外反、背屈方向に張力を加え、8の字状に貼付する。

 f.ヒールロック
  ・踵部の左右方向へのブレを防止する。

【参考】
足首 : 足首の内反捻挫(ねんざ)予防(基本編) | テーピング 巻き方 | バトルウィン™ (battlewin.com)(外部ページに飛びます)

4)固定期間
① 前距腓靭帯の部分断裂の場合:3週間
② 前距腓靭帯の完全断裂の場合:6~8週間
③ 外側靱帯の完全断裂の場合 :6~8週間

後療法

1)受傷直後から48時間まではアイスパックなど冷罨法を実施する。

2)炎症軽減後(5日目以降)は温罨法を実施する。

3)固定中に足関節の等尺性運動を実施する。足指は積極的に運動させる。

4)固定除去後、伸張運動(ストレッチ)、自動収縮運動させる。

5)再発防止のために外反作用の筋(長・短腓骨筋、第3腓骨筋)を強化する。

国家試験過去問

問題 足関節内返し損傷で好発する部位はどれか。(第30回)

1.三角靱帯
2.踵誹靱帯
3.前距排靱帯
4.前脛腓靱帯

答えと解説をみる
答え 





問題 足関節外側靱帯損傷のテーピングで内反を制御するのはどれか。(第30回)

1.アンカー
2.ホースシュー
3.サーキュラー
4.スターアップ

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問題 足関節外側側副靱帯損傷で誤っているのはどれか。(第29回)

1.内返しで発生する。
2.腫脹は損傷の程度と一致する。
3.前距誹靱帯の単独損傷が多い。
4.受傷直後は起立不能になることがある。

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答え 

.腫脹や疼痛などの症状は損傷程度と一致しないことが多いです。





問題 前距腓靱帯断裂で誤っているのはどれか。(第29回)

1.足関節外果部前方の皮下出血斑
2.内返し強制での疼痛増強
3.足関節周囲の圧痛
4.前方引き出しテスト陰性

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答え 

.前距腓靭帯は距骨の前方移動を制御しているため、断裂すると前方引き出しテストが陽性となります。

前方引き出しテストをみる





問題 足関節外側側副靱帯損傷のテーピングで正しいのはどれか。(第29回)

1.ヒールロックは足関節の底背屈を制限する。
2.スターアップは下腿内側からはじめ外側で終わる。
3.フィギュアエイトは一定の圧で貼付する。
4.ホースシューは内返し・外返しを制限する。

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答え 2

1.ヒールロックは踵部の左右方向へのブレを安定させます。

スターアップ内側から外側へ貼付することにより足部の内反を制限します。

3.フィギアエイトは内反防止のため、外反方向へ張力を加えます

4.ホースシューの目的はスターアップの補強とアキレス腱の保護です。

テーピング固定をみる





問題 足関節外側側副靱帯 I 度損傷でみられないのはどれか。(第28回)

1.疼 痛
2.腫 脹
3.圧 痛
4.不安定性

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答え 

.第Ⅰ度損傷では靱帯の断裂はないため、不安定性はみられません。
 関節の不安定性は第Ⅱ度損傷以上でみられます。

靱帯損傷の分類
 Ⅰ度 靱帯の微小な損傷。疼痛、腫脹は軽微で関節の不安定性はない。
 Ⅱ度 靱帯の部分断裂。関節の不安定性、機能障害が認められる。
 Ⅲ度 靱帯の完全断裂。関節の不安定、機能障害が高度にみられる。脱臼を伴うことがある。





問題 足関節外側側副靱帯完全断裂時の固定期間で正しいのはどれか。(第28回)

1.約 1 週
2.約 3 週
3.約 7 週
4.約12 週

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答え 

足関節外側側副靱帯完全断裂時の固定期間は6~8週です。

固定期間をみる





問題 足関節内返し強制による前距腓靱帯損傷で正しいのはどれか。(第25回)

1.疼痛や腫脹の程度と損傷程度は比例する。
2.足関節底屈位に比べ足関節直角位での内反強制で疼痛が増強する。
3.外果と第5中足骨基部を結ぶ線の中点から2横指前方に圧痛がみられる。
4.重症例では距骨の前方引き出し症状がみられる。

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答え 

1.症状の程度と損傷程度は一致しません。

2.直角位より底屈位での内反が前距腓靭帯がより伸長されるため疼痛が増強します。
(直角位ではほぼ踵腓靱帯のみが緊張する。)

3.二分靱帯損傷時の圧痛部位です。





問題 前距腓靭帯損傷で疼痛が著しく増強するのはどれか。(第24回)

1.距骨後方押し込み強制
2.足部内がえし強制
3.足関節外転強制
4.関節背屈強制

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答え 





問題 足関節の内反強制で外果下部の裂隙が拡大するのはどれか。(第20回)

1.前距腓靭帯断裂
2.二分靭帯断裂
3.第五中足骨基部裂離骨折
4.アキレス腱断裂

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問題 足関節捻挫で正しいのはどれか。(第17回)

1.外がえし捻挫の発生が多い。
2.内がえし捻挫では内側靱帯損傷がみられる。
3.後距腓靱帯断裂が起きると前方引き出しが著明となる。
4.距骨傾斜角の増大は重度損傷でみられる。

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答え 

1.内がえし捻挫の発生が多いです。

2.内側靱帯(三角靱帯)損傷外がえし捻挫で発生します。

3.後距腓靱帯は距骨の後方移動を制限するため、後方引き出しが著明となります。

距骨傾斜角をみる





問題 足関節捻挫について誤っているのはどれか。(第16回)

1.内がえし外力によって発生することが多い。
2.踵腓靱帯の損傷が多い。
3.前方不安定性がみられる。
4.果部骨折との鑑別を要する。

答えと解説をみる
答え 

.最も多いのは前距腓靭帯の単独損傷です。

参考文献

・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
・南江堂「柔道整復学・実技編 改訂第2版」

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