柔道整復師国家試験対策問題【柔道整復理論・下肢 第1回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

今日は柔整理論の下肢の骨折がテーマです。

上肢に比べると下肢は苦手な人が多いみたいです。

F塾で苦手を克服していきましょう!

デュベルニー骨折

問題1 デュベルニー(Duverney)骨折で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.裂離骨折としての発生が多い。
2.患側転子果長は変化しない。
3.骨片は腸腰筋により転位する。
4.骨片は下内方へ転位する。

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答え 

デュベルニー Duverney 骨折腸骨翼単独骨折です。

筋の牽引による腸骨稜裂離骨折や上前腸骨棘裂離骨折と違うことに注意が必要です。

1.腸骨への直達外力で発生します。

.転子果長(大転子~外果)は変化しません。
 上前腸骨棘が上方へ転位するので、棘果長が延長します。

3.骨片は内腹斜筋外腹斜筋腰方形筋により転位します。
 くどいですが、あくまでも直達外力による骨折後の転位であって、これらの筋の牽引力による骨折ではありません。

4.骨片は上外方へ転位します。





大腿骨頸部骨折

問題2 大腿骨頸部骨折で正しいのはどれか。【難易度

1.外転型骨折が大半を占める。
2.内転型骨折は噛合骨折となりやすい。
3.スカルパ三角に圧痛を認める。
4.背臥位で患側内果が床に触れる。

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答え 

大腿骨頸部骨折高齢者や骨粗鬆症など骨が弱い人に多い骨折で脆弱性骨折の一つです。

骨折型により内転型骨折外転型骨折に分類されます。
ほとんどが内転型骨折です。

【内転型骨折】
・転倒した際に大転子部を強打し発生することが多い。
・骨折線が70°以上(垂直に近い)となることが多い。
・骨折部に骨癒合に不利な力(剪断力)が働きやすい。

【外転型骨折】
・バランスを崩し足を横に踏み出し(股関節外転)踏ん張った際に発生しやすい。
・骨折線が30°以下(垂直に近い)となることが多い。
骨折部は噛合していることが大半。
・骨折部に骨癒合に有利な力(圧迫力)が働きやすい。

1.内転型が大半を占めます。

2.外転型が噛合骨折となりやすいです。

.大腿骨頸部骨折では大腿骨頭の位置、すなわちスカルパ三角部に圧痛がみられます。
 *スカルパ三角・・・鼠径靱帯、縫工筋、長内転筋で囲まれた部位

4.大腿骨頸部骨折では、下肢自身の重みにより下肢は外旋します。
 特に内転骨折型で著明となり、患側の外果が床に触れます





膝蓋骨骨折

問題3 膝蓋骨骨折で正しいのはどれか。【難易度☆☆

1.介達外力によるものでは縦骨折が多い。
2.遠位骨片が短縮転位する。
3.膝蓋腱膜断裂を伴うものでは陥凹を触知する。
4.腱膜下骨折では膝伸展が不可となる。

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答え 

膝蓋骨は皮膚直下に位置する為、特に直達外力で損傷を受けやすくなっています。

膝蓋腱膜および両側の膝蓋支帯の断裂の有無で転位、症状、治療法が変わります。

1.介達外力による骨折は、大腿四頭筋の牽引による裂離骨折で、横骨折となります。
 直達外力によるものでは、粉砕骨折、縦骨折などがあるが、横骨折がもっとも多いです。

2.腱膜や膝蓋支帯が断裂したものでは、大腿四頭筋により近位骨片が上方へ転位した延長転位となります。

.膝蓋腱膜断裂を伴うものでは、骨折端の離開が著明となり、陥凹を触知する。

4.膝蓋腱膜断裂が合併しないものを腱膜下骨折といいます。
 腱膜下骨折では、膝関節の伸展はある程度保たれます
 膝蓋腱膜が断裂したものでは、膝関節の伸展が著明に障害されます。





下腿骨果部骨折

問題4 下腿骨果部骨折で腓骨骨折を伴わないのはどれか。【難易度

1.チロー(Tillaux)骨折
2.デュプイトラン(Dupuytren)骨折
3.ポット(Pott)骨折
4.コットン(Cotton)骨折

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答え 

チロー骨折前脛腓靱帯の脛骨側の付着部(チロー結節)の裂離骨折です。
 脛骨の外側(腓骨側)の骨折であり、腓骨骨折は伴いません

2、3.デュプイトラン骨折ポット骨折は同じ骨折と扱われています。
以下の3点が定義となります。
① 腓骨遠位骨幹部骨折
② 距骨の外側亜脱臼
③ 内側支持機構の破綻(三角靱帯断裂か内果骨折)

4.コットン骨折は、脛骨内果骨折腓骨外果骨折脛骨後果(遠位関節面後縁)骨折を合併したものです。

【デュプイトラン骨折とポット骨折の違い】

 2022年4月現在、両者は同じとしていますが以前の教科書(柔道整復学 第5版)では別のものとして扱われていました。

 以下に違いを記しますので、過去問を解くときの参考にしてください。

・デュプイトラン骨折
① 腓骨頸部から近位骨幹部の螺旋状骨折
② 前後脛腓靱帯の断裂(遠位脛腓関節の完全離開)
内果骨折

・ポット骨折
① 腓骨頸部から近位骨幹部の螺旋状骨折
② 前後脛腓靱帯の断裂(遠位脛腓関節の完全離開)
三角靱帯断裂





中足骨骨折

問題5 中足骨骨折で正しいのはどれか。【難易度

1.下駄骨折は疲労骨折に分類される。
2.ジョーンズ(Jones)骨折とは第5中足骨基底部の骨折である。
3.行軍骨折は第2、第3中足骨骨幹部に発生する。
4.第1ケーラー(Köhler)病との鑑別が必要となる。

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答え 

1.下駄骨折は、第5中足骨基底部裂離骨折です。
 内返し強制時に短腓骨筋の牽引によって発生します。

2.ジョーンズ骨折は、第5中足骨近位骨幹部疲労骨折です。
 骨癒合が悪く、偽関節を後遺しやすくなります。

行軍骨折は、中足骨骨幹部に起こる疲労骨折です。第2、第3中足骨に好発します。
 長時間の歩行や長距離走の選手に発生します。

4.第1ケーラー病は、足舟状骨に起こる骨端症です。3~7歳の小児に好発します。
 中足骨骨折と鑑別が必要なのは、第2中足骨頭に発生する骨端症の第2ケーラー病(フライバーグ Freiberg 病)です。10代女子に好発します。

参考文献

・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第5版」

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