柔道整復師国家試験対策問題【一般臨床医学 第6回】

一般臨床医学

こんにちは。塾長のFです。

一般臨床医学の消化器疾患の問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

食道疾患

問題1 食道疾患と病因の組合せで正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.食道癌         ―  胃酸分泌過多
2.マロリーワイス症候群  ―  アルコール過飲
3.逆流性食道炎      ―  ピロリ菌感染
4.食道静脈瘤       ―  うっ血性心不全

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答え 

1.食道癌の原因は、高濃度のアルコール喫煙熱い飲食物などです。
 これらの刺激により食道粘膜の重層扁平上皮が異形成を起こし悪性腫瘍化します。

2.マロリーワイス症候群は、頻回の嘔吐により食道下端の粘膜に裂傷が起こる疾患です。
 嘔吐の原因は大量のアルコール摂取、妊娠悪阻(つわり)、過食症などです。

3.逆流性食道炎は、胃酸の逆流による食道粘膜の炎症です。
 胃酸の逆流は加齢生活習慣(飲酒、喫煙、食生活の乱れ)胃酸の分泌過多などにより食道下部の筋力が低下して起こります。

4.食道静脈瘤の原因は肝硬変などによって起こる門脈圧亢進状態です。
 門脈は脾臓で遊離したビリルビンや小腸で吸収した栄養素を肝臓へ運ぶ静脈ですが、肝硬変になると門脈が渋滞するので側副循環路の食道静脈や腹壁静脈、直腸静脈などにうっ血が起こります。





消化性潰瘍

問題2 胃十二指腸潰瘍について正しいのはどれか。【難易度

1.ウイルス感染が主な原因である。
2.消化管内に出血すると鮮血便がみられる。
3.胃潰瘍は食後に疼痛がある。
4.治療に非ステロイド系鎮痛薬が有用である。

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答え 

原 因

1)ヘリコバクター・ピロリ菌感染
・菌が産生するアンモニアなどにより潰瘍が生じる。

2)非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
・プロスタグランジンを合成する酵素(シクロオキシゲナーゼ)の働きを阻害する。
・プロスタグランジンは胃粘膜を保護する粘液(ムチン)分泌を促進しているため、合成が妨げられると酸や消化酵素により胃壁が傷害される。

3)飲酒、喫煙、ストレス
・胃壁に対する攻撃因子(酸、消化酵素、ピロリ菌)と防御因子(粘液、重炭酸塩)のバランスが崩れる。

症 状

1)上腹部・心窩部痛
① 胃潰瘍では食後にみられる。
② 十二指腸潰瘍では食前(空腹時)にみられる。

*げっぷをすると少し改善する(内圧が下がるため)

2)出 血
① 吐血
② 下血・・・タール(黒色)便

3)消化管穿孔
・内容物や消化液が腹腔内に漏れ出し、重度の敗血症やショックを生じ死に至る。

治 療

1)プロトンポンプ阻害薬
・壁細胞にある塩酸分泌を行うプロトンポンプの働きを直接抑える。

2)H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)
・壁細胞を刺激するヒスタミンの受容体に働き塩酸分泌を抑える。
・プロトンポンプ阻害薬より薬理効果は低い。

3)ピロリ菌除菌
・プロトンポンプ阻害薬と抗生物質で除菌する。





腹部疾患

問題3 腹部疾患について正しい記述はどれか。【難易度☆☆

1.潰瘍性大腸炎は慢性化することはない。
2.クローン病は大腸末端に好発する。
3.大腸癌は高繊維食が原因となりやすい。
4.虫垂炎の初期には悪心・嘔吐がみられる。

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答え 

1.潰瘍性大腸炎は、原因不明の大腸粘膜の慢性炎症です。
 難治性で再発と寛解を繰り返し、長期経過により大腸癌のリスクが高まります。

2.クローン病も原因不明の慢性炎症です。
 大腸のみに限局している潰瘍性大腸炎と違い、口から肛門まで消化管すべてに潰瘍などの炎症巣がみられますが最好発部位は回腸末端です。

3.大腸癌の原因は食生活に大きく関与しています。近代の高脂肪食低食物繊維食(食の欧米化)によって発生が増加傾向になります。
 二次性に大腸癌になりやすいものとして家族性大腸腺腫症(ポリポージス)、潰瘍性大腸炎、クローン病、リンチ症候群などがあります。

虫垂炎では初期は悪心、嘔吐、心窩部の疼痛がみられます。
 疼痛部位は右下腹部に移行し、虫垂をおおう腹膜に炎症が拡大すると筋性防御により腹壁が硬結します。





イレウス

問題4 機械的イレウスの症状で誤っているのはどれか。【難易度

1.排ガスの停止
2.腸蠕動の低下
3.小腸ガス貯留
4.糞臭呼気

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答え 

イレウス(腸閉塞)は、何らかの原因により腸の内容物が肛門へ運ばれなく病気です。

狭窄や圧迫などにより腸管が物理的に閉塞しているものを機械的イレウスといいます。

敗血症や神経損傷により腸の蠕動運動が消失し起こるものを麻痺性(機能的イレウスといいます。

1.機械的イレウスでは腸管が閉塞しているため、排ガス(おなら)排便が停止(便秘)します。

.機械的イレウスでは腸の機能(蠕動運動)の低下はありません。むしろ排便を促そうと蠕動運動が亢進します。

3.イレウスでは内容物が貯留し、腸内で分解されるとガスが発生します。その様が単純X線撮影でガスと液体が分離した鏡面像(二ボー像)として確認できます。

4.腸内のガスが口へ逆流すると糞臭呼気となります。





肝 癌

問題5 肝細胞癌の発生要因としてもっとも多いのどれか。【難易度☆☆

1.ウイルス性肝炎
2.アルコール性肝障害
3.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
4.薬物性肝障害

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答え 1

 原発性肝細胞癌の原因の約90%はウイルス性肝炎から肝硬変を経たものです。そのうちC型肝炎によるものが70~80%、B型肝炎によるものが10%程度です。

 他にアルコール薬物によるものがあります。

 近年増加傾向にあるのが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。
 糖尿や高脂血症などいわゆるメタボリックシンドロームから脂肪肝を経て肝癌を発症します。

参考文献

・医歯薬出版「一般臨床医学 改訂第3版」
メディカルノート(新しいタブが開きます。)

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