膝側副靱帯損傷のまとめ【必修問題】

必修問題のまとめ

こんにちは。塾長のFです。

膝側副靱帯損傷についてまとめてみました。

問題を解くヒントになると思うので必修の範囲ではないところも記述しています。

下の方に過去問も載せています。先に過去問したい人はこちら(国家試験過去問)。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

*必修範囲は膝側副靱帯損傷診察検査、固定です。
 必要に応じてスキップしてください。

膝内側側副靱帯損傷 medial collateral ligament injury

概 説

内側側副靱帯(MCL)は外側側副靱帯(LCL)より頻度が高い。

前十字靭帯や内側半月などの合併損傷が多い。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

内側側副靱帯前十字靭帯内側半月は3つ同時に合併損傷を起こすことが多く、「不幸の三徴候 unhappy triad」とよばれています。

発生機序

1)膝の外反強制
接触損傷が多い。
・股関節外転位、膝関節伸展位で膝の外側から外力が加わったときなど。
・非接触損傷では、ジャンプの着地時などで発生する。

2)アライメント異常
外反膝(X脚)で発生しやすい。

症 状

1)疼 痛
 ① 限局性圧痛
 ・MCLの大腿骨付着部に多い。
 ・内側関節裂隙部

 ② 運動時痛
 ・膝屈伸時

2)運動制限
・膝関節の伸展制限。(MCLは膝伸展時に緊張し疼痛が誘発される。)

3)膝関節の外反動揺性
・MCL単独損傷では膝軽度屈曲位で著明となる。

4)断裂音(POP音)
・完全断裂の場合、受傷時に自覚することがある。

5)腫 脹
・MCLは関節外靱帯のため、関節血腫によるものではない。

6)筋萎縮
・陳旧例で内側広筋に多く認められる。

検査法

側方動揺性テスト(外反ストレステスト)

① 患者を背臥位とする。

② 一手で膝外側部、他手で下腿遠位部を把持する。

③ 膝軽度屈曲位で膝関節に外反を加え、動揺性があれば陽性とする。
 *関節裂隙が開大すれば動揺性ありとする。

④ 同様の検査法を膝伸展位で行い、
  動揺性がなければMCLの単独損傷が考えられる。
  動揺性があれば前十字靭帯(ACL)などの合併損傷を疑う。

*関節動揺性テストは健側肢から先に行い、左右差を確認する。

膝軽度屈曲位での検査膝伸展位での検査
MCL単独損傷の場合動揺性 動揺性 
ACL合併損傷の場合動揺性 動揺性 

グラビティテスト gravity test

*gravityとは「重力」の意。

① 患者を背臥位とする。

② 患側下肢の膝から遠位をベッドから出し、膝関節内側に重力による荷重が加わるようにする。

③ 膝関節に外反動揺性があれば陽性とする。

牽引アプレー(アプライ)テスト Apley’s distraction test

① 患者を腹臥位とする。

② 患肢の膝直角位で下腿遠位部を把持し、検者の膝を患肢大腿遠位部に置き固定する。

③ 患肢下腿部を長軸方向に牽引しながら下腿を内・外旋する。

④ 膝内側部に疼痛があれば内側側副靱帯、外側部にあれば外側側副靱帯の損傷を疑う。

固 定

1)固定材料
・金属副子、ギプス、厚紙副子、綿花、ホワイトテープ、巻軸包帯など

2)固定肢位
① 膝関節 軽度屈曲位
② 足関節 中間位
*立位で固定する場合、踵部に台などを敷き補高すると膝軽度屈曲位を保ちやすい。

3)固定範囲
大腿中央部から下腿中央部まで

4)固定期間
2~3週間

5)固定法
① ギプスシャーレ固定

② 副子固定

③ ジョーンズ包帯固定

④ Xサポート絆創膏固定

膝(ひざ) : 膝(ひざ)を内側に曲げると痛い時(基本編) | テーピング 巻き方 | バトルウィン™ (battlewin.com)(外部ページに飛びます)

6)固定後の確認
① 運動・感覚の確認
 ・腓骨神経麻痺は固定による腓骨頭圧迫によるものが多いため、腓骨頭部に綿花枕子をあてる。

② 循環の確認
 ・足背動脈の拍動触知で確認する。

国家試験過去問

問題 膝関節側副靱帯損傷でみられるのはどれか。(第30回)

1.側方動揺性
2.嵌頓症状
3.膝崩れ
4.軋轢音

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答え 

側方動揺性は内側側副靱帯(MCL)損傷では外反動揺性、外側側副靱帯(LCL)では内反動揺性がみられます。

2.嵌頓症状(クリック、ロッキング、スナッピング)は半月板損傷などでみられます。

3.膝崩れは、前十字靭帯損傷などでみられます。

4.軋轢音は、骨折の固有症状です。



問題 膝内側側副靱帯単独損傷時の外反ストレステストの陽性所見はどれか。(第29回)

1.握雪音
2.クリック
3.サグサイン
4.関節裂隙の開大

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答え 

1.握雪音は、皮下気腫などでみられます。

2.クリックは、半月板損傷などでみられます。

3.サグサインは、後十字靭帯損傷でみられます。

関節裂隙の開大は側方動揺性を証明するものです。



問題 膝関節内側側副靱帯損傷の固定で誤っているのはどれか。(第29回)

1.大腿近位部から下腿遠位部まで固定する。
2.固定は腓骨頭に綿花枕子をあてる。
3.固定期間は4~5週とする。
4.固定除去後は外反・外旋を制限する。

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答え 

.固定期間は2~3週間です。



問題 膝関節内側側副靱帯損傷の所見はどれか。(第28回)

1.軋礫音が著明である。
2.内側に限局した圧痛を認める。
3.嵌頓症状を認める。
4.内反動揺性が出現する。

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答え 



問題 膝関節側副靱帯損傷の検査法はどれか。(第28回)

1.ラックマンテスト
2.牽引アプライテスト
3.マックマレーテスト
4.前方引き出しテスト

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答え 

1.ラックマンテストは、前十字靭帯損傷の検査法です。

3.マックマレーテストは、半月板損傷の検査法です。

4.前方引き出しテスト前十字靭帯損傷の検査法です。



問題 膝関節内側側副靱帯損傷の固定肢位はどれか。(第28回)

1.膝関節完全伸展位
2.膝関節軽度屈曲位
3.膝関節60度屈曲位
4.膝関節直角位

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答え 



問題 膝関節内反動揺検査で正しいのはどれか。(第26回)

1.内側側副靱帯損傷の重症度を判定する。
2.患側から先に検査を行い健側と比較する。
3.大腿四頭筋を収縮させて行うと検査が容易である。
4.30度屈曲位で動揺がなければ伸展位の検査は必要ない。

側方動揺性テストをみる

1.外側側副靱帯損傷の検査法です。

2.健側肢から先に行います。

3.大腿四頭筋を収縮させると膝関節が固定され、動揺性が確認できません。
 患者に力を抜かせて行います。

4.30度屈曲位(軽度屈曲位)で動揺性がなければ、MCLもACLも損傷していない証明になるので、あえて伸展位で検査する意味はありません。



問題 Ⅱ度の膝側副靭帯損傷でみられないのはどれか。(第20回)

1.限局性圧痛
2.関節部の腫脹
3.軸圧痛
4.側方動揺性

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答え 

.軸圧痛は、半月板損傷などでみられます。
 すなわち内側側副靱帯損傷に圧迫アプレーテストは有用ではありません。

参考文献

・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
・南江堂「柔道整復学・実技編 改訂第2版」

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