こんにちは。塾長のFです。
今日は生理学の呼吸の問題を作ってみました。
呼吸時の変化
問題1 安静呼息時に起こらないのはどれか。【難易度☆】
1.肋骨の挙上
2.胸腔内圧の上昇
3.横隔膜の弛緩
4.肺胞内圧の上昇
答えと解説をみる
答え
1
空気は気圧が高い方から低いほうへ流れるので、呼息(息を吐く)にはまず、肺胞内圧を大気圧よりも高く(陽圧)しなければなりません。
その為には、胸郭容積を減少(肋骨の下制、横隔膜の弛緩)することにより、胸腔内圧が上昇(陰圧の減少)し結果的に肺胞内圧が高まります。
| 吸 息 | 呼 息 |
胸郭容積 | 拡 大 | 縮 小 |
胸腔内圧 | 低 下
(=陰圧の増大) | 上 昇
(=陰圧の減少) |
肺胞内圧 | 低 下
(陰圧化) | 上 昇
(陽圧化) |
安静時呼吸筋 | 横隔膜 | 横隔膜の弛緩 |
外肋間筋 | 外肋間筋の弛緩 |
努力性呼吸筋 | 斜角筋群 | 内肋間筋 |
胸鎖乳突筋 | 肋下筋 |
大・小胸筋 | 腹斜筋・腹横筋 |
脊柱起立筋 | |
換気量と死腔量
問題2 死腔量の説明で正しいのはどれか。【難易度☆】
1.安静時呼息の後に努力して吐き出せる空気量
2.最大限に呼息を行っても肺の中に残る空気量
3.安静時呼息のときに肺内に残る空気量
4.気道に留まり、ガス交換されない空気量
答えと解説をみる
答え
4
死腔量とは、吸い込んだ空気のうち気道に留まり、肺胞まで届かない空気量のことです。肺胞に届かなければ空気と血液はガス交換されません。
死腔量は次の式で求められます。
死腔量 = 1回換気量 ー 肺胞換気量
1.予備呼気量 の説明です。
2.残気量 の説明です。
3.機能的残気量 の説明です。
各所の酸素分圧
問題3 酸素分圧がもっとも高いのはどれか。【難易度☆☆】
1.呼 気
2.肺胞気
3.動脈血
4.静脈血
答えと解説をみる
答え
1
酸素分圧とは流体中に含まれる酸素量のことです。
大気中の酸素の割合は21%です。大気圧は全体で760mmHg、そのうち酸素分が21%の158mmHgとなります。これが大気中の酸素分圧です。下表の吸気にあたります。
液体(血液)に溶け込む酸素の量は気体の酸素分圧に比例し、分圧差に応じて平衡状態になるまで酸素が移動します。
ですが、わかりにくいので酸素分圧=酸素濃度といっても問題ないかと思います。
| 吸 気 | 呼 気 | 肺 胞 | 動脈血 | 静脈血 | 体細胞 |
酸素分圧(PO2) | 158 | 116 | 100 | 95 | 40 | 40 未満 |
二酸化炭素分圧(PCO2) | 0.3 | 32 | 40 | 40 | 46 | 46 以上 |
単位mmHg
酸素解離曲線
問題4 ヘモグロビンの酸素飽和度が減少するのはどれか。【難易度☆☆】
1.二酸化炭素分圧減少
2.水素イオン濃度減少
3.pH上昇
4.血液温度上昇
答えと解説をみる
答え
4
血液中の酸素は赤血球のヘモグロビンと結合して運搬されます。ヘモグロビンがどれだけ酸素と結合しているかを表したのが酸素飽和度です。
またヘモグロビンと酸素の結合の度合い(くっつきやすさ)は様々な条件で異なり、それを表したのが酸素解離曲線です。
上のグラフでは、血中酸素分圧が高くなれば、酸素飽和度が高くなる(ヘモグロビンと酸素がくっつきやすくなる)ことがわかると思います。
ヘモグロビンが酸素とくっつきやすいところ:酸素分圧が高い=肺胞の近く
ヘモグロビンが酸素と離れやすいところ:酸素分圧が低い=代謝がさかんな組織(酸素をたくさん消費しているから)
と考えると理解しやすいと思います。
ヘモグロビンと酸素が | くっつきやすい条件 | 離れやすい条件 |
グラフ | 左上方 偏位 | 右下方 偏位 |
酸素分圧 | 上昇 | 低下 |
二酸化炭素分圧 | 低下 | 上昇 |
水素イオン濃度 | 低下 | 上昇 |
pH | 上昇 | 低下 ボーア効果 |
温 度 | 低下 | 上昇 |
DPG (2,3-ジホスホグリセリン酸) | 減少 | 増加 |
化学受容器
問題5 二酸化炭素分圧の受容器でないのはどれか。【難易度☆】
1.肺の伸展受容器
2.頸動脈小体
3.大動脈小体
4.中枢性化学受容器
答えと解説をみる
答え
1
1.肺の伸展受容器は肺の膨らみ=伸展を感知します。すなわち吸気により肺胞が膨らむと迷走神経を介してその情報を延髄の呼吸中枢に送り、吸息ニューロンを抑制します。すると吸息筋(横隔膜や外肋間筋)が弛緩し、吸息から呼息に切り替わります。これをへーリング・ブロイエル反射といいます。
2.頸動脈小体は内頸動脈と外頸動脈の分岐部にあり、酸素分圧の他、二酸化炭素分圧やpHの変化に反応し、舌咽神経を介して延髄の呼吸中枢にその情報を送ります。
3.大動脈小体は大動脈弓にあり、酸素分圧の他、二酸化炭素分圧やpHの変化に反応し、迷走神経を介して延髄の呼吸中枢にその情報を送ります。
4.延髄にある中枢性化学受容器は二酸化炭素分圧の上昇により敏感に反応し、呼吸中枢を刺激し呼吸を促進します。
コメント