柔道整復師国家試験対策問題【生理学 第12回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。
今日は【生理学】の骨の生理の問題を作ってみました。





骨とビタミン

問題1 骨代謝に関与するのはどれか。【難易度

1.ビタミンA
2.ビタミンC
3.ビタミンD
4.ビタミンK

答えと解説をみる
答え 

 骨も他の組織と同様に細胞で構成されています。古くなった骨は破壊され、新しい骨を作ることを骨代謝といいます。

 新しい骨を作るには骨の構成成分であるカルシウムが不可欠です。

【ビタミンDの作用】
・血漿カルシウムイオン(Ca2+)濃度の維持
・腸管(飲食物)からのカルシウムの吸収を促進
・腎尿細管での Ca2+ 再吸収を促進 → 尿中への Ca2+ の排泄を抑制

【ビタミンDの過剰】
・血中 Ca2+ 濃度が上昇し、組織にカルシウムが沈着(石灰化)すると激しい疼痛が生じます。

【ビタミンDの不足】
・血中 Ca2+ 濃度が低下し、骨の強度が低下します。小児では「くる病」成人では「骨軟化症」が発症します。





骨化様式

問題2 膜内骨化様式で発生するのはどれか。【難易度☆☆

1.肩甲骨
2.鎖 骨
3.肋 骨
4.椎 骨

答えと解説をみる
答え 

胎生期における骨の形成には、膜内骨化軟骨内骨化の2種類があります。

膜内骨化(結合組織性骨化)

・頭蓋冠の骨(前頭骨側頭骨頭頂骨後頭骨)、下顎骨鎖骨の骨化様式です。

・骨膜(結合組織)において間葉細胞が骨芽細胞に分化します。骨芽細胞が自身の周囲にカルシウムを沈着し、骨細胞となり、骨梁が形成されていきます。

骨の太さの成長にも関与します。

・この骨化様式で形成される骨を付加骨といいます。

軟骨内骨化

ほとんどの骨の骨化様式です。

・間葉細胞由来の軟骨細胞により骨の原型が作られます。(胎生初期の骨格は軟骨で出来ている)

・最初に、骨幹部の軟骨細胞が骨芽細胞に分化し、石灰化が起こります(一次骨化点)。次に、両骨端部に石灰化が起こります(二次骨化点)。

・一次骨化点と二次骨化点に挟まれる形で骨端部に軟骨が残存(骨端軟骨成長板)し、骨の長さの成長に関与します。

・この様式で形成される骨を置換骨といいます。





カルシウムの作用

問題3 カルシウムについて誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.生体では99%は骨に貯蔵される。
2.心筋の収縮力を増大する。
3.血栓除去を促進する。
4.不足すると筋の痙攣が起こる。

答えと解説をみる
答え 

 成人の生体には約1kg程度のカルシウムが存在していますが、その99%がリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨に貯蔵されます。残りの1%が血漿等に存在し、生体にとって重要な作用を発揮します。

カルシウムの生理作用

1)心筋の収縮力を増加
 ・心筋の収縮は、Ca2+の細胞内流入に比例し強くなります。

2)血液凝固の促進
 ・Ca2+血液凝固因子(第Ⅳ因子)で、血栓形成に関与します。

3)筋収縮
 ・Ca2+は筋細胞における筋小胞体に貯蔵されています。筋細胞が興奮すると筋小胞体から流出し、トロポニンと結合することで収縮が起こります。
 ・血漿Ca2+が低下すると神経筋活動の異常亢進が起き、痙攣(テタニー)が起きます。





骨の細胞

問題4 骨芽細胞で誤っているのはどれか。【難易度☆☆

1.外胚葉由来である。
2.コラーゲンを分泌する。
3.骨膜に存在する。
4.骨細胞となる。

答えと解説をみる
答え 

骨代謝は、骨芽細胞が行う骨形成破骨細胞が行う骨吸収によって行われています。

1.骨芽細胞は中胚葉由来の間葉細胞が分化したものです。

2、4.骨芽細胞はⅠ型コラーゲンを分泌、これを粘着剤として自身の周りにリン酸カルシウムを沈着して骨梁を形成します。骨芽細胞は骨基質のなかに埋没し、骨細胞となります

骨膜に存在し、骨の太さの成長や骨のリモデリングに関与します。

・またホルモンにより活動が調整されます。アンドロゲンは骨芽細胞の活動を抑制し、エストロゲンは骨芽細胞を活性化します。





骨に関与するホルモン

問題5 パラソソルモンの生理作用で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.破骨細胞の活動を抑制する。
2.ビタミンDの活性化を促進する。
3.分泌は下垂体前葉ホルモンの影響を受ける。
4.尿ヘのカルシウム排泄を促す。

答えと解説をみる
答え 

パラソルモンは上皮小体(副甲状腺)より分泌されるホルモンです。
その作用は血中Ca2+濃度の上昇です。

1.破骨細胞は古くなった骨細胞を破壊し、Ca2+を血中に遊離させる骨吸収を担っています。パラソルモン破骨細胞の活動を促進、結果的に血中Ca2+濃度が上昇します。

2.ビタミンDは食物から吸収されるほか、皮膚で紫外線を浴びることでも合成されますが、最終的なビタミンDの活性化は腎臓でパラソルモンの影響下で行われます。

3.パラソルモンは、血中Ca2+濃度の低下により分泌量が増加します。

4.パラソルモンは、腎尿細管でのCa2+の再吸収を促進します。結果、尿へのCa2+の排出が減少し血中Ca2+濃度が上昇します。

参考文献

・南江堂「生理学 改訂第3版」「生理学 改訂第4版」
・医歯薬出版「解剖学 改訂第2版」

コメント

タイトルとURLをコピーしました