こんにちは。塾長のFです。
必修範囲のPIP関節脱臼についてまとめてみました。
必修問題が現行の範囲になってからの3年間(第28回(2020年)~)で1問しか出題されていませんが、やはり必修なので落とさないようにしましょう。
問題を解くヒントになると思うので必修の範囲ではないところも記述しています。
下の方に過去問も載せています。先に過去問したい人はこちら(国家試験過去問)。
今日もF塾でガッツリ勉強していきましょう!
近位指節間関節脱臼 dislocation of the PIP joint
*必修範囲は示指PIP関節背側脱臼の固定です。
必要に応じてスキップしてください。
概 説
・突指として発生することが多い。
・骨折や軟部組織損傷を合併することが多く、看過して治療しなければ機能障害を残す。
分類と発生機序、症状
1)背側脱臼
・大半が背側脱臼である。
・PIP関節の過伸展強制で発生する。
2)掌側脱臼
・PIP関節の捻転強制。
3)側方脱臼
・PIP関節の側屈強制。
症状と合併症
1)背側脱臼
① 階段状変形・関節前後径の増大
・中節骨が基節骨の背側に水平に位置することが多い。
② 弾発性固定
③ 掌側板損傷
・PIP関節掌側部に断端を残し、嵌頓する場合がある。
④ 側副靱帯損傷
⑤ 正中索損傷
⑥ 深指屈筋腱断裂
・DIP関節が屈曲不能となる。
2)掌側脱臼
① 正中索損傷
・経時的(数週後)にボタン穴変形をきたす。
3)側方脱臼
① 側副靱帯損傷
・側方動揺性が認められる。
整 復
1)背側脱臼の整復法
*末梢長軸方向への牽引はNG
(軟部組織が嵌頓し、ロッキングを起こすため)
① 患者を坐位または背臥位とする。
② 手が滑らないように包帯やフィンガートラクションを用いる。
③ MP関節軽度伸展位になるように基節骨と中節骨を把持する。
④ PIP関節の過伸展を強制する。
・筋弛緩が目的。
⑤ 過伸展位にある中節骨をそのまま基節骨の長軸遠位方向へ押し出す。
⑥ 短縮転位が取れたならば、円を描くようにPIP関節を完全屈曲する。
2)観血療法の適応
① 関節面の粉砕骨折や予後不良が予想される場合 → ロバートソンの三方牽引法を用いる。
② 側副靭帯の高度損傷の合併(側方動揺性20°以上)。
③ 開放性骨折
④ 徒手整復不能なもの、整復位保持が困難なもの。
固 定
1)固定材料
・アルミ副子、絆創膏、綿花枕子、巻軸包帯
2)固定範囲
・前腕遠位から指尖まで。
・手関節の固定は必須ではない。
3)固定肢位
・MP 関節、PIP 関節、DIP 関節を軽度屈曲位とする。
・正中索損傷の場合は、ボタン穴変形予防のため、PIP 関節を伸展位で固定する。
4)固定法(第2指PIP関節背側脱臼の場合)
① 第2指と第3指の間に枕子を挿入する。
② アルミ副子を背側にあて、隣接指(第3指)とともに固定する。
5)固定期間
・2週間
・軟部組織損傷の合併がある場合は3週程度とする。
国家試験過去問
問題 示指PIP関節背側脱臼で正中索損傷を合併している場合の固定はどれか。(第29回)
問題 指PIP関節背側脱臼の固定肢位で正しいのはどれか。(第20回)
1.MP・PIP・DIP関節伸展位
2.MP関節屈曲位、PIP・DIP関節伸展位
3.MP・PIP関節伸展位、DIP関節屈曲位
4.MP・PIP・DIP関節軽度屈曲位
参考文献
・南江堂「柔道整復学・実技編 改訂第2版」
・南江堂「柔道整復学・理論編 改訂第7版」
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