柔道整復師国家試験対策問題【一般臨床医学 第1回】

一般臨床医学

こんにちは。塾長のFです。

今日は一般臨床医学の1回目です。

一般臨床医学は国家試験のなかで出題数が柔道整復理論、解剖学、生理学の次に多い科目です。(22問)

ココを落とすわけにはいかないですね。

今日もガッツリ勉強していきましょう!

姿勢の視診

問題1 姿勢と疾患の組合せで正しいのはどれか。【難易度

1.後弓反張位   ―  髄膜炎
2.起坐位     ―  尿管結石症
3.脊柱側彎位   ―  脊椎カリエス
4.前かがみ姿勢  ―  脳血管障害

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答え 

後弓反張とは、身体全体が後ろ向きに反り返った姿勢です。
 頸部・背部の筋緊張や髄膜刺激が原因となります。
 ・髄膜炎
 ・くも膜下出血
 ・多発神経炎
 ・てんかん
 ・破傷風

2.起坐位は、臥位でいると呼吸困難となり座らざるを得ない姿勢です。
 夜間にみられるのが特徴です。
 ・COPD(慢性閉塞性肺疾患 肺気腫)などの重度の肺疾患。
 ・うっ血性心不全などの心疾患。

3.脊柱側彎は、先天性の骨格異常や疼痛が原因となります。
 ・マルファン症候群(遺伝性の骨格異常)
 ・特発性側彎症(原因不明)
 ・骨形成不全症(先天性の遺伝子異常)
 ・椎間板ヘルニア(坐骨神経痛によるもの)

4.前かがみ姿勢は、パーキンソン病に特有な姿勢です。

その他の異常姿勢~

1)エビ姿勢
・疼痛により身体をくの字に屈曲させた姿勢です。
胆石症尿管結石、膵炎など

2)マン・ウェルニッケ姿勢
・錐体路障害による片麻痺の姿勢です。
・麻痺側の上肢は屈曲、下肢は伸展、足関節は底屈位となります。
脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)

3)脊柱後彎位
・脊柱が後ろに突出する(背中が丸くなる)姿勢です。
脊椎カリエス強直性脊椎炎、くる病など。





異常運動の視診

問題2 不随意運動と原因疾患で正しい組合せはどれか。【難易度☆☆

1.企図振戦    ―  小脳疾患
2.羽ばたき振戦  ―  ハンチントン病
3.アテトーゼ   ―  多発性硬化症
4.舞踏様振戦   ―  甲状腺機能亢進症

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答え 

振戦とは、身体の一部が自分の意志と関係なく規則的、あるいは律動的に動いてしまう不随意運動の一種です。ふるえ

企図振戦は、「動かそうとしたときに起きる振戦」です。
 小脳疾患多発性硬化症で発生します。

2.羽ばたき振戦は、あたかも鳥が羽ばたくかのような振戦です。
 重度の肝硬変の際、昏睡状態(意識障害)でみられます。

3.アテトーゼは、ゆっくりとした持続性のある運動で、虫がはうように指をくねらせたり、手関節や前腕を回内、回外させるような不随意運動です。
 脳性麻痺にみられます。

4.舞踏様振戦は、文字通りさも踊っているかのような振戦です。
 ハンチントン病でみられます。

その他の不随意運動

1)小刻みでリズミカルな手指振戦
甲状腺機能亢進症(バセドー病
・アルコール依存症

2)丸薬丸め様振戦(ピル・ローリング)
・母指を示指や中指にこすりつけるような振戦。
パーキンソン病

3)チック
・筋肉が目的もなく運動を反復するものです。
顔面の筋にみられやすいです。顔がピクピクする感じ。
・脳疾患の他、精神的ストレス状態でも起こります。

4)ミオクローヌス
・突発性に一部の筋肉が素早く収縮する運動です。
・健康状態でも起こります。寝ているときに手足がビクっとしたり、「しゃっくり」もこれです。
脳炎やてんかん、クロイツフェルト・ヤコブ病では頻度が高くなります。





皮膚の視診

問題3 皮膚の色調の変化で紅斑を示さないのはどれか。【難易度☆☆

1.肝硬変
2.全身性エリテマトーデス
3.急性骨髄性白血病
4.ベーチェット病

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答え 

1.肝硬変では、手掌紅斑がみられます。
 ・手掌、とくに母指球、小指球に著明です。

2.全身性エリテマトーデス(SLE)では、蝶形紅斑がみられます。
 ・鼻から両頬にかけて蝶が羽を広げた様な赤い発疹です。
 ・日光暴露で増悪します。
 ・SLEでは他にディスコイド疹(耳介や関節背面に出現する円盤状、輪状の紅斑)もみられます。

急性骨髄性白血病では、紅斑ではなく紫斑(出血傾向)がみられます。
 ・急性骨髄性白血病では白血球だけでなく赤血球、血小板も減少します。これを汎血球減少といいます。
 ・汎血球減少状態では、易感染性、貧血、紫斑が特徴的です。

