柔道整復師国家試験対策問題【整形外科学 第2回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

整形外科の第2回です。疾患別各論の問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

感染性疾患

問題1 感染性疾患で正しいのはどれか。【難易度

1.急性化膿性骨髄炎は開放性骨折によるものが最も多い。
2.ブロディ骨膿瘍は初期より炎症反応が著明となる。
3.骨関節結核では抗酸菌のPCR検査法が有用である。
4.乳児の化膿性関節炎は連鎖球菌の血行性感染によるものが多い。

答えと解説をみる
答え 

1.急性化膿性骨髄炎は黄色ブドウ球菌の感染によるものが多く、感染経路は上気道や皮膚などの他部位から血行性に骨髄に侵入することが最も多いです。

2.ブロディ骨膿瘍弱毒性の筋による慢性骨髄炎の一種です。
 長期間無症状のまま経過します。単純X線像では限局性の透亮巣(骨が透けて見える)の周囲に骨硬化巣が確認できます。

骨関節結核は結核菌が肺などの感染巣から血行性に脊柱(カリエス)や股関節、膝関節に感染したものです。
 結核菌は抗酸菌に属するため、抗酸菌特有の検査法(PCR法、小川培地、チール・ネルゼン染色)が有用です。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

【抗酸菌とは?】

 細菌を顕微鏡で検査するとき観察しやすいように染色しますが、酸を使っても脱色されない菌類を抗酸菌(主にマイコバクテリウム属)といいます。

 結核菌とそれ以外の非結核性抗酸菌に分類されます。

国立北海道医療センターのHPを参照】

4.新生児や乳児の化膿性関節炎は急性化膿性骨髄炎と同じく黄色ブドウ球菌の血行性感染がもっとも多いです





骨および軟部腫瘍

問題2 65歳の男性。軽微な外力により脊椎を骨折し搬送された。血液検査で貧血傾向、カルシウム高値、異常な免疫グロブリンの増加、単純X線像では多発性の骨透亮像を認めた。
考えられる疾患はどれか。【難易度☆☆

1.癌の骨転移
2.軟骨肉腫
3.骨巨細胞腫
4.骨髄腫

答えと解説をみる
答え 4

(多発性)骨髄腫

【概要】
50歳以上の高齢者に発症することが多い。
・骨髄の形質細胞が悪性腫瘍化する。

【病態】
1)病的骨折
・腫瘍が骨基質を溶かし(破骨細胞を活性化)、骨梁が希薄になるため軽微な外力で骨折する。
・単純X線像では、多発性の骨透亮像 punch out lesion(骨打ち抜き像)がみられる。

2)腎障害
・カルシウムが血中に溶け、高カルシウム血症となるため、腎尿細管障害を起こす。

3)貧血易感染性出血傾向・・・汎血球減少症
・赤血球、白血球、血小板は全て骨髄で分化するため、それぞれの減少症状が起きる。

4)異常な免疫グロブリンの増加
・形質細胞は異物から体を守る免疫グロブリン(抗体)を産生するが、骨髄腫では異常な免疫グロブリン(M蛋白という)が多量に産生される。
・M蛋白が組織に沈着しアミロイドーシスを合併する。




非感染性軟部・骨関節疾患

問題3 関節リウマチについて正しいのはどれか。【難易度

1.骨膜の異常増殖を伴う。
2.腰仙部に罹患することが多い。
3.リウマトイド結節は骨突出部に多い。
4.NSAIDs薬は関節破壊の防止効果がある。

答えと解説をみる
答え 

関節リウマチは、自己免疫機序による全身性の炎症性疾患です。

1.関節包の内面を覆う滑膜に炎症が起きパンヌス(肉芽組織)が形成され、骨、軟骨が破壊されます。

2.好発部位はMP関節PIP関節に多く、DIP関節はまれです。
 手以外では正中環軸関節、足関節、MTP関節、膝関節などに発生します。
 左右対称性なのが特徴です。

.関節以外の症状として皮下結節(リウマトイド結節)は、肘頭や坐骨結節など骨の突出部に発生します。

4.治療は抗リウマチ薬(DMARD)のメトトレキサートが第一選択肢になります。遅効性のため継続内服が必要です。
 NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)は疼痛や腫脹などの炎症を軽減する作用はありますが関節破壊の防止効果はありません。
 





先天性骨系統疾患

問題4 疾患と成因の組合せで誤っているのはどれか。【難易度

1.軟骨無形成症  ―  常染色体優性遺伝
2.モルキオ病   ―  ムコ多糖代謝異常
3.骨形成不全症  ―  Ⅰ型コラーゲン形成不全
4.大理石病    ―  骨芽細胞機能不全

答えと解説をみる
答え 

1.軟骨無形成症は、常染色体優性遺伝病で骨端軟骨の形成不全により四肢短縮型の小人症となります。

2.モルキオ病は、常染色体劣性遺伝病でムコ多糖の代謝障害により体幹短縮型の小人症となります。

3.骨形成不全症は、Ⅰ型コラーゲンの形成障害によって骨芽細胞の機能不全が起き、骨の形成(石灰化)が障害され病的骨折が起きます。

4.大理石病は、破骨細胞の障害により骨吸収が阻害され、骨密度が異常に高まると骨のしなやかさが失われ、かえって骨折しやすくなる(病的骨折)疾患です。





神経・筋疾患

問題5 脊髄損傷で誤っているのはどれか。【難易度

1.脊髄ショックでは損傷高位以下すべての脊髄反射が亢進する。
2.C6髄節損傷では人工呼吸器は必要でない。
3.T1髄節損傷では低血圧が生じやすい。
4.評価法にはフランケル分類がある。

答えと解説をみる
答え 

 脊髄損傷はスポーツや交通事故などにより脊髄が横断性に損傷し、頸髄損傷では四肢麻痺、胸髄以下損傷では対麻痺(両側下肢の麻痺)となります。

 損傷レベルは機能が残存している最下位髄節とされます。
 例えば第5胸髄以下の機能が消失し、第4胸髄の機能が残存していれば「第4胸髄損傷」となります。

.脊髄損傷は中枢神経障害のため痙性麻痺(深部反射の亢進)を起こしますが、受傷急性期(~数週間)では損傷部位以下の全ての反射が消失します。これを脊髄ショックといいます。
 脊髄ショック期では弛緩性麻痺(深部反射の減弱)がみられます。

2.呼吸の主役である横隔膜はを支配する横隔神経は第4頸髄からでます。したがって第3頸髄損傷以上のレベルで人工呼吸器が必要となります。

3.第5胸髄損傷以上のレベルでは交感神経が障害されます。
① 起立性低血圧
 ・交感神経の損傷により、起立時に脳血圧が低下し目まいや立ちくらみが起きます。
② 自律神経過反射
 ・交感神経の異常興奮により、血圧が上昇し、頭痛、発汗、徐脈が起きます。

4.フランケル分類は脊髄損傷の評価法です。

【フランケル分類】

A 運動、感覚とも喪失
B 運動が喪失、感覚が残存
C 運動が残存(非実用的)
D 運動が残存(実用的)
E 運動、感覚とも残存。膀胱直腸障害もない。

参考文献

・南江堂「整形外科学 改訂第4版」

コメント

タイトルとURLをコピーしました