柔道整復師国家試験対策問題【運動学 第2回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

運動学の問題を作ってみました。

今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!

骨の発生と成長

問題1 軟骨性骨化で誤っているのはどれか。【難易度

1.胎生期に軟骨が骨の原型を作る。
2.四肢の長管骨の骨化様式である。
3.骨化に骨膜が大きく関与している。
4.成長点は骨の成長が止まると骨端線として残る。

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答え 

骨は胎児期に結合組織中の中胚葉由来の間葉細胞が分化して形成されます。

骨化様式には軟骨性骨化膜性骨化の2種類あります。

1)軟骨性骨化
 ・四肢の長管骨を含め多くの骨の骨化様式。
 ・この様式により骨化する骨を置換骨という。 
① 胎生期に間葉細胞が軟骨細胞に分化して骨の原型が作られる。
② まず骨幹部の軟骨が骨芽細胞によって骨に置き換えられる。(一次骨化点)
③ 次いで骨端部に二次骨化点が出現し、両骨化点から骨基質が形成される。
④ 骨幹端に骨端軟骨が出来、骨の長軸方向の成長の起点となる。
⑤ 骨端軟骨は成長が止まると骨端線としてX線撮影で確認できる。

中胚葉性間葉細胞 → 軟骨細胞 → 骨芽細胞 → 骨細胞

2)膜性骨化(結合組織性骨化)
 ・鎖骨頭蓋冠(頭頂骨など)の骨化様式。
 ・この様式により骨化する骨を付加骨という。
① 胎生期に間葉細胞が骨芽細胞に分化する。
② 骨芽細胞は周囲にコラーゲンを分泌する(類骨の形成)。
③ 類骨にリン酸、カルシウムが付着し骨芽細胞は骨細胞となる。(石灰化)
長管骨の横径(太さ)の成長に関与する。

中胚葉性間葉細胞 → 骨芽細胞 → 骨細胞





関節の運動学的分類

問題2 運動自由度が2度の関節はどれか。

1.橈骨手根関節
2.股関節
3.上橈尺関節
4.椎間関節

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答え 

 運動自由度は、関節の運動軸の数と一致します。

 例えば、橈骨手根関節は前頭軸の運動(屈曲-伸展)、矢状軸の運動(橈屈-尺屈)の2つの運動軸上の運動があるので運動自由度は2度です。

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筋線維の種類

問題3 SO線維について正しいのはどれか。

1.姿勢保持筋に多く含まれる。
2.乳酸が蓄積しやすい。
3.白筋と呼ばれる。
4.ミトコンドリア酸素活性が低い。

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答え 

 骨格筋の筋線維は、線維の太さ、収縮速度、疲労度、発生張力などによりSO線維FG線維FOG線維の3つのタイプに区分されます。

 SO線維遅筋とよばれ、筋収縮の速度はゆっくりですが持続性が高いのが特徴です。

.脊柱起立筋やヒラメ筋などの姿勢保持筋ではSO線維の割合が高くなります。

2.SO線維のATP供給源は、有酸素的な反応によるものです。
 無酸素的な解糖のような乳酸の生成はみられません。

3.酸素を供給するミオグロビンの量が多く、毛細血管も密に分布しているため赤くみえます。

4.有酸素的ATP供給反応であるクエン酸回路や電子伝達系は筋細胞内のミトコンドリアに存在するため、ミトコンドリア酸素活性は高くなります。

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運動神経の中枢

問題4 運動野で誤っているのはどれか。

1.前頭葉中心前回にある。
2.脳神経の起始核がある。
3.巨大錐体細胞(ベッツ細胞)がある。
4.脊髄前角と直接連絡している。

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答え 

 随意運動は大脳で発現し、その指令が錐体路(中枢運動神経、上位運動ニューロン)を介して脊髄にあるα運動ニューロン(末梢運動神経、下位運動ニューロン)に伝えられます。
 α運動ニューロンは骨格筋線維を興奮させ、実際の筋収縮が起こります。

1.運動野は大脳皮質前頭葉の中心前回にあります。
 中心前回は中心溝の前の膨らみの部分です。 

.脳神経は12対の末梢神経で、その起始核(スタート地点)は脳幹(中脳、橋、延髄)にあります。

3.大脳皮質の神経細胞は6層構造に配列されています。
 運動野のある中心前回の第5層にはベッツ細胞といわれる巨大錐体細胞があります。
 このベッツ神経細胞の軸索が中枢運動神経である錐体路となります。

4.錐体路(ベッツ細胞の軸索)は大脳皮質運動野に端を発し、内包、脳幹を下行し、延髄の錐体で左右交叉した後、脊髄前角のα運動ニューロンまで途中シナプスを介さず直接連絡します。





筋紡錘の神経支配

問題5 筋紡錘から出力する神経線維はどれか。

1.γ運動線維
2.Ⅰa群線維
3.Ⅰb群線維
4.α運動線維

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答え 

筋紡錘とは、筋内にある深部感覚の受容器で、筋の伸長を受容します。

<strong>F塾長</strong>
F塾長

【深部感覚って?】

 深部感覚とは、皮膚より深層にある筋、腱、関節で生じる感覚のことです。

 運動感覚、位置覚、振動覚などがそうです。
 具体的には関節の角度や、筋肉の収縮・伸長度合いが伝わります。

筋紡錘を含め、筋には下記の5種類の神経が出入りします。

【遠心性神経(筋に入力する神経)】

① α運動ニューロン
 ・骨格筋線維を収縮させる末梢運動神経。
 ・脊髄前角にある大型の運動神経細胞で、錘外筋線維を支配する。

② γ運動ニューロン
 ・筋紡錘の感度を調節する末梢運動神経。
 ・脊髄前角にある小型の運動神経細胞で、錘内筋線維を支配する。

【求心性神経(筋から出力する神経)】

① Ia群線維
 ・筋紡錘の一次終末(らせん終末)に分布する感覚神経。
 ・筋の伸長を受容する。
 ・伸張反射の求心路となる。

② Ⅱ群線維
 ・筋紡錘の二次終末(散形終末)に分布する感覚神経。
 ・持続的な筋の伸張を受容する。

③ Ⅰb群線維
 ・腱紡錘(ゴルジの腱器官)に分布する感覚神経。
 ・筋の張力を受容する。

参考文献

・医歯薬出版「運動学 改訂第3版」

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