【生理学】体液のはなし

生理学のまとめ

こんにちは。塾長のFです。
今日は体液の話です。

人間含め生物は海から発生しました。生物は海水を外部環境としてそこから酸素や栄養素を補給していたわけです。
細胞も同じように細胞外液に浸り、酸素や栄養素を補給しています。
細胞外液は海水と似たような成分で構成され、内部環境とよばれます。
細胞外液の状態が一定に保たれるよう制御されていることをホメオスタシスといいます。

体液の区分

ヒトは体重の60%を水分(体液)で占めています。。
男性よりも女性のほうが割合が小さい。(体脂肪の割合が多いから)
新生児は体液が多い。(体重の80%)
老人では体液が少ない(体重の50%)

細胞内液と細胞外液

体液は細胞内液と細胞外液に区分されます。
細胞内液は体重の40%
細胞外液は体重の20%
さらに細胞外液は血管内にある血漿と血管外の組織液(間質液ともいう)に分けられます。
組織液には脳脊髄液、リンパ液も含まれます。
血漿は体重の5%
組織液は体重の15%

体液の電解質(イオン)組成

細胞内液のイオン組成

陽イオン カリウムイオン(K
陰イオン リン酸イオン(HPO42-)、タンパク質イオン

細胞外液のイオン組成

血漿

陽イオン ナトリウムイオン(Na
陰イオン 塩化物イオン(Cl)、重炭酸イオン(HCO3)、タンパク質イオン

組織液

陽イオン ナトリウムイオン(Na
陰イオン 塩化物イオン(Cl)、重炭酸イオン(HCO3

血漿と組織液のイオン組成はほぼ同じだが血漿にはタンパク質が含まれ、組織液に含まれせん。
これはタンパク質のような高分子が毛細血管壁を通過できないためです。

体液の恒常性

酸塩基平衡

体液(血液も)のpHは常に一定の範囲内に保持されています。
7.4±0.05(7.395~7.405)
体液がこれより小さくなることをアシドーシス
体液がこれより大きくなることをアルカローシス といいます。

pH(ピーエイチ、ペーハー)とは
水素イオン(H+)濃度指数のことで、0~14で表されます。
7が中性です。
H+濃度が高ければ、pH値は低くなり、酸性を示します
H+濃度が低ければ、pH値は高くなり、アルカリ性を示します。

細胞が酸素や栄養素からエネルギーを消費すると、細胞から二酸化炭素が排出されます。
二酸化炭素は体液中の水と反応し炭酸(H2CO3)が産生されます。
炭酸は酵素の働きで水素イオンと重炭酸イオンに分解され、体液は酸性に傾きます。
CO2 + H2O→ H2CO3 → H+ + HCO3

細胞が活動(代謝)すればするほど細胞近くの体液は酸性に(pHが低く)なります。

緩衝作用

このように酸性やアルカリ性に傾く体液をpH7.4に戻そうとする働きを緩衝作用といいます。

緩衝系

緩衝系には
重炭酸イオン(HCO3
ヘモグロビン
アルブミン(血漿タンパク)
リン酸イオン(HPO42-

があります。

さらに酸性に傾きやすい体液を H+ と CO2 を排出することで平衡に保ちます。
 H+ は主に腎臓から尿として排出され、その際に腎臓から酸を中和する役割をもつHCO3が放出されます。またCO2 は主に肺から呼気に含まれ排出されます。

H+と CO2 が酸性物質HCO3がアルカリ物質ということを覚えておきましょう!

アシドーシス・アルカローシス

pH値が7.4±0.05より小さくなることをアシドーシス
pH値が7.4±0.05より大きくなることをアルカローシスといいます。
それぞれ呼吸に由来するもの(呼吸性)と呼吸以外に原因があるもの(代謝性)があります。

呼吸性アシドーシス

CO2 が呼気より排出されず、一次性変化として血中 CO2 分圧が増加し発生します。

例)閉塞性換気障害(肺気腫、気管支喘息など)
  拘束性換気障害(特発性肺線維症、間質性肺炎など)
  呼吸筋麻痺(脊髄損傷、呼吸中枢障害など)

このとき、代償性作用として腎臓で HCO3 の再吸収が増加します。(血液中の HCO3 濃度の上昇)

呼吸性アルカローシス

過度の換気により CO2 が排出され、一次性変化として血中 CO2 分圧が減少し発生します。

例)過換気症候群
  過呼吸症候群

このとき、代償性作用として腎臓で HCO3 の再吸収が減少する。 (血液中の HCO3 濃度の減少)

代謝性アシドーシス

呼吸以外の原因でアシドーシスになったものです。
酸性物質の蓄積、アルカリ物質の喪失により発生します。

このとき一次性変化として血中 HCO3分圧が減少します。

例)腎不全( H+ の排泄障害)
  アジソン病( H+ の排泄を促すアルドステロンの分泌障害)
  糖尿病(脂質代謝によりケトン体が増加。ケトアシドーシスといいます。)
  大量の下痢( HCO3 を含んだ腸液の喪失)

このとき、代償性作用として呼吸が促進されます。(血中 CO2分圧の減少)

代謝性アルカローシス

呼吸以外の原因でアルカローシスになったもの。
酸性物質の喪失、アルカリ物質の蓄積により発生します。

このとき一次性変化として血中 HCO3分圧が増加します。

例)頻回の嘔吐(胃酸の喪失)
  アルカリ性薬品の投与(利尿薬など)
  原発性アルドステロン症( H+ の排泄を促すアルドステロンの過剰分泌)

このとき、代償性作用として呼吸が抑制されます。(血中 CO2 分圧の増加)

今日はここまです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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