こんにちは。塾長のFです。
必修問題範囲であるボクサー骨折をまとめてみました。
範囲としてはあまり広くないですが、それだけに細かいところが出題される可能性があります。
問題を解くヒントになると思うので必修の範囲ではないところも記述しています。
下の方に過去問も載せています。先に過去問したい人はこちら(国家試験過去問)。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
中手骨頸部骨折 Boxer’s fracture
*必修範囲は第5中手骨頸部骨折の固定です。
必要に応じてスキップしてください。
概 説
・拳で殴るときに発生することが多く、ボクサー骨折やパンチ骨折といわれる。
・第4・5中手骨に多く発生する。
ボクシングや空手でのパンチは、第2指と第3指のナックル(中手骨頭部)で行うのが有効、かつケガをしないやり方です。
つまり第4指と第5指を骨折するということは「下手くそ」か「殴りそこない」だそうです。
【知り合いのボクサー談】
・高度の機能障害を残すことが多い。
発生機序
・拳で強打する際に、中手骨の頸部に背側凸の屈曲力が働き発生する。
症 状
1)背側凸変形
・骨折時の外力、骨間筋および虫様筋の作用による。
2)中手骨骨頭の隆起消失
・遠位骨片の掌側転位による。
3)MP関節の最終伸展制限
4)オーバーラッピングフィンガー
・高度な回旋転位により指が交叉する。
整 復
① 前腕回内位、手関節軽度伸展位で保持、固定する。
② MP関節を90°屈曲位とする。
*90°屈曲位にすると側副靱帯が緊張し、中手骨頭にかかる牽引力として利用できる。
③ 遠位骨片を指骨とともに中手骨長軸遠位方向へ牽引する。(短縮転位の除去)
④ 捻転転位があれば遠位骨片を内旋または外旋する。
⑤ 遠位骨片を背側へ突き上げるとともに近位骨片を掌側へ圧迫し整復する。(掌側転位、背側凸変形の除去)
固 定
1)固定材料
・アルミ副子、合成樹脂キャスト材、綿花枕子、巻軸包帯
2)固定肢位
・手関節 :軽度伸展位
・MP関節:40~70°屈曲位
・PIP、DIP関節:軽度屈曲位
*MP関節とIP関節を直角位にすると屈曲拘縮が発生する。
3)固定法
<第1法>
① 第4指と第5指の間に枕子を挿入し、両指を絆創膏で固定(バディーテープ)する。
② 掌側にアルミ副子をあてる。
③ 背側に合成樹脂キャスト材をあて、手関節からDIP関節まで固定する。
<第2法>
① 掌側にロール状の枕子を握らせる。(良肢位の確保)
② 背側にアルミ副子をあてる。
③ 伸縮性テープを前腕中央から指尖まで貼付する。
④ 隣接指を含めて合成樹脂キャスト材で固定する。
4)固定期間
・5~6週間
・掌側に骨片が存在する場合は固定期間が長くなる。
整復、固定後の確認
1)オーバーラッピングフィンガーの残存の確認
・MP関節伸展位での確認は見逃しやすいので、MP関節、IP関節を直角位で行う。
2)変形の消失の確認
・背側凸変形や中手骨頭の隆起が正常に戻っているか確認する。
3)循環、感覚、運動の確認
4)固定継続中の注意
・絆創膏を貼付する場合は、とくに手指背側部がかぶれやすい。
・手関節やMP関節は固定肢位が変化しやすい。
国家試験過去問
問題 第5中手骨頸部骨折の固定肢位で誤っているのはどれか。(第30回)
1.手関節軽度屈曲位
2.MP 関節40~70度屈曲位
3.PIP 関節軽度屈曲位
4.DIP 関節軽度屈曲位
問題 中手骨頸部骨折で伸展位に固定するのはどれか。(第28回)
1.手関節
2.MP 関節
3.PIP 関節
4.DIP 関節
問題 中手骨頸部骨折の整復で正しいのはどれか。(第26回)
1.整復時、手関節は軽度屈曲位とする。
2.側副靱帯を弛緩させて行う。
3.MP関節伸展位で末梢牽引を行う。
4.遠位骨片を掌側から背側に直圧する 。
問題 中手骨頸部骨折はどれか。(第25回)
1.ベネット(Bennett)骨折
2.ボクサー骨折
3.ローランド(Roland)骨折
4.逆ベネット(Bennett)骨折
問題 中手骨頸部に起こるのはどれか。(第21回)
1.ボクサー骨折
2.ショウファー骨折
3.チロー(Tillaux)骨折
4.ローランド(Roland)骨折
問題 ボクサー骨折はどれか。(第18回)
1.第1中手骨基部骨折
2.第2中手骨骨頭部骨折
3.第3中手骨骨幹都骨折
4.第5中手骨頚部骨折
問題 中手骨頸部骨折で正しいのはどれか。(第18回)
1.第2中手骨に好発する。
2.手を握らせると患指骨頭が欠損してみえる。
3.MP関節は伸展位で固定する。
4.固定期間は8週間である。
参考文献
・南江堂「柔道整復学・実技編 改訂第2版」
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
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