【生理学】血液型のはなし

生理学のまとめ

こんにちは。塾長のFです。
今日は血液型のはなしをしようと思います。

血液型とは何でしょうか?
型が違うと何か問題があるのでしょうか?
血液型と性格との関連性は?

血液型は「血球にある抗原の違い」で決まります。

抗原とは免疫反応やアレルギーを引き起こす物質で、多くの場合は体外の非自己成分です。細菌やウイルスのような病原微生物だけでなく、アレルギーでは花粉やそば、牛乳などの飲食物が抗原となり、自己免疫疾患では自らの細胞が抗原となります。

赤血球の抗原によって分類するABO式Rh式が有名ですが、ほかにもたくさんあります。またHLA(ヒト白血球抗原)はいわば白血球の血液型です。

ABO式血液型

 赤血球の細胞膜には凝集原とよばれる抗原が存在しています。

  • A凝集原をもつ赤血球がある血液は「A型」 日本人では 40%
  • B凝集原を持つ赤血球がある血液は「B型」 日本人では 20%
  • A、B凝集原を両方持つ赤血球がある血液は「AB型」 日本人では 10%
  • A、B凝集原を両方とも持たない赤血球がある血液は「O型」 日本人では 30%

 凝集原があると凝集素という抗体によって攻撃され、赤血球は破壊されてしまいます。これを溶血といいます。

 凝集素は特定の凝集原のみを攻撃します。A凝集原を攻撃する凝集素を抗A凝集素(または α )、 B凝集原を攻撃する凝集素を抗B凝集素(または β )といいます。

 A型赤血球を持つ血液には生まれつき抗B凝集素が存在し、B型赤血球を持つ血液には生まれつき抗A凝集素が存在します。このため原則、同じABO血液型どうしでないと輸血できません。

血液型凝集原(抗原)凝集素(抗体)
AAβ(抗B凝集素)
BBα(抗A凝集素)
ABA、Bなし
Oなしα(抗A凝集素)
β(抗B凝集素)

 どのような凝集原、凝集素を持つかは遺伝性に決定されており、メンデルの法則にしたがいます。

 赤血球の遺伝子はA、B、Oのいずれかを両親から1つずつ受け継いでおり、1対あります。このとき遺伝子AとBは遺伝子Oに対し優性であり、AとBでは優劣差はありません。

 したがってAとOが合わさると遺伝子型はAOとなり血液型はA型となります。AとBが合わさると遺伝子型はABとなり血液型はABとなります。劣性であるO型は遺伝子型がOOでないと発現しません。

血液型の組合せ

Rh式血液型

 ABO式と同じく赤血球の抗原で数種類ありますが、そのうちD抗原がある場合はRh陽性(+)、ない場合はRh陰性(ー)となります。

 日本人でのRh-の頻度は0.5%なのであまり話題にならないですが、白人は15%なので重要です。米国の医療ドラマでも「A-」、「O+」といったABO血液型とRh血液型を組合わせた表現がよく見られます。もちろん両方とも型が一致していないと輸血できません。ちなみに日本人での最も少ない型は「AB-」で0.05%(2000人に1人)です。

 Rh-の血液をRh+に輸血するのは問題ないですが、Rh+の血液をRh-に輸血すると、Rh-の血液に抗体(抗D抗体)が作られてしまい、Rh+の赤血球を破壊します。

 とりわけ問題となるのが妊娠のときです。

 Rh-の母親がRh+の父親の子を妊娠すると、胎児はRh+になります。
 分娩時に胎児の血液が母体に流入すると母親の血液に抗D抗体が作られ、抗D抗体は胎盤を通過しやすいので次回以降の妊娠時に胎児に抗体が侵入し胎児の赤血球が破壊されます。これを胎児赤芽球症新生児重症黄疸といいます。

おまけ 血液型と性格 これは自論です。

 よく話題になりますが、血液型と性格は関係あるのでしょうか?

 結論から言うと、血液型と性格の関連性に科学的根拠はない。となります。

 かつて私はいわゆる血液型性格論者でした。
 人に会って性格を見るたび、その人の血液型を当ててみては「やっぱりな」などと思っていたものでした。

 それがある心理学の講義を受けて以降、考えを改めました。

 そのときの講師いわく、血液型と性格の関連性が世に広まったのは1970年ごろ、ある放送作家が著書を出版したことからだそうです。

 その著者は医師でも心理学者でもありません。つまり医学的根拠も統計学的根拠もなく、著名人の血液型を調査した結果と自分の考えを著書にしたところベストセラーになり、またたく間にテレビや雑誌を通じて世に広まったそうです。

 日本人の多くは、ルールや秩序を守り、その反面おおらかであることを望みます。また自己中心的な考えや二面性を嫌います。そして好ましくない性格を少数派の血液型と結びつけます
 さらに確証バイアスといって「自分の信じる事と一致した情報だけを重視して、それに反する情報を軽視する」心理現象も加わって、あてはまるように感じます。

 でもこれって 多数派が少数派を攻撃する = 差別ですよね。

 それ以来、私は血液型と性格を結びつけるのを止めました。

 近年では血液型によって性格を判断し、人に不安を与える考え方や言動はブラッド・ハラスメントとして問題視されて血液型占いや企業の応募用紙から血液型欄が除外されるようになっています。

今日はこれで終了です。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。

 

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