柔道整復師国家試験対策問題【生理学 第17回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

生理学の「感覚の生理」の問題をつくってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

受容器と適刺激

問題1 適刺激と受容器の正しい組合せはどれか。【難易度

1.筋の伸長    ―  腱紡錘
2.血中酸素分圧  ―  頸動脈洞
3.回転加速度   ―  半規管
4.光刺激     ―  角 膜

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答え 

 生体の内外で起こる環境の変化は物理的刺激、化学的刺激となって全身の感覚受容器で受け取られます。

 刺激は受容器を電気的に興奮させ活動電位を発し、その興奮は大脳皮質に伝えられ感覚としてとらえられます。

 感覚受容器はただ1つの種類の刺激のみで興奮します。この感覚受容器を興奮させる刺激を適刺激といいます。

1.筋の伸張は、筋紡錘によって受容されます。
 腱紡錘(ゴルジの腱器官)は筋の張力を受容します。

2.血中酸素分圧は、頸動脈小体大動脈体で受容されます。
 頸動脈洞は血圧の受容器です。

回転加速度は、平衡感覚に関する刺激となり半規管で受容されます。
 直線加速度は耳石器(球形嚢、卵形嚢)で受容されます。

4.光刺激を受容するのは網膜です。
 網膜には2種類の視細胞(錐状体、杆状体)があります。

分類適刺激受容器
体性感覚皮膚感覚触圧覚メルケル盤
マイスネル小体
パチニ小体
ルフィニ小体
温覚自由神経終末
冷覚自由神経終末(クラウゼ小体)
痛覚自由神経終末
深部感覚関節の位置と運動関節包のルフィニ小体
筋の伸長筋紡錘
筋の張力腱紡錘
深部痛覚自由神経終末
内臓感覚血圧頸動脈洞
大動脈弓の圧受容器
内臓痛覚自由神経終末
特殊感覚視覚錘状体、杆状体
聴覚コルチ器
嗅覚嗅上皮
味覚味蕾
平衡覚(加速度)半規管
耳石器(卵形嚢、球形嚢)





受容器の形状

問題2 受容器が自由神経終末であるのはどれか。【難易度

1.視 覚
2.味 覚
3.温 覚
4.触 覚

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答え 

 自由神経終末とは、受容器が特別な構造をもたず、神経線維の末端部分の髄鞘がなくなり神経線維がそのまま受容器の役割をはたすものをいいます。
 痛覚温覚冷覚の刺激は自由神経終末が受容します。





内因性発痛物質

問題3 内因性発痛物質でないのはどれか。【難易度☆☆

1.カリウムイオン
2.β-エンドルフィン
3.ブラジキニン
4.プロスタグランジン

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答え 

 侵害刺激により傷害された細胞内から物質が遊離し、痛覚受容器を刺激します。この痛覚受容器を刺激する物質を内因性発痛物質といいます。

 内因性発痛物質は、痛覚だけでなく血管を拡張させ浮腫を起こす、炎症を引き起こす物質(炎症メディエーター)であるということも覚えておきましょう。

1)ブラジキニン
 ・血漿に含まれる最強の発痛物質。

2)ヒスタミン
 ・肥満細胞から分泌される。
 ・蕁麻疹などアレルギーに関与する。

3)セロトニン
 ・血小板などから遊離する。
 ・疼痛促進にも疼痛抑制にも働く。

4)プロスタグランジン
 ・細胞膜のリン脂質から合成される。
 ・ブラジキニンの発痛作用を増強する。
 ・発熱(体温上昇)にも関与する。

5)アセチルコリン
6)H、K
7)サブスタンスP

 一方、中枢神経系に伝わった痛覚刺激は、痛みを抑制するシステムを発動させます。これを下行性疼痛抑制系(内因性痛覚抑制系)といいます。

 下行性疼痛抑制系では麻薬のモルヒネに似た物質である内因性オピオイドが産生され、鎮痛効果を発揮します。

 内因性オピオイドには次のようなものがあります。

1)β-エンドルフィン
2)ダイノルフィン
3)エンケファリン





視細胞

問題4 錐体細胞で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.暗い環境では感度が低い。
2.中心窩に密に存在する。
3.3種類の視物質をもつ。
4.神経節細胞とシナプスしている。

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答え 

 眼球の網膜には光を受容する2種類の視細胞がおり、錐体細胞杆体細胞といいます。

1.錐体は暗い場所では感度が低く、明るい環境で光を受容し、色を識別できます
 これを明所視といいます。

2.錐体は網膜の黄斑の中心窩にもっとも密に存在します。
 中心窩で結像したときもっとも視力が大きくなります

3.錐体には錐体オプシン(ヨドプシン)という3種類の視物質があり、それぞれの光を吸収します。
 赤(R)、緑(G)、青(B)は「光の三原色」といわれ、全ての色がこの3つの組合せで表現できます。

4.網膜の外層に到達した光は視細胞を刺激し、その興奮が双極細胞に伝えられ、神経節細胞(視神経)を経て視覚野に伝えられます。





聴覚伝導路

問題5 聴覚伝導路と関係ないのはどれか。【難易度☆☆

1.内側膝状体
2.蝸牛神経核
3.上オリーブ核
4.前庭神経節

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答え 

 音刺激(音波)は、内耳の蝸牛管にあるコルチ器の有毛細胞を興奮させます。有毛細胞の興奮は蝸牛神経細胞に活動電位を発生させ、その興奮は下記の経路をたどります。

有毛細胞 → らせん神経節(蝸牛)→ 蝸牛神経核(橋)→ 上オリーブ核(橋)→ 下丘(中脳)→ 内側膝状体(視床)→ 聴覚野(大脳皮質横側頭回)

前庭神経節は、平衡感覚(前庭感覚)の伝導路です。

参考文献

・南江堂「生理学 改訂第3版」
・南江堂「生理学 改訂第4版」
・医歯薬出版「解剖学 改訂第2版」

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