柔道整復師国家試験対策問題【生理学 第15回】

国試対策問題(オリジナル)

こんにちは。塾長のFです。

生理学の「筋の生理」の問題を作ってみました。

今日もガッツリ勉強していきましょう!

骨格筋の筋節構造

問題1 骨格筋の筋節構造でミオシンフィラメントの長さと相同なのはどれか。

1.A 帯
2.I 帯
3.H 帯
4.Z 膜

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答え 

筋節構造(サルコメア)

A帯は、ミオシンの長さに相当する部分です。ミオシンとアクチンが重なり暗くみえます。

2.I帯は、アクチンのみの部分です。明るくみえます。

3.H帯は、A帯のなかでミオシンのみ部分です。やや明るくみえます。

4.Z膜は、I帯の中央にある仕切り部分です。Z膜からZ膜までを筋節(サルコメア)といいます。





骨格筋の収縮のしくみ

問題2 骨格筋の収縮の際、Ca2+と結合するのはどれか。

1.ミオシン頭部
2.トロポニン
3.アセチルコリン
4.アクチンフィラメント

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答え 

骨格筋は運動神経により支配されています。

 運動神経の電気的興奮を伝達されることにより、骨格筋の細胞膜に活動電位が発生し(興奮)、筋線維が収縮する一連のしくみを興奮収縮連関といいます。

① 神経筋接合部における運動神経終末からアセチルコリンが放出される。
② アセチルコリンが筋細胞膜(運動終板)上の受容体と結合すると筋細胞膜が興奮(脱分極)する。
③ 興奮が細胞膜の一部である横行小管に伝わる。
④ 横行小管に隣接する筋小胞体からCa2+が放出される。
⑤ Ca2+がトロポミオシン上にあるトロポニンと結合する。
⑥ Ca2+がトロポニンと結合するとトロポミオシンの収縮抑制作用が除去される。
 (*筋弛緩時はトロポミオシンがミオシンとアクチンの結合を阻害している。)
⑦ ミオシン頭部とアクチンフィラメントが結合し、滑走(筋収縮)が起こる。





骨格筋線維のタイプ

問題3 骨格筋のタイプⅠ線維と比べてタイプⅡx線維の特徴はどれか。

1.姿勢維持に適している。
2.筋の収縮速度が遅い。
3.ミオグロビンが多い。
4.グリコーゲンが多い。

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答え 

 ヒトの骨格筋の筋線維は、太さ、収縮速度、発生張力、疲労度などからタイプⅠ線維(遅筋)とタイプⅡx線維(速筋)、両者の中間であるタイプⅡa線維の3種に区分されます。 

【タイプⅠ線維の特徴】
SO線維ともいいます。
Slow-twich(ゆっくり収縮)、Oxidative(酸化的な)
・ゆっくり収縮し、収縮には酸素が必要ということです。
・酸素が必要なので、酸素供給のための毛細血管は密であり、ミオグロビン量(筋内のヘモグロビン的なヤツ)は多くなります。
疲労しにくく長時間の運動に適しています。
姿勢保持筋(抗重力筋)や長距離走で使う筋(ヒラメ筋など)に多く含まれます。

【タイプⅡx線維の特徴】
FG線維ともいいます。
Fast-twicth(素早く収縮)、Glycolytic(解糖的な、グリコ的なw)
・解糖とは無酸素でのATP供給なので、毛細血管は疎でミオグロビン量は少量です。
・かわりにグリコーゲンを多く含みます。
素早く強い収縮が可能で、瞬間的な力を使うスポーツなどに適しています。
・短距離走で使う筋(腓腹筋など)に多く含まれます。

【タイプⅡa線維の特徴】
・全て「中間」なのであえて覚える必要はないでしょうw

特 徴SO・Ⅰ線維FG・Ⅱx線維FOG・Ⅱa線維
筋線維の太さ細 い太 い中 間
筋収縮速度遅 い速 い中 間
疲 労しにくいしやすい中 間
主なATP供給有酸素的解糖系有酸素的
毛細血管中 間
ミトコンドリア量多 い少ない中 間
ミオグロビン量多 い少ない中 間
グリコーゲン量少ない多 い中 間





筋収縮時のATP生成

問題4 筋細胞でのATP生成過程で無酸素的な反応によるものはどれか。2つ選べ。

1.ローマン反応
2.電子伝達系
3.クエン酸回路
4.解糖系

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答え 

ローマン反応は、主に筋細胞内に備わるATP生成反応です。
・クレアチンリン酸からATPを合成する反応で、酸素は必要ありません
・筋細胞内のクレアチンリン酸には数に限りがあるので、せいぜい数秒から10秒程度しか持続しません。

2、3.クエン酸回路電子伝達系は、ともに細胞内のミトコンドリア内で行われる反応で酸素を必要とします。

解糖系は、強度の運動などで筋細胞に酸素供給が追い付かないときに無酸素で起こる反応です。
・代謝の結果、乳酸が産生されます。





平滑筋の特徴

問題5 平滑筋の特徴はどれか。

1.多核細胞である。
2.強縮がおこらない。
3.自律神経により支配される。
4.神経筋接合部がある。

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答え 

【平滑筋の特徴】
・アクチンとミオシンの並びが不規則なため、横紋がみられません。
・トロポニンとトロポミオシンがない。
神経筋接合部が不明確で、神経末端は処々にふくらみ(バリコシティー)を形成します。

 骨格筋心 筋平滑筋
細胞の特徴多 核単 核単 核
横 紋
支配神経体性神経自律神経自律神経
ホルモン調節
絶対不応期短 い非常に長い長 い
収縮時間短 い長 い長 い
収縮様式強 縮単収縮強 縮
疲 労しやすいしにくいしにくい
筋小胞体の密度高 い中 間低 い
Ca2の結合部位トロポニントロポニンカルモジュリン

参考文献

・南江堂「生理学 改訂第4版」
・南江堂「生理学 改訂第3版」

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