下腿三頭筋肉離れ、アキレス腱断裂のまとめ【必修問題】

必修問題のまとめ

こんにちは。塾長のFです。

必修範囲の下腿三頭筋肉離れアキレス腱断裂についてまとめてみました。

問題を解くヒントになると思うので必修の範囲ではないところも記述しています。

下の方に過去問も載せています。先に過去問したい人はこちら(国家試験過去問)。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

*必修範囲は下腿三頭筋肉離れ診察検査法アキレス腱断裂固定法です。
 必要に応じてスキップしてください。

下腿三頭筋肉離れ Triceps muscle separation ”tennis leg”

概 説

・テニスをしていて受傷することが多いのでテニスレッグとよばれる。

・スポーツ選手を中心に幅広い年齢層で発生するが、30代以降、年齢が高くなるほど発生頻度が高くなる。

発生機序

1)踏み込みや踏ん張りが多いスポーツ(剣道やテニス、バドミントン等)
膝関節伸展位足関節背屈(伸展)位
腓腹筋
遠心性収縮がおこるときに発生する。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

下腿三頭筋肉離れはヒラメ筋より腓腹筋に多く発生します。

腓腹筋は二関節筋で、膝関節と足関節がともに伸展すると筋により強い牽引力が働くためです。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

踏み込みや踏ん張るときの後ろ足に多く発生します。

例えば剣道の構えはほぼ100%、右足が前、左足が後ろの構えになるので、剣道では左足の発生が多くなります。

2)ランニング
・筋疲労が基盤となるので、短距離走より長距離走、マラソンに多く発生する。

好発部位

腓腹筋内側頭筋腹から筋腱移行部

症 状

1)腫脹、圧痛、筋硬結

2)他動伸長痛自動抵抗運動時痛

3)陥 凹
・筋断裂があればみられる。

4)皮下出血斑
・翌日以降に出現し、足尖まで拡大する。

5)歩行困難

検査法

1)収縮痛を診る検査
① 患者を腹臥位とする。

② 検者は一手で足底、他手で下腿遠位部を把持する。

b.患者に足関節底屈を指示し、検者はそれに抵抗を加え、損傷部に一致した疼痛の確認をする。

2)伸長痛を診る検査
① 患者を腹臥位とする。

② 賢者は一手で足底、他手で下腿遠位部を把持する。

③ 患者に力を抜くよう指示し、検者は徐々に足関節を背屈、損傷部に一致した疼痛の確認をする。

3)トンプソン Thompson テスト
① 下腿三頭筋肉離れでは陰性となる。

*トンプソンテストの詳細をみる

固定法

・アキレス腱断裂の固定法に準ずる。

*アキレス腱断裂の固定法をみる

アキレス腱断裂 Achilles tendon rupture

概 説

・下腿三頭筋肉離れよりも発生年齢が高く、スポーツをしている30~50代に特に多い。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

 アキレス腱断裂は、普段からスポーツをしている人より久しぶりに運動をした中年に多くみられます。

 「子供の運動会の父兄競技で張り切るお父さん」ですね(笑)

発生機序

・ジャンプの着地時やスタートダッシュ時などアキレス腱に急激な張力が加わったときに発生する。

好発部位

1)アキレス腱狭窄部
・アキレス腱停止部(踵骨隆起)より近位2~5cm付近。

2)筋腱移行部

症 状

1)アキレス腱部を「棒で殴られた」「蹴られたような」感覚を訴える

2)断裂音(pop音)
・パキッ、バチン、ポーンなどと何かが破裂したような音を自覚する。

3)アキレス腱のレリーフ(浮き彫り、凹凸)が消失

4)陥 凹
・完全断裂の場合に触知する。
・時間経過とともに触知が困難になる。(腫脹してくるため)

4)疼痛は軽微
・他の肉離れに比べると自発痛、運動痛ともに軽微。

5)歩行困難
・受傷直後は不能だが時間経過とともに歩けるようになることが多い。但し、跛行を認める。

6)つま先立ちが不能
・後脛骨筋や長母指屈筋の作用により足関節の自動底屈は可能だが、つま先立ちできるほどの底屈力はない。

検査法

1)トンプソン Thompson テスト
 *シモンズ・スクイーズ Simmonds squeezing テストともいう。

① 患者を腹臥位とする。

② 膝伸展位で足部をベッドの端から出す。

③ 検者は下腿を絞り、足関節が底屈しなければ陽性(アキレス腱断裂)とする。
  *腓腹筋肉離れでは陰性(底屈する)となる。

2)マトレス Matles テスト
  *knee flexion(膝屈曲) testともいう。

① 患者を腹臥位とする。

② 患者に足関節底屈位のまま、膝関節を屈曲させる。

③ 底屈位を保持できず、中間位(0°)や軽度背屈位ならば陽性とする。

固定法

固定材料

1)クラーメル金属副子
2)合成樹脂キャスト材
3)絆創膏(伸縮テープ)
4)巻軸包帯 など

固定肢位

1)膝関節:90°屈曲位
2)足関節:最大底屈位または自然下垂位

固定範囲

大腿中央部からMP関節手前まで
*足指は固定しない。

固定期間

1)アキレス腱断裂の場合
・最大 週間
・受傷後2~3週経過で下腿以下の範囲とし、足関節の底屈角度を減少させる。
・受傷後4~5週経過で足関節軽度底屈位とする。

2)腓腹筋肉離れの場合
週間を目安とする。

注意事項

1)神経圧迫の防止
・固定の際、腓骨頭部を有窓にする。(腓骨神経麻痺の防止)
・就寝時に膝外側(腓骨頭部)を床につけない。

2)血流障害の防止
・爪圧迫検査で確認する。

3)褥創の防止
・固定の際、腓骨頭部踵部に綿花枕子をあてる。

4)再断裂
・受傷後1~2か月の間がもっとも再断裂しやすい。
・固定除去後、他動的な足関節背屈(ストレッチ)を強制しない。
6か月間は激しい運動を控えるよう指導する。

