柔道整復師国家試験対策問題【解剖学 第15回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

解剖学の問題をピックアップして選んでみました。

今日もガッツリ勉強していきましょう!

腎臓の構造

問題1 腎臓の構造で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.腎臓は間膜をもつ。
2.腹腔動脈の枝に栄養される。
3.右腎は肝臓の下面に触れる。
4.左腎は右腎より低位にある。

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答え 

1.間膜とは、腹膜などの漿膜が2枚合わさったところです。
 「間膜をもつ」ということは臓器が漿膜にほぼスッポリおおわれていることを意味します。
 腎臓は腹膜の後縁に位置(腹膜後器官)し、腹膜におおわれていません。ゆえに間膜をもちません

2.腎臓を栄養する血管は腎動脈です。腎動脈は腹大動脈の枝です。

.肝臓の下面(臓側面)には右腎が接することによりできる腎圧痕(くぼみ)があります。

4.左右の腎臓は同じ高位にはありません。
 右腎が左腎より1/2椎体分、低位にあります。
肝臓の右葉は下方に大きく突出しており、右腎が下方に押圧されるためです。





尿管の構造

問題2 尿管で誤っているのはどれか。【難易度

1.疎性結合組織である外膜におおわれる。
2.尿管が空虚なとき粘膜にはヒダがない。
3.腎門部では腎動脈の後ろを通る。
4.左右の尿管が合流することはない。

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答え 

1.尿管は深層から、粘膜、筋層、外膜で構成されており、外膜は組成結合組織からなっています。

2.尿管の粘膜上皮は移行上皮で出来ています。
 移行上皮の特徴は、中腔性臓器の内表面をおおい、内容物の充満度合いにより形態、配列を変えることです。
 尿管が空虚なときはヒダがあり、尿で充満しているときはヒダがなく平滑です。

3.腎門は前から腎静脈(Vein)、腎動脈(Artery)、尿管(Ureter)が通ります。
 「VAU」と覚えましょう!

4.左右の腎門から出た尿管は左右が合流することなく膀胱に開口します。





卵巣動脈の走行

問題3 卵巣動脈が通るのはどれか。【難易度☆☆

1.卵巣提索
2.子宮円索
3.子宮広間膜
4.固有卵巣索

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答え 

 卵巣の栄養血管である卵巣動脈は第2~第3腰椎の高さで腹大動脈から1対分枝します。
 尿管の前を通り、腹膜後壁を下行し小骨盤に入ります。
 卵巣提索のなかを通り卵巣門より卵巣に達します。

卵巣提索は、卵巣の上端と骨盤側壁を結ぶ結合線維索で卵巣の位置を固定しています。
また中を卵巣動脈、卵巣静脈、神経を通します。

2.子宮円索は、子宮の上外側、卵管子宮口の直下から鼡径管を通り外陰部に達する線維索です。
 子宮を前傾前屈するように引っ張り、子宮の位置を固定しています。

3.子宮広間膜は、子宮、卵管、卵巣の上から覆いかぶさる腹膜が、ハンガーにかけた着物の振袖のように子宮の両側で2枚合わさったものです。

4.固有卵巣索は、卵巣と子宮の間に張る線維索で、卵巣の位置を固定しています。





内分泌腺はどこにある?

問題4 内分泌腺とその存在部位で誤っているのはどれか。【難易度

1.松果体   ―  視床上部
2.上皮小体  ―  気管前部
3.膵 臓   ―  腹膜後縁
4.副 腎   ―  腎臓上縁

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答え 

2.上皮小体は、副甲状腺ともよばれ気管の前からおおう甲状腺両葉の後面にあります。
 血中Ca2+濃度を高めるパラソルモンが分泌されます。





下垂体前葉の手下は誰だ?

問題5 下垂体前葉の支配下にあるのはどれか。【難易度

1.甲状腺傍濾胞細胞
2.膵島A細胞
3.ライディッヒ細胞
4.松果体細胞

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答え 

 「下垂体前葉の支配下にある。」とは、ホルモンの分泌量が下垂体前葉ホルモンによって促進される内分泌器官のことをいいます。

1.甲状腺の濾胞細胞は、血中Ca2+濃度を低下させるカルシトニンを分泌します。
 傍濾胞細胞の活動は血中Ca2+濃度の上昇により促進されます。

2.膵島(ランゲルハンス島)にはA細胞、B細胞、D細胞の3種類があります。
 それぞれからグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンが分泌されます。
 その分泌機序は下垂体前葉ホルモンによるものでなく、血糖値の高低です。
 例)食後、血糖値が上昇すれば、血糖を下げるインスリンの分泌量が増加する。

ライディッヒ細胞は、精巣の間質にあり、男性ホルモンであるテストステロンを分泌します。
 その機能は下垂体前葉ホルモンであるLH(黄体形成ホルモン)により促進されます。

4.松果体は、視床の上部にあり、生体時計(概日リズム)に関与するメラトニンを分泌します。
 網膜からはいった光刺激により分泌量が増減するといわれています。

以下に下垂体前葉ホルモンを示します。

1)成長ホルモン(GH)
・骨端軟骨細胞を刺激し、骨の成長を促します

2)プロラクチン(PRL)
・乳腺細胞を刺激し、乳腺の発達と乳汁の分泌を促進します。乳腺刺激ホルモンともいいます。

3)甲状腺刺激ホルモン(TSH)
・甲状腺濾胞を刺激し、甲状腺ホルモンの分泌を刺激します。

4)副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
・副腎皮質を刺激し、特に束状層から糖質コルチコイドの分泌を促進します。

5)卵胞刺激ホルモン(FSH)
・女性では卵胞膜を刺激し、卵胞の成熟と卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を刺激します。
・男性ではセルトリ細胞を刺激し、精子の成長を促進します。

6)黄体形成ホルモン(LH)
・女性では排卵を促し、黄体形成を促進します。

参考文献

・医歯薬出版「解剖学 改訂第2版」

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