柔道整復師国家試験対策問題【生理学 第18回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

『生理学とは』の問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

細胞膜での物質移動1

問題1 浸透による物質の移動はどれか。【難易度☆☆

1.肺胞と毛細血管とのガス交換
2.腎尿細管での水の再吸収
3.小腸上皮細胞でのグルコース吸収
4.腎糸球体での原尿生成

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答え 

 細胞膜には、一定の大きさより小さい分子は通すが、大きい分子は通さないという半透膜の性質があります。
 浸透とは、細胞膜を通して濃度の低い方から濃度の高い方へ水が移動する現象です。

腎尿細管は毛細血管に取り囲まれており、浸透による水の再吸収を含め、能動輸送、受動輸送による物質の再吸収、分泌が行われています。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

再吸収とは、一度血液から原尿へ濾過された物質が再び血液にもどることです。

分泌とは、濾過された後さらに物質が血液から原尿へ移動することです。

1.肺胞と毛細血管とのガス交換は、拡散による物質移動です。
 拡散は濃度の高い方から低い方へ物質が移動する現象で、肺胞とそれを取り巻く毛細血管の間で酸素や二酸化炭素が濃度勾配に従ってガス交換されます。

3.小腸上皮細胞でのグルコース吸収は、細胞膜タンパク質であるグルコース担体(輸送体)での物質移動です。
 細胞外のグルコースとNa+はともに輸送体に結合し、電位勾配に従って濃度の高い細胞外から濃度の低い細胞内へ吸収されます(共輸送)。このようなATPによるエネルギーを使わず電位勾配での物質輸送を二次性能動輸送といいます。

4.腎糸球体での原尿生成は、濾過による物質移動です。
 毛細血管である糸球体には小さな穴が開いていて、穴より小さい分子が血圧によってボーマン嚢側へ押し出される現象を濾過といいます。





細胞膜での物質移動2

問題2 分泌顆粒の細胞外への放出はどれか。【難易度

1.二次性能動輸送
2.エクソサイトーシス
3.エンドサイトーシス
4.ファゴサイトーシス

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答え 

 細胞内のゴルジ装置で濃縮・加工されたタンパク質は分泌顆粒として小胞に蓄えられます。

 分泌顆粒を含む小胞が細胞膜に近づくと両者の膜同士が結合し、分泌顆粒が細胞外へ放出されることをエクソサイトーシスといいます。

 エクソサイトーシスされる物質には、細胞内で生成されたタンパク質(酵素、神経伝達物質、ペプチドホルモンなど)や細胞内の老廃物などがあります。

 尚、エクソサイトーシスにはATPによるエネルギーが必要(能動輸送です。

1.二次性能動輸送とは、輸送体を介した、ATPによるエネルギーを使わない電位勾配に従っての物質輸送です。

3.エンドサイトーシスは、タンパク質などの細胞外が細胞膜に近づくと、細胞膜に取り囲まれて小胞を形成して細胞内へ移動する現象です。
 エクソサイトーシスと同様、ATPによるエネルギーが必要(能動輸送です。

4.ファゴサイトーシスとは、エンドサイトーシスの一種です。
 マクロファージなどの貪食細胞などが、病原微生物や老廃細胞を取り込んで消化することをファゴサイトーシス(食作用、飲作用)といいます。

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DNAの塩基の結合

問題3 DNAのチミンと水素結合するのはどれか。【難易度

1.グアニン
2.アデニン
3.シトシン
4.ウラシル

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答え 

1.グアニンシトシンと結合します。

アデニンチミンと結合します。

3.シトシングアニンと結合します。

DNA(デオキシリボ核酸)は、細胞核内にある全ての遺伝情報を含む高分子化合物です。

DNAはヌクレオチドが連続した2重らせん構造をしています。

ヌクレオチドは次のもので構成されています。
1)リン酸
2)デオキシリボース(糖)
3)塩基(次の4種類のうちどれか)
 ① グアニン(G)
 ② アデニン(A)
 ③ シトシン(C)
 ④ チミン(T)

ヌクレオチドどうしは互いの塩基部分で結合しており、それを水素結合といいます。

水素結合では相補性(結合する相手が決まっている)があり、
グアニンはシトシン(GとCと結合、
アデニンはチミン(AとTと結合します。

一方、もうひとつの核酸であるRNA(リボ核酸)は、DNAと違いヌクレオチドの1本鎖です。

 RNAはタンパク質合成の際、DNA情報をコピー(転写)します。その際、つくられる塩基はチミンではなくウラシルです。





ホメオスタシス

問題4 恒常性をもつのはどれか。【難易度☆☆

1.唾液の分泌量
2.尿のpH
3.汗の塩分濃度
4.組織液の温度

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答え 

 ヒトの体を構成する細胞は、それを取り囲む細胞外液から栄養や酸素を取り込み、老廃物や二酸化炭素を排出します。このことから細胞外液を内部環境といいます

 細胞が正常な機能を果たすためには内部環境が一定の状態にある(恒常性)必要があり、内部環境の恒常性をホメオスタシスといいます。

【内部環境の恒常性】
 細胞外液の量、温度、浸透圧、pH、電解質濃度、ガス組成など
 細胞外液以外でも生体の各機能が一定に保たれる。

 細胞外液は、体重の約20%を占め、血管内の血漿と血管外の組織液(間質液、リンパ)を含みます。

 尿や汗などは、内部環境を一定に調節するために物質を体外へ排出する働きがあります。

例)体液が酸性に傾くとき(アシドーシス)、尿中の水素イオン濃度が増す。





酸塩基平衡

問題5 アシドーシスの原因となるのはどれか。2つ選べ。【難易度☆☆

1.換気量の増大
2.拘束性換気障害
3.腎機能の低下
4.頻回の嘔吐

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答え 

1.換気量の増大では、呼吸性アルカローシスになります。
 酸性物質であるCO2が排出され過ぎたためです。

拘束性換気障害は、呼吸性アシドーシスになります。
 酸性物質であるCO2が排出されないためです。

腎機能の低下は、代謝性アシドーシスになります。
 酸性物質であるH+が尿として排出されないためです。

4.頻回の嘔吐では、代謝性アルカローシスになります。
 酸性である胃液が排出され過ぎたためです。

 体液のpH(水素イオン H濃度)は 7.4±0.05 の狭い範囲で一定に保たれています。

 この数値よりpHが低くなることをアシドーシス(酸性)、pHが高くなることをアルカローシス(アルカリ性)といいます。

 体液は細胞活動や代謝の結果、生み出されるCO2やHにより酸性に傾く傾向にあります。

 酸性物質を呼気や尿として体外へ排出することで体液のpHを一定に保っています。

 したがって肺機能や腎機能が低下すると酸性物質が排出されずアシドーシスになります。

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参考文献

・南江堂「生理学 改訂第3版」
・南江堂「生理学 改訂第4版」

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