こんにちは。塾長のFです。
今日は【生理学】の生殖の問題を作ってみました。
性分化
問題1 性分化で誤っている組合せはどれか。【難易度☆☆】
1.原始生殖腺髄質 ― 前立腺
2.原始生殖腺皮質 ― 卵 巣
3.ミュラー管 ― 子 宮
4.ウォルフ管 ― 精 嚢
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答え
1
胎生初期は男女共通の器官をもっていますが、様々な因子により性分化していきます。
原始生殖腺は、男性なら精巣、女性なら卵巣に分化します。
内生殖器は男性ならウォルフ管が発達し分化していき、女性ならミュラー管が発達、分化していきます。
「男はオオカミ、女はカガミ」と覚えましょうw
| 原 基 | 男 性 | 女 性 |
生殖腺 | 原始生殖腺隆起(髄質) | 精 巣 | |
原始生殖腺隆起(皮質) | | 卵 巣 |
内生殖器 | ウォルフ管 | 精巣上体、精管、精嚢 | |
ミュラー管 | | 卵管、子宮、膣上部 |
尿生殖洞 | 尿道球腺 | 大前庭腺 |
前立腺 | 傍尿道腺 |
精子と卵子
問題2 正しいのはどれか。【難易度☆☆】
1.精子の半分はX染色体をもつ。
2.精子はライディッヒ細胞より栄養されている。
3.卵子は1対の性染色体をもつ。
4.受精は子宮で行われる。
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答え
1
通常、細胞には22対(44本)の常染色体と1対(2本)の性染色体があり、細胞分裂の際に作られる2つの新しい細胞(娘細胞)にも元の細胞(母細胞)と同じ数の染色体が含まれています。
しかし精子や卵子などの生殖細胞は、その成熟・分化の過程で母細胞の半分の染色体をもつようになります。これを減数分裂といいます。
1.男性では常染色体22対と性染色体XYの1対を持ちます。
精子の減数分裂ではこの対のうち、どちら一方をもつことになります。
したがってX染色体をもつ精子が半分、Y染色体を持つ精子が半分、存在します。
2.精子は精巣の曲精細管にある精上皮で分化・成熟します。精上皮に隣接しているセルトリ細胞は、精上皮を支持し精細胞に栄養を与えます。
3.卵子も精子と同様に減数分裂するので、性染色体は1対ではなく、1本もちます。但し、女性の性染色体はXXなので、卵子は全てX染色体を1本もちます。
4.受精は卵管膨大部で行われます。
ウォルフ管の発達
問題3 ウォルフ管の発達に最も関与するのはどれか。【難易度☆☆☆】
1.性決定遺伝子(SRY)
2.性腺刺激ホルモン
3.テストステロン
4.エストロゲン
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答え
3
妊娠6週までは男女とも、原始生殖腺隆起は同じ構造をしています。
妊娠7週になると、Y染色体上にある性決定遺伝子(SRY)が働き、生殖腺隆起の髄質が発達し、精巣に分化します。分化した精巣にはライディッヒ細胞とセルトリ細胞が現れます。
一方、内生殖器の原基であるウォルフ管とミュラー管も、妊娠6週までは男女とも同じ構造をしています。
ライディッヒ細胞からテストステロンが分泌、セルトリ細胞から抗ミュラー管ホルモンが分泌され、その作用によりウォルフ管が発達し、ミュラー管が退化します。
発達したウォルフ管より男性内生殖器である精管、射精管、精嚢へ分化していきます。
生体の生殖腺は基本的に女性型です。
Y染色体がなければ性決定遺伝子も存在せず、性決定遺伝子がなければ原始生殖腺隆起は卵巣になります。
また、テストステロンや抗ミュラー管ホルモンが分泌されなければ、ウォルフ管が退化し、ミュラー管が発達し、子宮や卵管などの女性内生殖器へ分化していきます。
生殖ホルモン
問題4 排卵抑制にもっとも関わるのはどれか。【難易度☆☆】
1.卵胞刺激ホルモン
2.黄体形成ホルモン
3.エストロゲン
4.プロゲステロン
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答え
4
4.プロゲステロンは、排卵後に形成される黄体から分泌されます。その作用は、妊娠の継続です。
・胎児の成長促進のため、代謝を亢進させ体温を上昇させます。
・また妊娠期間中は、卵巣機能を抑制し、排卵は無くなります。
・さらに子宮筋収縮作用のあるオキシトシンの作用を抑制し、妊娠を維持します。
その他の排卵抑制ホルモンとして、プロラクチンがあります。プロラクチンは出産後の乳汁の分泌に大きく関与します。したがって授乳中はあらたな排卵はみられません。
分娩とホルモン
問題5 分娩時における子宮のオキシトシン感受性を高めるのはどれか。【難易度☆】
1.ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)
2.ヒト絨毛性乳腺刺激ホルモン(hCS)
3.エストロゲン
4.プロラクチン
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答え
3
分娩時には胎児を排出しようとする子宮筋の収縮(陣痛)がおきます。
子宮筋の収縮は、子宮頸部が広がることによって下垂体後葉から反射性に分泌されるオキシトシンにより強化されます。
子宮筋のオキシトシンに対する感受性(反応の良さ)はエストロゲンにより亢進し、プロゲステロンにより抑制されます。
分娩時には、妊娠黄体からのプロゲステロンは分泌量が低下、エストロゲンの分泌量が増加しており、子宮筋のオキシトシン感受性が高まります。
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