こんにちは。塾長のFです。
今日は【解剖学】の脈管系の問題を作ってみました。
心筋の構造
問題1 心筋組織で誤っているのはどれか。【難易度☆】
1.横紋筋である。
2.介在板がある。
3.多核細胞である。
4.自律神経に支配される。
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答え
3
1.心筋は骨格筋と同じく横紋があります。
2.隣接した心筋細胞は介在板によって連結されていることをギャップ結合といいます。ギャップ結合により心筋細胞全体がひとつの筋細胞のように同時に収縮します。ただし心房と心室は線維輪によって完全に隔てられている為、別々に収縮します。
3.心筋細胞は単核細胞です。
4.心筋は意志によって調節することのできない不随意筋であり、自律神経の支配を受けます。
| 骨格筋 | 心 筋 | 平滑筋 |
細胞の特徴 | 多 核 | 単 核 | 単 核 |
横 紋 | 有 | 有 | 無 |
支配神経 | 体性神経 | 自律神経 | 自律神経 |
絶対不応期 | 短い | 非常に長い | 長い |
収縮様式 | 強 縮 | 単収縮のみ | 強 縮 |
疲 労 | しやすい | しにくい | しにくい |
ホルモン調節 | 無 | 有 | 有 |
ギャップ結合 | 無 | 有 | 有 |
栄養血管
問題2 栄養血管で正しいのはどれか。【難易度☆】
1.肺 ― 肺動脈
2.大 脳 ― 椎骨動脈
3.盲 腸 ― 腹腔動脈
4.膀 胱 ― 下腸間膜動脈
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答え
2
1.肺の栄養血管は気管支動脈です。肺動脈は肺の機能血管です。
2.脳は90%を内頸動脈に、10%を椎骨動脈によって栄養されます。
3.盲腸を栄養するのは上腸間膜動脈の枝です。
4.膀胱は内腸骨動脈の枝によって栄養されます。
主な臓器 | 主な栄養血管 | 枝元の動脈 |
脳 | 内頸動脈 | 総頸動脈 |
椎骨動脈 | 鎖骨下動脈 |
食 道 | 食道動脈 | 胸大動脈 |
肺 | 気管支動脈 | 胸大動脈 |
心 臓 | 冠状動脈 | 上行大動脈 |
胃 | 腹腔動脈 | 腹大動脈 |
脾 臓 | 腹腔動脈 | 腹大動脈 |
肝 臓 | 腹腔動脈(固有肝動脈) | 腹大動脈 |
胆 嚢 | 腹腔動脈 | 腹大動脈 |
十二指腸 | 腹腔動脈 | 腹大動脈 |
上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
膵 臓 | 腹腔動脈 | 腹大動脈 |
上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
空 腸 | 上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
回 腸 | 上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
盲 腸 | 上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
上行結腸 | 上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
横行結腸 | 上腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
下腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
下行結腸 | 下腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
S状結腸 | 下腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
直 腸 | 下腸間膜動脈 | 腹大動脈 |
内陰部動脈 | 内腸骨動脈 |
腎 臓 | 腎動脈 | 腹大動脈 |
膀 胱 | 下膀胱動脈など | 内腸骨動脈 |
精管・子宮 | 精管・子宮動脈 | 内腸骨動脈 |
外腸骨動脈の枝
問題3 外腸骨動脈の枝はどれか。【難易度☆】
1.臍動脈
2.下腹壁動脈
3.下殿動脈
4.内陰部動脈
体幹の静脈
問題4 誤っているのはどれか。【難易度☆☆】
1.左右の腕頭静脈が合流し上大静脈をつくる。
2.脳の静脈は外頸静脈を経て心臓に戻る。
3.右腎静脈は左腎静脈より短い。
4.左の精巣・卵巣静脈は左腎静脈にそそぐ。
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答え
2
1.左右の腕頭静脈が合流し上大静脈をつくります。
2.脳の静脈は硬膜静脈洞に集まります。硬膜静脈洞から内頸静脈を経て心臓に戻ります。
外頸静脈は頭頚部の皮下静脈で、後耳介静脈と後頭静脈が合流してできます。
3.下大静脈も正中より右に位置しているため、腎静脈は左が長く、右が短いです。
4.精巣・卵巣静脈は左右一対ありますが、左右で走行が違います。
左の精巣・卵巣静脈は腎静脈にそそぎます。
右の精巣・卵巣静脈は下大静脈にそそぎます。
脾臓の構造
問題5 脾臓で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.有対性の実質性器官である。
2.膵頭部に接している。
3.赤脾髄は細網組織である。
4.白脾髄ではTリンパ球が成熟する。
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答え
3
1.脾臓は腹腔内の左上部(=左季肋部)、第9~11肋骨の高さにある実質性臓器です。
肋骨の深部にありますが腹腔内臓器です。左季肋部に1つのみあり、有対性ではありません。
2.脾臓の表面には腎面、膵面、胃面があり、それぞれ左腎の上部、膵尾部、胃底部に接しています。
脾臓の実質は脾柱で仕切られており、その間には赤脾髄と白脾髄があり、これらは細網組織(細網内皮系)です。
細網組織とは、古くなった細胞や異物を貪食する組織です。細網組織には骨髄、肝臓、脾臓、リンパ節などがあります。
3.赤脾髄では寿命を終えた赤血球が貪食され破壊されます。これを溶血といいます。
4.白脾髄はリンパ小節からなり、リンパ球が機能する免疫の場となります。Tリンパ球の成熟は胸腺で行われます。
参考文献
・医歯薬出版「解剖学 改訂第2版」
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