こんにちは。塾長のFです。
今日は生理学の循環の問題を作ってみました。
肺循環と体循環
問題1 血液循環で正しいのはどれか。【難易度☆】
1.全身の静脈血→上・下大静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈
2.全身の静脈血→上・下大静脈→左心房→二尖弁→左心室→肺動脈弁→肺動脈
3.肺からの静脈血→肺静脈→右心房→僧帽弁→右心室→大動脈弁→上行大動脈
4.肺からの静脈血→肺動脈→左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁→上行大動脈
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答え
1
全身の静脈血は上・下大静脈により心臓の右心房に戻ってきます。その後、下記の経路で肺に向かいます。
①右心房 → ②三尖弁 → ③右心室 → ④肺動脈弁 → ⑤肺動脈
肺からの血液は肺静脈により心臓の左心房に戻ってきます。その後、下記の経路で全身に向かいます。
①左心房 → ②僧帽弁(二尖弁) → ③左心室 → ④大動脈弁 → ⑤上行大動脈
心筋の性質
問題2 心筋の特徴で誤っているのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.心筋細胞同士が電気的に連結している。
2.心筋の活動電位および収縮時間とも骨格筋より短い。
3.洞房結節がペースメーカーの役割を果たす。
4.心拍出量は静脈還流量に比例する。
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答え
2
1.心筋細胞は介在板により細胞同士が電気的に結合しています。これをギャップ結合といいます。これにより1つの心筋細胞が興奮・収縮すると他の心筋細胞も同時に興奮・収縮し、あたかも1つの細胞のようにみえることから機能的合胞体とよばれます。
2.心筋の活動電位(興奮)および収縮時間とも骨格筋より長いです。この長い活動電位及び不応期をプラトーといい、プラトーの形成にはCa2+の細胞内流入が関わっています。
不応期が長いことにより、次の刺激があっても興奮が起きず心筋は単収縮しか起きません。
3.心臓全体の拍動リズム(心拍数)は右心房にある洞房結節の活動電位により決定しており、洞房結節は歩調取り細胞やペースメーカー細胞といわれます。
4.心臓の1回収縮あたりの拍出量を1回拍出量といい、これは静脈血が心臓に戻ってくる量(静脈還流量)に比例します。すなわち心筋は伸展されればされるほど強い収縮力を発揮します。これをスターリングの法則といいます。
心電図波形の意味
問題3 心電図を示す。図中のT波の直後に起こるのはどれか。【難易度☆☆】
1.心房筋の収縮
2.心房筋の弛緩
3.心室筋の収縮
4.心室筋の弛緩
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答え
4
心電図は心筋細胞の細胞膜電位の変化をグラフに波形として表したものです。
心筋細胞は電気的興奮(活動電位)の後に収縮します。それぞれの波形の意義については下表のとおりです。
P波 | 心房の脱分極(興奮) | 心房の収縮 |
QRS波 | 心室の脱分極(興奮) | 心室の収縮 |
T波 | 心室の再分極(回復) | 心室の弛緩 |
PQ間隔 | 心房の興奮が心室へ伝わるまでの時間 | |
QT間隔 | 心室の興奮の始まりから終わりまでの時間 | |
R-R間隔 | 心室の興奮から次の心室の興奮までの時間 心拍数に相当する | |
心周期
問題4 心周期で房室弁が開き、動脈弁が閉じているのはどれか。【難易度☆☆】
1.駆出期
2.充満期
3.等容性収縮期
4.等容性弛緩期
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答え
2
1.駆出期では、心室筋の収縮により心室の内圧が高まり、心室から大動脈へ血液が駆出されます。
2.充満期では、心室筋の弛緩により心室内圧が心房内圧よりも低下、心室へ血液が流入します。
3.等容性収縮期は、心室筋の収縮初期で、心室内圧が心房内圧より高く、大動脈側よりも低い時期です。ここでの特徴は房室弁、動脈弁ともに閉じていることです。
4.等容性弛緩期は、心室筋の弛緩初期で、まだ大動脈側および心房内圧よりも心室内圧が高い時期です。ここでの特徴は房室弁、動脈弁ともに閉じていることです。
心周期 | 房室弁 | 動脈弁 |
心房収縮期 | 開 | 閉 |
等容性収縮期 | 閉 | 閉 |
駆出期 | 閉 | 開 |
等容性弛緩期 | 閉 | 閉 |
充満期 | 開 | 閉 |
血圧の調整
問題5 血圧上昇に作用しないのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.末梢血管抵抗の増大
2.カテコールアミンの分泌増加
3.頸動脈洞からのインパルス増加
4.動脈硬化による血管弾性の低下
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答え
3
1.血圧は、心拍出量×末梢血管抵抗で求められます。血管平滑筋が収縮し血管径が小さくなると、血管抵抗が増大(血液が通りにくくなる)し血圧が上昇します。
2.カテコールアミンは副腎髄質や交感神経末端から分泌される神経伝達物質で、アドレナリンやノルアドレナリンのことです。分泌量が増加すると心拍数増加や血管収縮を起こし、結果的に血圧が上昇します。
3.頸動脈洞は内頸動脈起始部付近にある高圧受容器で、血圧の上昇を感知します。高い動脈圧を感知するとインパルス(活動電位)を発生、舌咽神経を経由して延髄の循環中枢に作用します。さらに遠心性迷走神経(副交感神経)が心臓の洞房結節に作用し心拍数を抑制した結果、血圧が下降します。
4.血管壁への脂肪の沈着や加齢による血管弾性の低下(血管が広がりにくくなる)を動脈硬化といいます。柔らかいゴム風船より硬いゴム風船を膨らませるのに力が要るように、動脈硬化をきたした血管では血圧が上昇します。
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