4.ベーチェット病では、結節性紅斑がみられます。
 ・下腿や前腕にできる疼痛性の赤いしこりです。

~その他の紅斑~

1)ヘリオトロープ疹
 ・皮膚筋炎(多発性筋炎)でみられる上眼瞼の紫紅色疹です。

2)輪状(環状)紅斑
 ・リウマチ熱シェーグレン症候群などのリウマチ性疾患でみられます。
 ・上述のの全身性エリテマトーデスのディスコイド疹もこの一種です。





腹部の視診

問題4 腹部の視診で、臍を中心として放射状に血管が浮き出てみえる場合に疑うべきはどれか。【難易度

1.クッシング症候群
2.急性汎発性腹膜炎
3.肝硬変
4.出産後のたるみ

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答え 

腹壁静脈の怒張「メズサの頭」が考えられます。

1.クッシング症候群では、腹部に赤色皮膚線条がみられます。
 ・肥満により腹部の皮膚が伸張されてできます。

2.急性汎発性腹膜炎では、腹部陥凹がみられます。
 ・腹膜全体の炎症により筋性防御が起こり、腹部の筋が収縮するためです。板状硬ともいいます。

肝硬変では、門脈圧亢進により腹壁静脈の怒張「メズサの頭」がみられます。
 ・門脈圧亢進とは、肝硬変により肝臓の内圧が高まり、肝臓へ向かう血管である門脈の血圧が高まる状態のことです。
 ・門脈圧が高まると血液は側副血行路(バイパス)を通って心臓へ戻ります。
 ・それにより側副血行路も内圧が高まり膨張します。
 ・側副血行路には腹壁静脈直腸静脈食道静脈などがあります。

4.妊娠出産では、白色皮膚線条がみられます。
 ・クッシング症候群の赤色と違い、白色なので区別して覚えましょう。

【F塾長のどーでもいい話】*読まなくても大丈夫ですw

メズサ(メドゥーサ)とは、ギリシア神話に出てくる女怪物です。
髪の毛が蛇で、その瞳をみたものを石化する特殊能力を持っています。

元々はゴルゴン3姉妹の末妹で美しい髪の美少女でした。

その美しさに惚れた海神ポセイドンの愛人になり(もちろん不倫)、あろうことか処女女神アテナの神殿で交わってしまいます。

ポセイドンとアテナは戦争するほど仲が悪く、アテナへのあてつけだったのでしょう。(ちなみにポセイドンとアテナは伯父とめいの関係)

怒り狂ったアテナはメドゥーサ自慢の髪を蛇に変え、人を石化させる怪物にしたのです。
ちなみにポセイドンはおとがめなし。(力関係的に)

メドゥーサは英雄ペルセウスに退治されます。
瞳を見ると石化するので、ペルセウスはピカピカに磨いた盾を鏡代わりにして首を切り落としたのは有名な話ですね。

ペルセウスは生贄にされた王女アンドロメダを救出するため、メドゥーサの首でクラーケン(くじらの怪物)を退治します。
首を切り落とされても石化能力は残っていたんですね。

ちなみになぜ生贄にされたかというと、

アンドロメダの母親カシオペア(エチオピア王妃)が「アンドロメダの美しさはポセイドンの孫娘より美しい」と吹聴していました。
それがポセイドンの怒りに触れ、エチオピアを滅ぼすためにクラーケンを送り込んだからです。

ちなみにペルセウスはポセイドンの弟ゼウスと人間の女の間に生まれた子供です。(これまた不倫)

いかがでしょうか。このポセイドンを中心にしたドロドロの不倫劇、いや神話。すごい創造力ですね。

このエピソードはこれまで何度も映画やドラマ化されています。

塾長おすすめは、映画『タイタンの戦い』です。
ギリシャ神話好きな人ははぜひ!





手指の視診

問題5 手指の変形で内分泌疾患によるものはどれか。【難易度

1.クモ状指
2.鋤 手
3.ブシャール結節
4.太鼓ばち指

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答え 

1.クモ状指は、マルファン症候群でみられます。
 ・蜘蛛の足のように細長い指となります。
 ・マルファン症候群は遺伝性(常染色体優性遺伝)の結合組織疾患です。

鋤手は、先端巨大症でみられます。
 ・大きく腫れぼったい手掌と太い指のために、農具の鋤のようにみえます。
 ・先端巨大症は下垂体腺腫による成長ホルモン過剰分泌(内分泌異常)が原因です。

3.ブシャール結節は、変形性関節症です。
 ・指の近位指節間関節(PIP関節)に起こり、発赤、疼痛を伴います。
 ・原因は不明ですが、好発年齢(中高年)から加齢と関係ありです。
 ・同様の変形性関節症で、遠位指節間関節(DIP関節)に起こるものはヘバーデン結節と呼ばれます。

4.太鼓ばち指は、先天性心疾患(ファロー四徴症など)慢性肺疾患(肺癌、肺気腫など)でみられます。
 ・手指の末節が丸く広くなり、爪の根本の凹みがなくなります。

~その他の手指の変形~

1)猿手
 ・正中神経麻痺によるも。母指球筋の萎縮。

2)鷲手
 ・尺骨神経麻痺によるもの。骨間筋、虫様筋の萎縮。

3)下垂手
 ・橈骨神経麻痺によるもの。手関節より遠位関節の伸展障害。

参考文献

・医歯薬出版「一般臨床医学 改訂第3版」

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