予 後

1)スポーツ選手以外では保存療法を選択することが多い。

2)アキレス腱は他の腱に比べ修復力が旺盛のため、予後は良好。

国家試験過去問

問題 下腿三頭筋肉離れの発生肢位の組合せで正しいのはどれか。(第30回)

1.膝関節伸展  ―  足関節背屈
2.膝関節伸展  ―  足関節底屈
3.膝関節屈曲  ―  足関節背屈
4.膝関節屈曲  ―  足関節底屈

答えと解説をみる
答え 

下腿三頭筋肉離れは腓腹筋に多く発生します。

.腓腹筋の起始(大腿骨顆部)と停止(踵骨隆起)がもっとも離れる膝伸展位足関節背屈位で発生しやすくなります。

下腿三頭筋肉離れの発生機序をみる





問題 アキレス腱断裂に対する固定で圧迫による皮膚障害が生じやすい部位はどれか。(第30回)

1.下腿中央
2.断裂部
3.踵 部
4.足弓部

答えと解説をみる
答え 

.固定での圧迫による皮膚障害(褥創)は腓骨頭部踵部など皮膚の突出部に発生しやすくなります。

アキレス腱断裂の固定の注意事項をみる





問題 下腿三頭筋肉離れで誤っているのはどれか。(第29回)

1.直達外力による発生頻度が高い。
2.下腿中央部内側に圧痛を認める。
3.足関節の他動的背屈強制で疼痛を認める。
4.下腿をつかむと足関節が底屈する。

答えと解説をみる
答え 

.下腿三頭筋に限らず、肉離れのほとんどは介達外力によって発生します。

2.好発部位は腓腹筋内側頭筋腹~筋腱移行部です。

3.足関節の他動的背屈強制自動底屈時の抵抗強制で疼痛を認めます。

4.下腿三頭筋肉離れではトンプソンテストは陰性となります。

トンプソンテストの詳細をみる





問題 アキレス腱断裂の固定で正しいのはどれか。(第29回)

1.足MP関節手前まで固定する。
2.膝関節は軽度屈曲位にする。
3.足関節は軽度背屈位にする。
4.固定期間は2週とする。

答えと解説をみる





問題 下腿三頭筋肉ばなれで痛みが誘発されない足関節運動はどれか。(第28回)

1.自動屈曲
2.自動伸展
3.他動屈曲
4.他動伸展

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答え 

.足関節の他動屈曲では腓腹筋に張力が働かず疼痛は誘発されません。





問題 肉離れの好発部位はどれか。2つ選べ。(第10回)

1.a
2.b
3.c
4.d

答えと解説をみる
答え 2,3

下腿三頭筋の肉離れは腓腹筋(特に内側頭筋腹から筋腱移行部にかけてです。

下腿三頭筋肉離れの好発部位をみる





問題 アキレス腱断裂の症状で正しいのはどれか。(第9回)

1.足関節の自動底屈ができる。
2.足関節を背屈するとアキレス腱が緊張する。
3.つま先立ちができる。
4.下腿三頭筋をつかむと足関節が底屈する。

答えと解説をみる
答え 

.アキレス腱断裂では足関節の底屈力は低下(つま先立ち不可)するが、自動底屈は可能です。

2.「アキレス腱が緊張する」とはこの場合、「筋が収縮(短縮)する」の意と思われます。

4.トンプソンテストが陽性(底屈しない)となります。

トンプソンテストの詳細をみる





問題 アキレス腱断裂の好発部位はどこか。(第8回)

1.a
2.b
3.c
4.d

答えと解説をみる
答え 

.アキレス腱断裂の好発部位は狭窄部(もっとも細い部分)です。

アキレス腱断裂の好発部位をみる





問題 下腿三頭筋肉ばなれで誤っているのはどれか。(第7回)

1.血腫を形成する。
2.ヒラメ筋に多い。
3.発生要因に寒冷がある。
4.つま先立ちで疼痛が増強する。

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答え 

.1関節筋であるヒラメ筋より2関節筋である腓腹筋に多く発生します。





問題 下腿部の肉ばなれで誤っているのはどれか。(第6回)

1.腓腹筋の損傷頻度が高い。
2.スポーツ活動時に多い。
3.損傷部に限局した疼痛がみられる。
4.損傷部の圧迫固定は禁忌である。

答えと解説をみる
答え 

.損傷の初期処置の基本はRICEです。
 ① 安静 Rest
 ② 冷却 Icing
 ③ 圧迫 Compression
 ④ 挙上 Elevation

RICEは炎症反応による疼痛を抑制し、出血や浮腫による腫脹を抑える効果があります。





問題 アキレス腱断裂で正しいのはどれか。(第6回)

1.アキレス腱を強打され発生することが多い。
2.新鮮時には断裂郡に膨隆が触知できる。
3.踵骨停止部から中枢約10cmに好発する。
4.トンプソンテストで足関節底屈がみられない。

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答え 

1.ジャンプの着地や踏ん張るときにアキレス腱が伸張されて発生します。(介達外力

2.新鮮時には断裂郡に陥凹が触知できます。

3.好発部位は踵骨停止部から近位へ約2~5cmの部分です。

アキレス腱断裂をみる





問題 アキレス腱断裂で誤っているのはどれか。(第4回)

1.つま先立ちは可能である。
2.歩行は可能である。
3.断裂部に陥凹を触知する。
4.固定は尖足位とする。

答えと解説をみる

参考文献

・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
・南江堂「柔道整復学・実技編 改訂第2版」

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