こんにちは。塾長のFです。
生理学の消化と吸収の問題を作ってみました。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
消化管の構造
問題1 消化管の内容物の逆流防止に関与するのはどれか。2つ選べ。【難易度☆】
1.オッディーの括約筋
2.幽門括約筋
3.バウヒン弁
4.十二指腸提筋
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答え
2,3
1.オッディーの括約筋は大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)にあり、主膵管と総胆管の開口部を取り囲み、それを閉めます。すなわち膵液と胆汁の腸管への分泌を止める作用です。
2.幽門括約筋は胃の幽門に輪走する平滑筋で、十二指腸から胃への内容物の逆流を防ぎます。
3.バウヒン弁(回盲弁)は回腸末端にあります。盲腸に向かって突出しており、大腸から小腸への内容物の逆流を防ぎます。
4.十二指腸提筋(トライツ靱帯)は十二指腸空腸曲にあり、空腸の起始部を支持、固定しています。
胃酸分泌
問題2 胃の塩酸分泌を促進するのはどれか。【難易度☆☆】
1.ヒスタミン
2.ノルアドレナリン
3.プロスタグランジン
4.セクレチン
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答え
1
胃液に含まれる塩酸は胃腺の壁細胞から分泌されます。
食物の殺菌や消毒、ペプシノゲンを消化酵素であるペプシンを活性化する作用があります。
壁細胞には種々の受容体があり、刺激により塩酸分泌が促進されます。
胃酸分泌を促進するもの
1)ヒスタミン
・H2受容体を介して壁細胞を刺激する。
・H2受容体阻害薬(H2ブロッカー)は胃潰瘍の治療に用いられる。
F塾長
【ヒスタミンってナニモノ?】
ヒスタミンは生体に広く分布する生理活性作用のあるタンパク質です。
主に白血球である肥満細胞で生成されます。
その作用は細胞にある受容体(H1~H4)ごとに異なります。
・H1受容体・・・アレルギー反応
・H2受容体・・・胃酸分泌
・H3受容体・・・中枢神経系での神経伝達
・H4受容体・・・免疫細胞の遊走
2)アセチルコリン
・副交感神経線維である迷走神経の終末より分泌され、ムスカリン受容体を介して壁細胞を刺激する。
3)ガストリン
・胃の幽門前庭にあるG細胞から分泌される消化管ホルモン。血液を介して壁細胞を刺激する。
胃酸分泌を抑制するもの
1)セクレチン
・十二指腸から分泌される消化管ホルモン。血液を介して壁細胞を抑制する。
2)ノルアドレナリン
・交感神経末端から分泌され、α受容体を介して胃酸分泌を抑制する。
小腸での消化
問題3 小腸上皮細胞上のオリゴ糖分解酵素はどれか。【難易度☆☆】
1.アミノペプチダーゼ
2.ラクターゼ
3.トリプシン
4.リパーゼ
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答え
2
オリゴ糖とは、単糖が2~10個結合したものです。(小糖類ともいう)
小腸上皮細胞の微絨毛表面にはオリゴ糖分解酵素が存在し、二糖類は単糖類に分解されて上皮細胞内に吸収されます。
小腸上皮細胞膜上の消化酵素
1)マルターゼ
・二糖類のマルトースをグルコース2分子に分解する。
2)スクラーゼ
・二糖類のスクロースをグルコースとフルクトースに分解する。
3)ラクターゼ
・二糖類のラクトースをグルコースとガラクトースに分解する。
消化酵素一覧
| 糖 質 | タンパク質 | 脂 質 |
---|
唾 液 | アミラーゼ(プチアリン) | | |
胃 液 | | ペプシン | |
膵 液 | アミラーゼ(アミロプシン) マルターゼ | トリプシン キモトリプシン エラスターゼ カルボキシペプチダーゼ | 膵リパーゼ(ステアプシン) |
小腸微絨毛 | マルターゼ スクラーゼ ラクターゼ | アミノペプチダーゼ | 腸リパーゼ |
ミセルの形成
問題4 ミセルの形成に関与しないのはどれか。【難易度☆☆】
1.リパーゼ
2.Na+
3.胆汁酸
4.脂肪酸
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答え
2
ミセルとは小腸上皮細胞に脂質が吸収されるときのかたちです。
食物中のトリグリセリド(中性脂肪)は膵臓から分泌されるリパーゼによって脂肪酸とモノグリセリドに分解されます。
脂肪酸とモノグリセリドは胆汁中の胆汁酸の乳化作用を受けてミセルが形成されます。
ミセルとなって小腸上皮細胞に取り込まれた脂肪酸とモノグリセリドはトリグリセリドに再合成され、さらに他の脂質類と一緒にカイロミクロンを形成します。
カイロミクロンは小腸絨毛中のリンパ管へ入り、胸管を経て静脈に流入します。
Na+はグルコースやアミノ酸の吸収に関与します。
ビリルビン代謝
問題5 ビリルビン代謝について正しいのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.老廃赤血球より遊離したグロビンから変換される。
2.結合タンパクにより肝臓へ運ばれる。
3.肝臓で水溶性から脂溶性に変換される。
4.肝静脈から下大静脈を経て心臓に運ばれる。
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答え
2
ビリルビンは赤血球に含まれる黄色の色素です。
老廃赤血球は脾臓などでマクロファージに分解され、ヘモグロビンが遊離します。
ヘモグロビンはヘムとグロビンに分かれ、ヘムからビリルビンが生じます。これを間接型ビリルビンとよびます。
間接型ビリルビンは毒性があり、水に溶けないため、血漿タンパクであるアルブミンと結合し血液によって肝臓へ運搬されます。
間接型ビリルビンは肝臓で無毒化され、水溶性に変換されます。これをグルクロン酸抱合といい、変換後のビリルビンを直接型ビリルビンとよびます。
直接型ビリルビンは胆汁に含まれ、胆道を通って十二指腸に排出されます。
直接型ビリルビンの大部分は腸内酵素により無色のウロビリノゲンとなり、さらに褐色のステルコビリンとなって糞便中に排出されます。
一部は再吸収され肝臓に戻され(腸肝循環)、一部は尿中に排出されます。
参考文献
・南江堂「生理学 改訂第3版」
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