こんにちは。塾長のFです。
柔整理論の下肢の脱臼と軟部組織損傷のオリジナル問題をつくってみました。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
股関節後方脱臼
問題1 股関節後方脱臼で正しいのはどれか。【難易度☆】
1.股関節を過伸展強制されて発生することが多い。
2.股関節伸展、内転、内旋位で弾発性固定される。
3.ローゼル・ネラトン(Roser-Nelaton)線よりも大転子高位となる。
4.腸骨大腿靱帯の断裂が必発する。
答えと解説をみる
答え
3
1.股関節後方脱臼は、交通事故のような大きな外力により発生します。
① 多くは、自動車乗車中に衝突した際に、ダッシュボードで大腿長軸方向への介達外力を受けて受傷します。
② 股関節が屈曲、内転、内旋強制されて発生します。
このとき、大腿骨頭の位置により、腸骨脱臼と坐骨脱臼に分類されます。
2.弾発性固定の肢位は、屈曲、内転、内旋位となります。
① 腸骨脱臼では、患側の膝が健側の膝に乗る形になります。
② 坐骨脱臼では、屈曲、内転、内旋度が強くなり、患側の膝が健側の大腿に乗る形になります。
3.ローゼル・ネラトン線とは、上前腸骨棘と坐骨結節を結ぶ線です。
正常では、股関節45°屈曲位のとき、大転子の上端が線上にあります。
股関節後方脱臼では、大転子が高位にあります。
4.腸骨大腿靱帯は、股関節の前面を補強し人体最強の靱帯ともいわれます。別名Y靱帯。
通常、股関節脱臼では大腿骨頭靱帯が断裂します。
股関節と仙腸関節の徒手検査
問題2 パトリック Patrick テストが有用なのはどれか。【難易度☆】
1.股関節屈曲拘縮の計測
2.仙腸関節疼痛の有無
3.股関節疾患と坐骨神経痛の鑑別
4.先天性股関節脱臼の診断
答えと解説をみる
答え
3
パトリックテストは、股関節の構造の異常やが炎症がある場合に陽性となるテスト法です。
脚を「4の字」のように患側の足部を健側の膝の上に乗せ、患側股関節を伸展させていき疼痛があれば陽性です。
その肢位、動作から Fabereともいわれます。
Flextion(屈曲)、Abduction(外転)、External Rotation(外旋)、Extention(伸展)
1.股関節屈曲拘縮の計測には、トーマス Thomas テストが用いられます。
2.仙腸関節疼痛の有無には、ニュートン Newton テストが用いられます。
4.先天性股関節脱臼の診断には、アリス Allis 徴候などが用いられます。
膝蓋骨脱臼の発生要因
問題3 膝蓋骨外側脱臼の発生要因とならないのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.脛骨粗面の内側偏位
2.反張膝
3.腸脛靱帯の過緊張
4.膝蓋骨高位
答えと解説をみる
答え
1
膝蓋骨脱臼は外側脱臼の頻度が高く、女性に多く発生します。
膝蓋骨外側脱臼の発生機序は、解剖学的な形態異常があるうえで膝の過伸展や外転・外旋強制により発生することが多いです。
1)外反膝(X脚)で発生しやすい。
① Q角の増大(通常 15°)
② 大腿脛骨角(FTA)の減少(通常 176°)
③ 大腿骨頸部前捻角の増大(通常 14°)
*頸部の前捻は大腿骨幹軸の内旋を意味し、X脚となる。
③ 大腿骨外顆部、脛骨外顆部の形成不全
④ 脛骨粗面の外側偏位
*Q角が増大する。
2)筋・軟部組織の緊張・弛緩により発生しやすい。
*内側支持機構の脆弱化、外側支持機構の緊張。
① 内側広筋の萎縮(筋力低下)
② 腸脛靱帯の緊張
3)膝蓋骨と大腿骨が離れると発生しやすい。
*大腿四頭筋と膝蓋靱帯が緩むと離れやすくなる。
① 反張膝(膝の過伸展)
② 膝蓋骨高位
③ 全身の関節弛緩
シンスプリント shin splint
問題4 シンスプリント shin splint について誤っているのはどれか。【難易度☆☆】
1.脛骨後内側部に限局性圧痛がみられる。
2.外反偏平足が原因の一つとなる。
3.経時的に仮骨が出現する。
4.両側性に発症するものが多い。
答えと解説をみる
答え
3
シンスプリント(過労性脛痛、脛骨過労性骨膜炎)は、下腿後面内側筋群(後脛骨筋、ヒラメ筋)の牽引により付着部の骨膜に炎症を起こすものです。
長距離走やジャンプやターンを繰り返すスポーツに好発します。
1.脛骨後内側部に限局性圧痛や運動痛がみられます。
2.外反足、扁平足、回内足などのアライメント異常は発生要因となります。
・後脛骨筋は脛骨後内面に起始し、舟状骨粗面に停止しています。
・上記は全て起始部と停止部の距離が延長し、後脛骨筋による牽引力が高まり発生しやすくなります。
3.シンスプリントは疲労骨折ではないため、仮骨は出現しません。
・単純X線では異常は認められません。
4.上記のアライメント異常は両側性に存在することが多く、シンスプリントの両側発生は40%といわれています。
足部の軟部組織損傷
問題5 足部の損傷と発生部位の組合せで正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.三角骨障害 ― 舟状骨粗面部
2.有痛性外脛骨 ― 第5中足骨基部
3.足根洞症候群 ― 外果前下方
4.足底腱膜炎 ― 外側縦アーチ部
答えと解説をみる
答え
3
1.三角骨障害は、距骨後外側の過剰骨です。
・足関節最大屈曲の際に脛骨後縁と踵骨の間に挟まれ、疼痛を発します。
2.有痛性外脛骨は、足の舟状骨内側の過剰骨です。
・10代前半の女性に好発します。
・扁平足を伴う場合が多いです。
3.足根洞症候群では、外果前下方にある距骨下関節(距骨と踵骨の間)部の疼痛、不安定感がみられます。
・大半が足関節の内返し捻挫に続発します。
・足根洞内の骨間距踵靱帯の損傷が原因です。
F塾長
【紛らわしいヤツに注意!】
似たような名前で「足根管症候群」があります。
こちらは内果後方で脛骨神経が絞扼されて足底の疼痛やシビレが主訴となります。
4.足底腱膜炎は、内側縦アーチ部に圧痛がみられます。
・40代以降やランニングやジャンプを伴うスポーツ選手にみられます。
・扁平足や老化によるアーチの低下が原因となります。
参考文献
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第5版」
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
コメント