【生理学】血液のはなし~血漿の組成 血漿タンパクの機能~

生理学のまとめ

こんにちは。塾長のFです。
今日は血液のはなしです。
血液は何の為にあるのでしょう?
血液の役割は①物質の運搬 ②ホメオスタシス ③生体防御にまとめられます。
物質とは酸素や二酸化炭素、糖やビタミンなどの栄養素、ホルモン、体温保持のための熱などです。
物質を運搬することで生体を一定の状態に保つことが出来ます。
また体中に張り巡らされていることで、非自己の侵入(感染など)にも対応できる免疫機能を有しています。
それでは血液について順番に見ていきましょう。

血液の組成

全血液量は体重の8%(13分の1)。体重が60kgのヒトでは約4.8ℓ。
比重は約1.06。
血液の割合は液体成分である血漿が55%、細胞成分である血球が45%

血漿

血液の液体成分で、細胞外液の1区分です。
体重の約5%を占めます。

血漿の90%を占めます。

タンパク質(血漿タンパク)

血漿の7%を占め、主に肝臓で生成されます。
アルブミン、グロブリン、フィブリノゲンに大別されます。

1)アルブミンの機能
血清総タンパクの約60%を占め、血漿中のアルブミン濃度は肝機能や栄養状態の指標となります。

a.血漿膠質浸透圧の維持
 浸透圧とは「細胞膜を介して水が濃度の高いほうへ移動する力」のことで、血漿膠質浸透圧は、血管から水が出ていかないように引っ張り込むアルブミン(膠質、タンパク質)の作用のことです。
 血漿中のアルブミン濃度が下がると、「浸透圧が下がる=血管内に水を引っ張り込む力が下がる」ので血管外へ水が出ていく、これを浮腫といいます。 

b.pH緩衝作用
 血漿は細胞の代謝(ATPの使用や酸素の消費など)の結果、酸性に傾く(pHの低下)傾向にあります。酸性物質である二酸化炭素(CO2)や水素イオン(H)をアルブミンが吸収することでpH7.4が維持されます。

c.栄養機能
 アルブミンは分子量66,000のタンパク質で、血液中を循環することでタンパク質が必要な各細胞・組織へアミノ酸の供給源となります。

d.担送・運搬機能
 水に溶けにくい物質(脂溶性物質)は、単体では血液中を流れることはできません。アルブミンは脂溶性物質の脂肪酸、ビタミン、ホルモン、ビリルビン、薬物などと結合し目的場所へ運搬します。

2)グロブリンの機能
 アルブミンとともに体液中に広く存在する水に溶けにくいタンパク質で、α1、α2、β、γの4分画に分けられ、それぞれ違う機能を持っています。
 感染症の際に増加する為、病態を調べるときの検査に用いられます。またアルブミンとグロブリンの割合(A/G比)は肝機能障害の指標となります。

a.免疫機能
 γ分画のグロブリンは生体に異物が侵入した際に排除するように働く抗体の機能を持ち、免疫グロブリンといわれます。
 免疫グロブリンは分子量の多いH鎖(重鎖)と分子量の少ないL鎖(軽鎖)が対になったY字型構造になっており、数の多い順に IgG、IgA、IgM、IgD、IgE の5種類があります。
 免疫グロブリンはBリンパ球が分化した形質細胞で産生されます。

免疫グロブリン

b.担送・運搬機能
 γ以外の α1、α2、β はアルブミン同様に脂溶性物質の脂肪酸、ビタミン、ホルモン、ビリルビン、薬物などと結合し目的場所へ運搬します。

3)フィブリノゲンの機能
 血液凝固作用をもつ。フィブリノゲン(線維素原)がフィブリン(線維素)に活性化されると、血小板で出来た血栓を補強し、より強度な血栓を形成。これを血餅(二次血栓)といいます。
 血漿からフィブリノゲンを除いたものを血清とよびます。

糖質

血漿の0.1%を占めます。
血漿中の糖質はエネルギー源となり、特に重要なのは単糖類のグルコースで、血糖とよばれます。
空腹時の血糖は、正常で70~110mg/㎗で一定以上になると腎臓で再吸収しきれずに尿に漏れ出てきます。(尿糖という)
 

脂質

脂質は水に溶けない為、アルブミンやグロブリンと結合して運搬されます。
遊離脂肪酸、リン脂質、コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などがあり、エネルギー源や細胞膜など生体の構成成分となります。

無機塩類

血漿の0.9%を占め、その大半がNaCl、つまり塩です。
ナトリウム(Na)は血漿浸透圧(290±5mOsm/ℓ)の保持の90%に関わっており、Naの濃度により血漿量が増減します。血漿と同じ濃度の0.9%食塩水は生理食塩水といわれ、輸血、輸液、注射用の溶媒として用いられます。
その他 K、Mg、Ca、Fe を少量含み、血漿浸透圧や酸塩基平衡に関与します。

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