こんにちは。塾長のFです。
今日は【生理学】の尿の生成と排泄の問題を作ってみました。
腎臓の機能
問題1 腎臓の機能で誤っているのはどれか。【難易度☆】
1.血液pHの調整
2.赤血球の新生促進
3.血漿タンパクの合成
4.骨強度の増加
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答え
3
3.血漿タンパク(アルブミン、グロブリンなど)の合成は肝臓の機能です。
【腎臓の機能】
① 不要物質を尿として排出する。
1)尿酸、尿素、クレアチニンなど
2)糖や脂質の代謝産物
3)毒素、異物
② 血液(体液)の恒常性維持
1)血漿浸透圧・血液量の調節・・・血圧の維持
2)血液pHの調節
3)電解質(イオン)組成の調節
③ ホルモンの分泌
1)レニン・・・血圧の上昇
2)エリスロポエチン・・・赤血球の分化・新生促進
④ 骨強度の増加
・ビタミンDの活性化・・・小腸でのカルシウムの吸収促進
濾 過
問題2 腎臓でのろ過で正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.腎髄質のヘンレのループで行われる。
2.血漿膠質浸透圧はろ過量に影響する。
3.ATPによるエネルギーが必要である。
4.腎血漿流量の99%がろ過される。
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答え
2
腎臓で行われるろ過は、コーヒーをドリップ式のフィルターにかけるように、血液から要と不要を選り分けて原尿を作ることです。
1.ろ過は、腎皮質にある腎小体(糸球体とボーマン嚢)で行われます。
2.ろ過量は、=糸球体血圧 ー 膠質浸透圧 ー ボーマン嚢内圧 で決まります。
3.ろ過は、血漿の内容物を血圧により押し出す現象なので、ATPは使いません。(受動輸送)
4.腎血漿流量(RPF)は約625ml/分、そのうち約125ml/分がろ過されます。糸球体ろ過量(GFR)は腎血漿流量の約20%です。1日に換算すると、約180ℓがろ過されたことになります。
クリアランス
問題3 クリアランスについて正しいのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.ある物質のろ液中濃度、尿中濃度より求められる。
2.からだにとって不要物質のクリアランスは小さい。
3.尿細管での分泌が増すとクリアランスは大きくなる。
4.Na+のクリアランスは通常ゼロである。
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答え
3
クリアランスとは、ある物質が血漿中の尿中へ排泄される割合と時間を指し、腎臓における物質の浄化能力を意味します。
1.クリアランスの計算は、ある物質の血漿中濃度、尿中濃度、1分間尿量が用いられます。
2.からだにとって不要物質のクリアランスは大きく、有用物質のクリアランスは小さくなります。
3.物質の尿中への排泄は、糸球体でのろ過だけでは決まりません。ろ液(原尿)は尿細管を通りますが尿細管は毛細血管と幾度も接し、物質交換が行われています。
・尿細管から血管側へ物質が移動するのを再吸収といいます。
・血管側から尿細管側へ物質が移動するのを分泌といいます。
不要物質などは、ろ過された後も尿細管へ分泌され、尿中へ排泄されるのでクリアランスは大きくなります。
4.Na+は血漿中にもっとも多く含まれる電解質で有用物質ですが、血漿浸透圧や血圧の調整の為、一定量が尿に排泄されます。したがってクリアランスは小さいですがゼロにはなりません。
尿細管での再吸収
問題4 近位尿細管で電位勾配に従い受動的に再吸収されるのはどれか。【難易度☆☆】
1.水
2.アミノ酸
3.塩化物イオン
4.カリウムイオン
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答え
3
1.水は、尿細管と毛細血管との浸透圧勾配に従って受動的に再吸収されます。
2.アミノ酸やグルコースは、近位尿細管でほぼ100%、能動的に再吸収されます。
3.近位尿細管ではナトリウムイオン(Na+)の能動輸送による再吸収が行われます。陽イオンであるNa+の移動により毛細血管側が正、尿細管側が負の電位が生じます。陰イオンである塩化物イオン(Cl-)が毛細血管の正の電位に引っ張られ、つまり電位勾配に従って毛細血管に再吸収されます。
4.カリウムイオン(K+)は近位尿細管ではNa+とともに能動的に再吸収されます。
排尿反射
問題5 排尿時の反射で誤っているのはどれか。【難易度☆】
1.反射中枢は橋と仙髄にある。
2.副交感神経が膀胱壁の平滑筋を収縮させる。
3.外尿道括約筋は交感神経支配である。
4.横隔膜を収縮させ排尿を促進する。
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答え
3
3.外尿道括約筋は横紋筋で、陰部神経(体性神経)によって支配されます。
【排尿反射】
① 膀胱容量が一定量に達すると、膀胱壁の伸展受容器が興奮
② 伸展受容器の興奮が骨盤神経を介して仙髄の排尿中枢へ伝達される。
③ 仙髄の排尿中枢から骨盤神経(副交感神経)を介して膀胱壁の平滑筋を収縮させる。
④ 同時に下腹神経(交感神経)を介して内尿道括約筋(平滑筋)を弛緩させる。
⑤ 陰部神経(体性神経)を介して外尿道括約筋(横紋筋)を弛緩させる。
⑥ 膀胱壁の伸展受容器の興奮は脳幹の橋にある排尿中枢に伝えられ、上記の脊髄での反射を強化する。
⑦ さらに大脳皮質にも伝えられ、尿意として認知され意識的に排尿を抑制したり、腹圧を高めるために横隔膜や腹筋を収縮し排尿を促す。
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